アヒルの子はアヒルでいい
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終は自分の気持ちに気がついていた。
その前に周りがとっくに気づいていたが、夏海も終も少しずつしか進展しない、非番のたびにデートして手を繋いだにも関わらず、お互い好きだとは言っていない
そのノロノロ進行は終自身も気づいてはいるが、ちょうどいい感じに捉えていて夏海もそうなのだ。
終は夏海が少し拗らせてることも分かっている、それは2人でいる時の言葉の端々にたまに出ているからで、よく自虐的だったり、諦めようとしたり、屯所にいる時から分かっていた
あの時はかわいそうだと思った、気の毒にと思った・・今はそんな気持ちじゃない
いざとなると、どう伝えようか、断られたらどうしよう、・・それなら言わないでこのままデートしてたほうがいいかな?などと堂々巡りをしてしまう。
事件の後、しばらくは忙しくて会えないじまいだったけれどようやく休みが取れて、それこそ三週間ぶりのデートだった。
そう、顔を見合わすのも三週間ぶり。
夏海は夏海で忙しい毎日だってことは終も分かっているから、無理には誘わないし
夏海だって終が忙しいのはわかってるから無理は言わない
銀時も確かに仕事はしているが、夏海は万事やで仕事は切れることがないほど忙しい
その仕事を手伝えるかといえば、全て資格が関わるから他の三人にはできないことばかりだった。
終は部屋を出る前に“今日こそは言おう“胸に手をやって深呼吸を3回してから立ち上がった。
廊下を出て靴を履き屯所を出る時土方は呼び止めて「今からデートか?」と聞かれ
そのデートというワードに何故かあたふたして動きがおかしくなってしまう
「終、落ち着けよ。・・んで。いいかげんはっきりしろよ。いつまでお友達やってんだ?」
頭をかいて困った顔をしている終に
「タイミング逃すなよ」と言い去り際にそれに・・とつけ加えていう
「今日は洋装は珍しいな、似合ってるぞ」土方はにたっと笑った。
シャツにパンツ姿は確かに珍しい。
夏海はたまに洋装をするから自分もやってみようかな?と思ったら案外体が動かしやすくて楽だった。
待ち合わせたいつもの場所に行くと、夏海は驚いた顔をした後笑って
「お似合いですね、洋装」そう言ってくれた
夏海も合わせたように洋装で今日は膝丈スカートで足の脛や足首が見えてし少し照れる
並んで歩くと、小指が当たる時があって、頭の中では手を繋ごうかどうしようかと葛藤が起こり始める
その時だった
そっと手を繋がれた。
驚いて隣を見ると俯いている夏海の顔が赤い、多分自分の顔もそうだと想像がつく
嬉しくて、少し力を入れ手に握り返して、勇気を出して指を絡ませるように握り直し前を見て歩いた。
「そうよ、夏海、自分から押すのよ」今日のデートを知っていたアゴミ達は電柱の物陰かこっそりとそれを見てエールを送り続けて夏海の恋の成就を願っていた。
誰がどう見ても仲の良い恋人同士にしか見えないのに告白もできていない
“相手がダメなら自分かが動かなきゃ恋は成就しないわよ“
アゴミは夏海にとりあえずそう言ってアドバイスはした、あとは夏海次第なんだけど・第一段階突破はしたようでちょっと安心していた
「それにしても3番隊隊長って案外いい男だわ。背がたかくて細マッチョで・・ギラギラしてなくて」アゴミが言うと
「サラッとした感じに見えるわ」と誰かが言う
「あれでもうちょっと喋ればいいんだけどな」声がして振り向くと銀時がいてあアゴミは驚く
「パー子、何?いきなり?」
「うちの従業員のデートだ気になるだろ?」
周りは応援モードでいるのに当人達は・・・どこかのんびりしたと友達付き合いのような恋人一歩手前のような付き合いをしている
でも2人の笑顔は楽しそうだ、と電柱の影から彼、彼女らはそう思って後ろ姿を見ていた。