アヒルの子はアヒルでいい
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鏡よ鏡よ鏡さん、この世で一番・・・いいえ、100万人位の中で可愛いのはだあれ?
「少なくともあなたではありません」鏡の精は決まってそういう
ーーーー夏海はずっと幼い頃から自覚はあった。
「夏海ちゃん、あなたは見た目が良くないんだから、他の人よりお稽古事をたくさんしましょうね。」両親はそう言ってたくさんのお稽古を3歳から習わせた
学校に上がる頃には「ちゃんとお勉強もできるようにならなきゃね。見た目が良くないならおバカじゃダメなのよ」そう言われて学習塾に通いながらお稽古事が続いた
お勉強が一番できても、お稽古事でお免状をもらっても見た目が良くなくて性格が地味だとなんのプラスにもならないことに途中で気がついたけれど。途中で辞めることは許されなかった
どんなに綺麗な服を着ても似合わないことを両親は知っているから地味な色を着せていたし、体型も子供体型のままがっちり肥満な私にはちょうどよかった。
そんな私にだって好きな人はいた。悲しい結果しかでなのは当たり前だった
大学まで出て色んな資格をとって就職・・不採用だらけ。書類選考で落とされる。
「成績は抜群なのに・・やっぱり」母は私の見た目を嘆き、産んだ自分を責めることも多かった
でも母親は一縷の望みを捨てなかった。親戚のツテでお見合い大作戦を決行していったが、どれほど写真を送り立派な資格の並んだ釣書を見ても
まず、写真を見た時点で玉砕
父に至っては多国語を話せたらもしかしたら外国人なら好みが違うからと慰めにもならない言葉を言い、幼い頃から英会話は習わせたおかげか流暢に話せるからと、それ以外の外国人もいるからとさらにフランス語にドイツ語、果ては中国語が加わった。
夏海自身は最後にはアフリカ方面の言葉まで習わされるんじゃないかと気が気じゃなかった。
しかし神様は見た目を奪った代わりに勉学や資格取得に関してはスイスイと取得でき流ようにしてくれていた。
思えば両親は夏海をとても心配して、大事に思い、どうしたらいいか考えてくれたことは夏海も理解していている
ちゃんと現実をいい、どうしたらいいかを考えてくれた。
しかし、問題は見た目と性格に難があるということに気づいていなかった。
長きにわたり可愛く無いだの、女の子らしくないだの、デブだの、果てはレスラーだのと言われた夏海は若干性格を拗らせている部分がある。
成長するにつれ上っ面はちゃんとしているし、元々責任感はある性格で、勉強や習い事のおかげで博識ではあるが・・貶され続けると大人しくなってしまう、拗らせて大人しいのは非常に問題で心の中では思いながら言葉にできず、どうせ・・というジレンマと開き直りに陥る。
例えば二つから一つを選べと言われても先に選べない
「夏海ちゃんはこっちで私はこっちね」
いつも、そう、素敵だなと思ったものは先に取られてしまって残り物になる
から諦めている。欲しいものは手に入らなくてみんながいらない残ったものは私にくる
本当は私もそっちがいいのに・・でも言えない。
「よかった、私これがいいの」
そういう毎日に慣れてしまっていた。
そんなある日「おじさんの店で住み込みで働きなさい」そう両親に言われて突然家を出された
理由はあまりに家から出ない私を心配して両親が決めたことだったけれど、本音を言えば出てろくなことがないから出なかっただけで・・それを理解していないところが困る。
行ってみれば看板娘の従姉妹と比べられることは多かった
屯所出入りの業者だから嫌でも隊士たちの目は二人で動けば比べる対象になる。
この屯所でも私が配達に来るとがっかりした顔で出迎える隊士がいる事も知っている。
でもちゃんと仕事をして、真面目に生きていれば幸せはいつか来るなんて思えるような
夢を見てる私がそこにいた。
「おはようございます。湊商店です。」そう言って勝手口を入ると「今日はそっちか」という残念がはっきり顔に出ている人たちが数人。
そのまま散り散り何処かへ去っていった
荷物の搬入も私の仕事で代車を押しながら搬入口まで行きそこから下ろすのだけれど。これが一苦労で食品はそれなりに重い。
慣れているから一人で黙々と運んでいると横からひょいと担ぎ上げてくれるのは斎藤隊長だった。
時々ではあるけれど、見かけると無言でそれを運んでくれる。
一番重いものを見つけ出して先に運び込んでくれるのは斎藤隊長だけだった。
全部運び終えると黙ったままペコリと頭を下げて去っていく後ろ姿にいつも私もお辞儀をしていた。
この人だけは違うのかな?そんな気がして・・そんな私が密かに恋に落ちるのは簡単なことだった
そんな私が屯所で働くことになったのは、偶然が重なっただけというか
従姉妹の舞ちゃんが断って代わりに・・と言われたからだった。
週に3日の約束で屯所へ通いの女中となった
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