大事なもの、欲しいもの
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屯所では別の女中がしおりの代わりに終の手伝いに入ったが
皆1日と持たない。
泣きながら勘弁してくれというものもいた。
一緒にいると怖いとか、ずっと黙って指示を待つのは苦痛だとか、
様々な理由があったが全て終が喋らないことに起因するものばかりだった。
気を使いすぎるあまりあの恐ろしい笑顔が女中に向けられると
卒倒しそうな怯え方で女中は逃げてしまう
加えて屯所で害虫が出るとそりゃ大騒ぎになる。
すぐその場で駆除してくれる人がいないのだ。
終自身もまた全く言葉を発しない日々に陥っていた。
スケッチブックで指示を出そうとするも、
リアクションするたびにビクッと体を震わせられては何も言えない
ため息の回数がまた増えた。
しかも緊張度合いが増え、トイレの回数が増えた。
・・・しおりがいたときは止まってたのに・・・そんなことも考えた。
「斎藤隊長の担当をしろと言うならやめます」
これで4人目だと頭を抱えた土方だが、沖田はそんな土方を横目に
「山猿は、こんなこと一度だって言ったことはありませんぜぃ?」
しれっと言った。
「あいつは特殊だ、神経が並の太さじゃ無いから終ともうまくいけたんだ」
土方はしおりをよくわかってない、沖田はそう思ったが黙っていた。
縁側で終は座ることが増えた
1日の仕事の終わりにしおりとここで座って時間を過ごすと安心した。
いつからかは忘れたけど、お土産を持ってくる彼女の気持ちが嬉しかった
ゲジ眉ででも純粋な目をしてて。
ここで寝てしまうといつも起こされた
”斉藤隊長!起きてくださいよ!風邪ひきますよ”
”斉藤隊長!お風呂忘れて寝ないでください!”
ーーー彼女がいる時は毎日が楽しくて・・。
ゴロンと横になると、しおりがきてくれそうな気がしたことも何度とあった。
目を閉じてまたうつらうつらと眠くなる・・・・・・・
ーーーー「終兄さん、な〜に寝てるんですか、風邪行きますぜぃ、部屋で寝てくだせぇ」
声の主は沖田だった
ペコっと頷いてずるずると足を引きずるみたいに部屋に入り横になった。
沖田がやれやれといった様子で掛け布団だけをかけて部屋を出た。
山猿がいたら全部やってくれるはずなのに、土方のやろう。そう、ぼそっと呟いた。