アヒルの子はアヒルでいい
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
新しく入った女中が二人、一人は儚げな美人、もう一人は肥満体型、顔は地味で大人しく普通か、それ以下。口の悪い隊士達は比較することも多かった。
夏海自身は。まあ、それも仕方ないと思えてしまうのは自分がわかっているからで。慣れているというのもあった。
見た目で人は判断することが多い、それに想像でいろんな尾鰭ハヒレをつける、どんないいことも、悪いように簡単に変換させる
それは経験上でわかっているから黙っておくのが一番と思っていた
履歴書を見ている土方は夏海がいろんな習い事の師範免状を持っていることも学校を出て栄養士の資格を得ていること、
女性にしては珍しく多国語を話せることも知っていたが夏海はそれを口の端にもださない
土方は夏海を見ながら「変わったやつだ。大人しいだけかと思ったらそうじゃない」そう呟いた。
愛理と夏海は隣同士の部屋になり
新しく入ったもの同士仲良くやってくれと近藤はニカっと笑い、夏海に彼女は苦労してきた人だからよろしく頼むと言われた。
彼女の事情はちゃんと耳に入ってきていて夏海も気の毒だと思っていた、自分はなんだかんだ言いつつも親からの愛情は受けていたし、教育もきちんと受けさせてもらえていた。
それとは真逆。その容姿も相まって余計気の毒で健気に見えた。
屯所内では隊士達が愛理を気に入っていて、時々口の悪い隊士は愛梨の仕事を夏海に押し付けることもあった。愛理は申し訳なさそうに謝るからやっておくといつも答えていた。
働くこと自体は苦ではないから黙って仕事をしてると「怒っているの?」と愛理は不安げに聞いてくるから、慌てて「そんなことないよ気にしないで」と答えるけど
表情に乏しいからうまく伝わらなくて彼女を不安にさせてしまって謝るしかできない。
コミュニュケーション力に乏しい性格が裏目に出てしまって、またお叱りを受けてしまう。
「困ったな。うまく伝えられない」
そう呟いた先にまた斎藤隊長が立ってて、慌てて頭を下げる
斎藤隊長もいつものようにペコリと頭を下げて去っていく
・・なんかほっとする。
「明日の準備しなきゃね」一人呟いて食堂へ向かう
調理主任の美佐子さんから朝食の下ごしらえを頼まれて引き受けたこともあって色々忙しい。
美佐子さんだけが「あんた栄養士の免状持ってるんだろ?なんで言わないんだい?下働きしないでもいいのにさ」と言われて「はあ」としか言えない私に「ったく、損な子だね。頑張りな」と肩を叩いていってくれるから笑みが漏れる