大事なもの、欲しいもの
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“武州に帰るにしても何も言わないで帰るのは良くないよね“
そんな気持ちもあった。
正吉窯に到着すると変わりなく正吉がロクロを回していた。
「おう。今日は遅めだな」そう言いながらしおりを見た。
「どうした?なんかあったか?」
「え?」
「いつもと違うぞ?」
「あ、あの、私急に武州へ帰ることになって・・」
「どうしたんでぃ?親父さんになにかあったのかぃ?」
「そうじゃないんですけど・・」
「はっきりいいな、どうしたんでぃ?」
しおりは新撰組を首になったこと、その事件もかいつまんで話した
行き先もないし仕事もないから武州に帰ると。
正吉はしばらく考え込んだあと
「ここにくればいい、仕事手伝ってくれ。
しおりの腕は確かだからこっちも助かる」そう言った
銀時に正吉窯に世話になることになったと報告にいくと
「良かったな」と一安心した顔を見せた。
手前の部屋を正吉が使い。奥の部屋をしおりが使った。
陶芸は幼い頃から慣れ親しんだものだから、毎日穏やかに過ごしていた。
でもフッと屯所のことを思い出すことがある
・・斎藤隊長、どうしてるかな・・・その辺で寝てないかな、お風呂入ってるかな。
“あ、また胃がキリキリする。“
しおりは胃を抑えた。
数日後、桂が情報を集めてきた。
やはりしおりの元婚約者は金で買われていただけだった。
しかししおりが関係者に間違いない。
情報を流し、真選組が御用改で突入するように仕向けた桂は策士だったと言える
「同じ攘夷志士でいいのか?」という銀時に
「あれはもう語っているとしか言えん、
金で動くやつを集め自分の手は汚さないのは
攘夷志士の風上にもおけぬ奴らだ」
そう言った。
取り調べで全てか明らかになっても、
それでもしおりは屯所に戻ることは許されなかった
事情は分かっても土方ががんとして譲らなかったと言うのもあった。
「関係者であることは間違いねぇ」そう言った。
沖田は
「山猿も被害者じゃねえですかぃ?」そうは言ってみたが・・駄目だった。
「よぉ。しおりいるか?」
正吉窯を銀時が土産を持って訪れた。
ちょうど正吉は使いに出ていてしおりがロクロを回していた。
銀時はその土から茶碗が作られていくのを見て
「なんか不思議だな、これ茶碗になるんだろ?」
「そうですよ」
器用な手つきを見て銀時は感心したように言った。
「そうだ、団子、食うか?」
しおりの前に団子の包みを差し出してニカっと笑う
彼女はそれをみてつられたように笑った。
お茶を入れて上がり框に銀時と並んで座った。
「いただきます」
そう言って食べ始めたしおりだったが、フッと考え込む
「どうした?」
「・・いつも、お団子買って帰ると斎藤隊長がお茶の用意して待ってたんです。
・・もうそれもないんだなと思うと・・あ、変ですよね。すみません」
「そっか、じゃ、銀さんとこで食えばいいだろ?
うちは賑やかだぞ?神楽も新八もいるからな」
銀時は戯けたようにいうとしおりはそれに釣られたように笑った。
その横顔にしおりお前・・と言いかけたが、
しおり自身もわかってないんだろなと思い直し言うのをやめた。