アヒルの子はアヒルでいい
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
屯所の毎日はさして変化もなく、強いて言えば結構便利よく使われているような愛理さんとの関係に少し疲れながらもうまく過ごしている。
出ないと周りの反感を買うから。
自分の部屋に戻るとほっとするそんな毎日でようやく取れた休暇。
とは言え実家にももう戻れない上、叔父の家には舞ちゃんの婚約者がもう住んでいる
ーーーー「どこにもいく所がない」ぼそっと呟いた。
友達がいるわけでもなく、賑やかなところに行く性分でもなく、休みって私何してたっけ?
結局叔父の店で用事をしてた気がする。
とりあえず出かけて見ればなんとかなるかもと思い、歌舞伎町まで行ってみることにした。
どこにも行くところがないっていうのも、不幸な話だなと思いながらアテもなく歩いて、入りやすいのは団子屋ぐらいしかなかった
”ぐらい”っていうのも失礼な話だと自分で打ち消すけれど、おしゃれな洋服やおしゃれなカフェにこんな自分が入っても浮くだけのような気がしたし、洋服に限ってはサイズがない
団子屋が一番落ち着く・・
これ食べたら帰ろう、そう思いながら団子を食べてお茶を飲んでいた。
ーーそのときだった
なんか風体のよくない男性が二人近づいてきた
「お〜、ガタイのいい姉ちゃんが団子食ってるな」
「おいおい、揶揄うなよ、俺はこのガタイのいいのも割と好みだぞ」
「一人だったら、俺たちと付き合えよ」
「どうせ男もいないんだろ?俺なら付き合えるぜ?行こうぜ?」
矢継ぎ早に言葉を発して無理矢理夏海を引っ張っていこうとするが誰も助けようとしない
困ったな、どうしよう・・・怯えるわけじゃないけれど、面倒だし、逃げたい。
「おい、やめとけよ」声がして、そこには銀髪の天パの男の人が立っていた。
「なんだよ、邪魔するなよ」男が食ってかかるもいとも簡単に手首を捻り上げて夏海を背中に隠した。
「笑えるな、背中に隠してもはみ出てるぜ」男が笑う、夏海は思わず唇を噛んだ。
「ったく。てめえらがいたら営業妨害なんだよ、俺も団子食えねえだろうが!」そういうと
そのまま木刀を向ける
その迫力に押されたのか男達は逃げ去っていった
「ありがとうございます」夏海がそういうと
「いやいいよ、災難だったな、あんた名前は?」
「夏海です」
「そうか、俺は坂田銀時。万事屋だ。なんか用事あったらいってくれな」そういって笑った
こんな私でも助けてもらえるんだ、と夏海は少し嬉しくなった気持ちのまま屯所へ戻り部屋に入ろうと廊下を歩いていると土方に呼び止められた。
いきなりなんだろうと思いながら、土方の前に座る
厳しい顔で私を見るけれどヘマをした記憶は全くなくて・・・
「夏海ん、今日の無断欠勤はどう言うことだ?」といきなり言われて驚いた
「今日はお休みのはずですが・確か先月から決まっていて・・」
「お前、それ取り消しになってるはずだそ?」
「え??昨日愛理さんに確認・・・」
「愛理が取り消しのことも伝えたといってるぞ?」
「え?そんなこと・・」
「まあ、今回は許すが、以後こう言うことがないように」
「はい。気をつけます」
翌朝から夏海は、みんなから注意を受けて頭を下げまくって謝って、その姿を見た近藤があまりにかわいそうに思ったのか「勘違いは誰にでもある」そういって場を収めた。
愛理は「私が休みって言い切ればよかったのね、ごめんなさい」と謝るのはみんなの前
夏海は気づき始めていた”彼女はこうやって居場所を作るんだ”と。
ある日は雨が降りそうな空で庭の掃き掃除を夏海はしていて、ゴミを入れる袋がないことに気づき慌てて取りに行くと廊下で隊士が愛理と話をしていて
「小雨降ってるのに掃除して風邪ひくよ」
「あ、でも掃除終わらせないと夏海さんが・・」
「何?あのデブ女、この雨の中掃除させてるの?」
「もう中に入れって」その隊士は愛理さんを中に入れてどこかへ行った
掃除してたの私なんだけど・・・夏海はそう思いながらゴミを袋に入れて片付けているとさっきの隊士が戻ってきて
「なんだよ、自分がやってますって感じ?愛理ちゃんがやってただろ?」
「私です・・」
「嘘つくなよ」
そのとき、スッと現れたのは斎藤隊長で隊士がこいつは・・と言いかけたのを、違う、といった表情でスケッチブックに
”私が見た時は彼女は一人で掃除をしていた”と書いて見せてくれた
隊士は納得できない様子だったけれど斎藤隊長には逆らえずにその場を離れ、斎藤隊長は向き直って”お疲れ様”とだけ書いて姿を消した。