アヒルの子はアヒルでいい
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「私は、ダイエットなんてして欲しく、ない、です。ありのままの、あなたでいいので。」
「だって・・あの雑誌のモデルさんとか・綺麗・・って言うから」
「・・綺麗ですが。・・あなたは次元が違います。比べる・・あの、その・・対象じゃないんです」
「次元が違うって?」
「私の・・その、・・・好きな人はあなたなので。・・ああ言うのとは違います・・っていう・・気にしてましたか?」
「・・気にしていました。」
終は頭を抱えそうになった、何気に口にしたことが、大好きな人を悩ませる結果になってダイエットさせて痩せさせたこと・・全く関係なかったのに、あの雑誌だって特集が見たかっただけで・・
「終さんのせいじゃないです」俯いて言う夏海は苦笑いで終の顔を見る
・・・また俯いて自分のせいでこうなるだけですという
終は言葉を探して、また伝える
「あなたはあなたらしくいて欲しいだけです」
夏海はそっと顔を上げて終を見つめた
「・・・終さん、私がなんでこんなにたくさんの資格があるか話していいですか?」
頷く終に夏海の言葉が続く
「私、小さい頃から可愛くないからって言われてきて自覚はあったんです。
両親もそう言ってかわいそうにってよく言っててずっと太っていたし・・でもそれなら他のことを頑張ってカバーしましょうねって、たくさん習い事させられて結果も求められて、
ちゃんとそれに答えてきました。学校も大学まで出してもらって
でも、いくら資格とっても免状取れても・・あの見た目とあまり明るくない性格だとマイナスばっかりで・・両親もがっくりしてて」
終は夏海の頭をそっと優しく撫でて、横顔を見つめて話を聞いている
「父なんて外国語ができたら外国人と結婚できるかもって、外国の人なら私の可愛くないところとか太ってるところとかも関係ないかもしれないって言い出すんです」
戯けて言う夏海に優しい眼差しだけを向けて終は黙っていた、
「でもね、両親だってとても心配してたんだと思えて、あまりに可愛くなさすぎるから、母は特に自分が産んだからって・・。
だから感謝はしてるんです、せめて何かプラスにって・・
ただどんなに頑張っても褒めてくれなかったから。絶対褒めてくれなくて、結果を出せばさらに上を求められて、
それが寂しかった。見た目が良くないからそれぐらいできないとって。
もっと頑張りなさいって。。もっと、もっとって。
屯所でも従姉妹と比べられてどうせって思ってて、でも終さんだけは違ってて、
重い物をさりげなく運んでくれたりして、嬉しかったんです。でも・・色々あったからやっぱりどうせ私はって・・
終さんだけは違ってて。でも屯所を出てもう会えないと思ってて。
そのうち、アゴミさんが変わらなきゃダメって。今の私にしてくれて、西郷さん達も。
でもやっぱり自信が無くて・・終さんも綺麗な人が好きなんだって思うと、
そうなりたいけど無理だし・・またどうせ・・って・・思っちゃうから・・なんか拗れてしまうから・・だから」
唇を噛んだ夏海に終は「そんなことないのに」と言いながら頭をそのまま引き寄せて抱き締めた。
「私は屯所に来る前から、・・頑張ってるなと思ってました
でもそれよりずっと前から。あなたは頑張ってたんですね。よく頑張りましたね」
夏海の瞳からポロポロ涙が溢れた
”よく頑張りましたね”・・大好きな人からこんな風に私、褒めて欲しかったんだ、小さい頃から頑張ったことを褒めてほしかったんだと気がついた。
「もう・・ダイエットはやめてください」終はそういうと夏海の涙を拭って抱き締めて聞いた
「それと、さっきの話で、思ったんですが・・いつから・・私のことが、好きだったんですか?」
「・・あの・・・その・・・屯所に出入りしているときからです」
終は心が愛しさでいっぱいになると言うのはこう言うことなのかと身をもって知った。
「し・・・し・・まるさん・・く、く。苦しいです」ぎゅっと力一杯抱き締めていた終は慌てて力を緩める
そっとキスを交わして、また笑い合う。
ーーーーその日、終は屯所に戻らず、夏海もお登勢のところに戻ることはなかった。
翌朝、夏海を送ってきた終は「今日は夜勤だから、明後日」そう約束をして優しいキスをすると屯所に戻っていった
「朝帰りはいけませんな、嫁入り前の娘だろ〜」上から声がして見上げると万事屋の玄関前で銀時がニヤニヤ笑っていた。
この後銀時が終と夏海の朝帰りを神楽にばらし、神楽から沖田にバレ、沖田から土方と近藤に・・・
新八はお妙に話して、そこからいつの間にやら西郷、アゴミの知るところとなり
何処で泊まったかもバレる恐ろしきかぶき町情報網に二人は顔を赤くしたり青くしたり
「今度はかぶき町はやめましょう」終の言葉に深く頷いている夏海がいた。
余談ではあるが
この数ヶ月後終は3日間の有給を取り、夏海と旅行に出かけた
とある県の水中花火を見るために・・・あの情報誌はそのために取り寄せた物だったと
夏海はようやくこのとき知ることになった。