大事なもの、欲しいもの
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しおりが戻ってくると決まった日
沖田はすぐ終のところへ向かった
「終兄さん、山猿ここに帰ってきますぜぃ」
「え?」
短い“え”だけだが沖田はその声を聞いた。
「4日間は屯所の仕事、2日は陶芸の仕事で住まいはこっちですぜぃ」
急いでスケッチブックに閉まるは書き出す
「いつから戻ってくるの?」
「明後日からですぜぃ」
「終兄さんの手伝いもするって近藤さんがそう言ってましたぜぃ」
ーー沖田は見逃さなかった
目元が緩んで微かに微笑んだその顔を。ーー
屯所に久しぶりに戻ったしおりは初日から仕事に追われていた。
食堂に出たゴキブリ退治、屯所内の庭掃除、庭木の害虫駆除
食堂で隊士たちの食事の準備
隊士たちは口々に「山猿帰ってきた!」という
そろそろ名前で呼んで欲しいと思うしおりだがやはり山猿だ
眉は揃えてちゃんとしたし、
着物は正吉の奥さんのをだいぶ譲り受けて着るものには困らない
中身はそんなに変わってないから、
仕方ないのかなと感じたりもしていた
夕方、仕事が一段落して
明日からは終の手伝いに入ることになっていたから
挨拶に向かった
以前と同じ縁側で彼は座っていた
「斎藤隊長?」
「あ。しおりさん」
消え入りそうな短いこえで名前を呼んだ??・・・・かもしれない。
手招きをするのでそのまま近づくと
彼はおはぎの包みを見せた。
スケッチブックに、
“今日からだ屯所と聞いて今朝買いに行きました。“
思わず笑みが漏れてしまう。
トントンと隣をたたいて座れというのも変わらない。
「お茶入れてきます」そういうしおりに「待って」という仕草をする
終が立ち上がり、そのままお茶を入れに行った。
やがてお盆を間に挟んでお茶を飲みおはぎを食べる二人を庭も植え込みから沖田が見ていた。
終の顔を見て確信する
ーーーー「終兄さんは山猿のこと好きなんだ“と。
山猿も・・好きなんだ、と顔を見て確信できるが
・・間に空いてる距離が微妙だ。
ソーシャルディスタンス、そのものだ。
・・そして食べるだけ食べたら閉まるは部屋に入りしおりは帰って行った
この光景が妙に記憶に残って沖田はしおりがいるときはほぼ植え込みに隠れて見ていた
ある日は団子、ある日はおはぎ、ある日はお煎餅、ある日はようかん・・そしてまた団子
食ってばっかりじゃねえか、と呆れていた。
部屋に入らずいつも縁側。
そんなことを銀時に何気に言うと
あろうことか銀時まで覗きにきた
その日は饅頭だった。
お茶を飲み饅頭を食べ、ニコニコしているだけ・・に見える
ソーシャルディスタンスは守られている。
「・・・・あの二人、奥手同士だな、こりゃ時間かかるぞ」と笑った。
沖田と銀時が庭からのぞいている時
しおりはお茶を飲みながら
「今度自分のお湯呑み作りませんか?
こうやってお茶を飲むときに自分で作ったもので飲むと
より美味しく感じますよ」と言った。
終が不安そうな顔をしたので
「ちゃんと補助しますから大丈夫です、作ってみませんか一緒に。」
“一緒に”
と、言う言葉に彼が反応したことにしおりは気づかなかった。
頷いた終を見て
「じゃ、今度のお休みに正吉が間に来てくださいね」
そう約束した。
ーー次の休日、
閉まるは手土産の羊羹を持って正吉窯を訪れた
しおりはすでに正吉に閉まるが来ることを伝えていたので
正吉はシャイな終のために外出していた。