大事なもの、欲しいもの
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結局・・・沖田はそれも気になって様子を見にいくことが増えた・
しおりは黙ったままだ。
何も言わない。
夕方仕事終えたしおりはかぶき町を歩いていた
団子屋の前で足が止まって、買おうとするも・・やめてしまう。
「いらない。。か」そう呟く
「山猿」
そう声をかけた沖田は振り向く瞬間に
いつもの表情に戻すしおりの様子に心が痛んだ。
「沖田さん」
「山猿。今いいか?」
「はい?」
「団子、付き合えよ」
「団子ですか?」
「一人で食うのはつまらねぇ」
そう言ってしおりを横に座らせ、団子を頼んだ。
「おや、久しぶりだね、しおりちゃん、
最近こなかったね
今日は持ち帰りはいるかい?」
団子屋の親父の言葉に何も言えないしおりの代わりに沖田が答えた
「今日はひとりじゃねぇだろ?持ち帰りまでしたら山猿は豚になっちまわぁ」と。
沖田のせめてもの優しさだった。
団子を食べながら沖田は視線を明後日の方に向けて
「終兄さんの世話外れたんだってな。
・・団子は俺と食え、おごってやるから」
「ありがとうございます」
そう答えるしおりだったが
心の中はシトシトといつまでも雨が降り続いているような感じで
誰が何を言おうと晴れることがなかった
穏やかな日の光は終だけが持っているものになってしまっていた。
帰り道また胃がきまって痛む。
ーー正吉窯に戻る。
屯所で会うことはなくなっても終はここには来ていた。
ここで会う時間が二人の時間になっていた。
正吉はしおりの様子がおかしいことはわかっていたが
若い娘のことに口を出すようなことはしなかった。
屯所に行けば承子がほぼ訪ねてくる。
女中も歓迎して迎える
大人しく、小柄で可愛らしく、嫌味なところもない好かれるタイプだ。
ただ言葉少ないだけで。
背の高い終とは見るからにお似合いだと皆で話す
しおりもその中で話を合わせるしかなかった。
終は婚約しない、断るとしおりに言ってはいたが
状況がそれを許さなくなってきていた。
会う回数も減って、言葉を交わすことも少なくなって
思いだけは深くなっていく。
胃痛もついでにひどくなる。
そんな時手紙が届いた
父が倒れたから戻ってほしいと。
こんなタイミングで・・・そう思うとしおりは笑ってしまった
ーーーーまるで離れろと言わんばかりの。