大事なもの、欲しいもの
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「しまるぅ〜〜、いるか〜」
松平は暇さえあればやってくる
承子を伴うことで既成事実を作ろうとしているようだった。
「終も、こいつも大人しいからなあ、
会わせてるうちにお互い馴染むだろヨォ~~、お似合いだろぉ~」
そう言って笑った。
近藤も土方もこの見合いには乗り気で
及び腰の終と承子を座敷で二人きりにして話をさせようとしたり、
休みを与え外出させてみたりした
終は結婚する気も付き合う気もないが、
一応女性なので自分にできる限りの気遣いはした。
ーーしかしそれが裏目に出た
承子が終に惹かれ始めて、話しかけるようになり
屯所に一人でも出向くようになっていった。
しおりはそんな状況を知りながらも、黙って見ていた。
毎日の縁側の時間は変わりがなかったし、終の世話もしていた。
不安に襲われる日もあったが終の優しさに触れると
自分から何か言うのはよくないと思った。
「いたっ・・」
屯所から家に戻る時また胃が痛む
キリキリシクシク
「最近体調悪いなあ」そう呟いて胃の辺りをさすった。
しおりが帰った後、沖田が終の部屋を訪ねた
「終兄さん〜」返事がない・・
部屋を覗くといない・・・
どこ言ったんだ?と探した先は厠
「終兄さん?」
「うう〜〜」と言う声
「腹調子、悪いんですかぃ?」聞くとノックが返ってきた。
「部屋で待ってますぜ」
沖田は先に部屋に戻るとやがて終も戻った。
「終兄さん、大丈夫ですかぃ?」
“もう大丈夫”
「・・・しおりのこと、黙ってるのはまずいんじゃないですかぃ?」
沖田の言葉に“わかってる”と終はスケッチブックに書いた。
しかし・・・さらに事態は最悪の方向へ進んでいく
承子が一人屯所を訪ねた夕方のこと。
終はしおりと縁側でいつものおやつとお茶を楽しんで笑っていた。
いつも寡黙で静かなはずの終の顔に驚きを覚え、その隣で笑う女性に違和感を感じた
他の女中に「あの方はどなたですか?」と聞くと
「斎藤隊長の仕事やお世話をしてるしおりさんです」と答えた
「どのような方ですか?」さらに聞くと
「あの人でないと斎藤隊長のお世話は務まらなくて、
何人か交代したんですが
みんな辞めてしまうんです。」そう答えた。
承子は松平に何気に相談をした。
自分もあまりいい気がしなくて。。と
翌日、松平は近藤を訪ねしおりのことを聞いた
「ああ、彼女だけなんです、終の相手ができるのは」と答えたが
身内可愛さに松平はしおりを世話係から外すように命じた。
近藤は抵抗を試みたが
「婚約者が不安になったら可哀想だ」
と言う土方の一言で近藤もそれを飲むしかなかった。
それを後から聞いた沖田は事情を知っているだけに
土方の要らぬ気遣いに苛立ちを覚えた。
しおりは土方に呼ばれ、突然終の世話係から外れることを言われた。
・・・終さんにどうやって会いに行けばいいのだろう、と不安になったが
「終の婚約者がいい気はしないだろう、それは理解してやれ」
本当はいい気がしないのはしおりの方なのだが、
土方は事情を知らないだけに頷くしかなかった。
終も自分は断ろうとしているのに周りは結婚に向かって進んでいく
それは承子がもう乗り気でいるのが何よりも大きかった
松平も大人しく結婚は無理だと思っていた遠縁の娘が
その気になったことが嬉しく
終をけしかける
毎日縁側で過ごしていた時間が消え、その代わりに承子が来る
思いっきりソーシャルディスタンスをとって終は相手をするが
しおりがどこかで見ていないだろうかと不安になる
承子が帰ったあとは必ず厠に飛び込んでいく。