アヒルの子はアヒルでいい
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今日の映画は・・ちゃんとした恋愛映画になった。
笑えるのしか見なかった2人だが、これも今日は一致した。
ただいつもと違うのは、映画を見ている時今度は終がそっと手を握ったことで画面に視線を向けたまま握った手が熱いことはお互いに感じてわかっていた。
終はどこかおかしい自分に気づいていた、映画のせいだろうかキスシーンで自分も夏海にキスしたいと思ってしまう。暗がりの映画館、しかも席は目立たない席を選んでいた。
キスしようとかそんなんじゃなくて、あまり人は周りにいないほうが2人きりのような気がしてそこの席にしただけのことなのに、意識がそっちに向く
“好きだとも、付き合ってとも言ってないのにいきなりはダメだ”突然現れた恋する雄の気持ちを抑え込む終は映画のチョイスを間違えたかと少し後悔した
“肩にもたれてくれないかな?”と思ったりもするが、手を繋いでいると肩を抱くわけにもいかないし。やっぱり告白が先かとまた考え直す
“映画を見に来たのに何考えてるんだろう”と思い直して画面を見る
先に動いたのは夏海だった。
終から握られた手が熱くて、ドキドキしていて・・・・。
「女も自分から動かなきゃ、好きな相手に何も伝わらないわよ」アゴミの言葉を思い出す
でもどうするの?手を握るだけで精一杯なのに、さりげなく横を見ると画面を見ている終さんがいて。“どうしよう”と思う
“横顔に触りたい”とか一瞬思ってしまった。
もたれてもいいかな・・できるかな、・・でも拒否られたらどうしよう
思いがぐるぐると頭の中を回って映画の内容は入ってこない。
後で映画の話できなくなっちゃう・・・。
「女は度胸が必要な時があるんだよ」西郷にも言われた。
夏海はそっと終の方に自分の頭をもたれさせていく、驚かれたらやめよう、寝ぼけたふりで誤魔化そうと思いながら。
終はもたれかかる夏海を驚きと嬉しさを持ってそのままの姿勢でいることにした。・・が
気がつけば自分も夏海にもたれ甘い髪の匂いを嗅ぐように頬を寄せていた。
映画館の暗がりが否応にも普段ではありえない行動を呼び覚まして画面を見ている夏海の顎に触れて自分の方を向かせた、
自分が熱に浮かされてる、・ような感覚。
「・あなたが好きです」耳元でそういうとそっと唇を塞いだ。
夏海も同じ言葉を返すとまた唇が重なる、そして額を合わせて小さく笑い合うとまた唇を重ねた。
映画館を出る時、2人は恋人同士になっていて、しっかりと握られた手はそのままに顔を寄せて笑い合うようになっていた。
この日を境に終は仕事終わりにあまり遅くない時間であれば極力夏海会いに行くことが日課になり、周りも“あ、、告白して成功したな”とわかるぐらい終の日々の行動が変わりメモはほとんどなくなり同時に夏海も終と会うことが普通になっていった。
と言っても2人きりと言うのはほとんどない。
夏海の住まいはお登勢の店、終は屯所。
食事をしたり飲みにいったり、別れ際こっそり物陰でキスをするなんとも可愛らしい付き合いを続けていた。