大事なもの、欲しいもの
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部屋でそれを見て大きく息をつく。
“今日こそ、伝えよう”
終はそう決めていた。
最初の頃はただ安心していた、リラックスできた。
彼女がいなくなって下痢が増えた
戻ってきたら下痢は止まった。
毎日縁側でお茶を飲んで時間を過ごすのが幸せで、何もそれ以上望む気もなかった。
この時間だけは彼女は私とだけ過ごす、、そんな時間だったから。
終の思いは日ごとに募り、でもどう伝えていいかもわからない、
彼女の気持ちも知らない
伝えて関係が悪くなるなら伝えないまま、時間を過ごそうと思っていた
ある日湯呑みが並んでるのを見た沖田が終に使わないのかと聞いたとき
”しおりさんがきたときに使うから”と
さりげなくスケッチブックに書いてしまったことが始まりで、
「いつまでも茶飲み友達じゃ、その内屯所出て行った時は
もう音信不通ですぜぃ?」と
そう沖田に言われて、
前も居場所を知らなかった自分。
寂しくて縁側で寝転んだ自分
ーー見つかって嬉しかった、また戻ってきて嬉しかった
その奥に、ひっそりと“好き”と言う気持ちが隠れていたことに
今更気付かされた
「言わなきゃ伝わりませんぜぃ?伝わらなきゃまたさっていきますぜ?」
それはもう、なんとかしなければと言う気持ちを呼び起こすのに十分な言葉だった。
あれから結構準備期間があったものの
ようやく、その日がきた。
“いたたた・・”
緊張のあまりトイレに走った。
沖田は植え込みでその姿を見ていた
「緊張しすぎですぜぃ・・困ったもんでさぁ・・・」そう呟いた。
しおりはいつもと同じように同じ時刻にお団子を持ってやってきた
「今日はあんこですよ」
そう言いながらお皿に乗せると終がお茶を入れに行く
どうも見ているとおやつは交代で買いに行き、お茶も交代で入れている。
しおりがやると言うのを終が制している様子だ。
いつもと同じように縁側に座っているが終は落ち着かない
沖田は一向に話そうとしない終をハラハラしながら見ていた。
「おい、どうなってんだ?」
ヌッと現れたのは銀時だった
「旦那ですかぃ、・・あの調子でさぁ・」
「総一郎くん、同じような光景を何ヶ月か前に見た気がするんだが?」
「あれからずっとあの状態が続いてますぜぃ
・・しおりが出勤日は皆勤賞でああやってまさぁ」
「アフロはずっとあの調子かよ?」
「二人があの調子ですぜぃ」
「あの二人、前も思ったけど、本当に超奥手だな、揃いも揃って」
「二人っきりをあれだけ過ごしてりゃ、普通なんかありますぜぃ」
「、、しかもアフロは惚れてるんだろ?」
「今日は言うって言ってましたぜぃ、あ、言うんじゃない書くだ」
「うまくいくのかねってかいつまでここに居るんだ?」
「終兄さん次第ですぜ」
そう言ってソーシャルディスタンスを保ち座っている二人を見ていた。
「あんこもやっぱり美味しいですね」
そう言うしおりに終は頷く
少しいつもと違い終に気づいたしおりは彼が疲れているんじゃないかと思った
「今日はお疲れみたいだから、お団子食べたら帰りますね、休んでください」
終はそれに少し焦った
“勘違いしてる“
待っててと言うジェスチャーで終は立ち上がり部屋に戻った
大きく肩で息をして床の間においた湯飲みを大事そうに持ってしおりの元へいく。
「斎藤隊長?」
振り返るしおりに終はその湯飲みを差し出した
受け取りしおりはそれを見ながら聞いた
「これは?・・作ったんですか?」
“正吉さんに教えてもらった、全部自分でやった“
「すごい上達ですね。」
“・・これをしおりにあげたかった“
「・・斎藤隊長」
終は大きく息を吸った。
“しおりのこと思いながら作った“
「斎藤隊長?」
“・・・私と、付き合って欲しい・・“
「言った!と言うか書いた!」
銀時が思わずガッツポーズをとった。
沖田も頷いた
終は自分の顔が今までになく熱くて、
心臓の鼓動が異常に早くなっていた。
驚いた様子で終を見て何かを言おうとしてるしおりだが
こっちも顔が真っ赤で言葉が出ない。
ようやく、頷くのが精一杯で
またそれを見て銀時がいう
「・・・・あの二人、20歳ぐらいじゃなかったか?」
「・・まるでその辺の学生よりガッチガッチですぜぃ」
やがて顔を見合わせて笑う二人を見て、ホッとした銀時と沖田は
音を立てないようにそっとそこを離れた