一世一代の恋
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相変わらず花屋は繁盛している
お登勢の店にも時々花が飾られる。
凛はすっかりかぶき町になじんでいた。
ー彼女は過去を一切話さない、身の上は誰も知らない
この町ではそれで生きていける。
でも彼女が生きとし生けるものすべてに愛情を注ぐ人であることは理解できるようになっていた。
ーー銀時は気づいていた。
少なくとも自分が住む世界にいる人間?生き物ではないことに。
それでもこの町になじみ関わりを持つ凛との距離は少しだけど縮まっていた。
銀時もそうだったが、凛もあまり距離を詰めては来ない。
あの笑みを絶やさない口元にどこかひんやりとした物を感じていた。
ーーーとある日。
飲み歩いた銀時は酔いを覚まそうと公園のベンチに足をだらしなく伸ばして夜空を見ていた。
またあの日と同じ金の光が待っている。
「まただ。なんだあれ??」
目の錯覚ではないかと目をこすってみるけれど、それは確かに銀時の目に映っていた。
ベンチから立ち上がりその光が差す方へ歩いて行くと小さな池のあたりからだと言うことは確認できた。
さらに近づいたとき、そこにいたのは凛だった。
池の縁の石の上に座りその光を手のひらにのせて微笑んでいる。
そしてそれは彼女の周りをくるくる回るように回転しながら空へ上っていく。
ーーー銀時は一歩足を踏み込んだ。
“・パキン“ 足下の枝が音をたてて折れた。
「誰?」
立ち上がってその音の方向を見た凛と銀時の目が合った。
「銀さん?」
「わりい、俺酔っ払ってんの?なんかきらきら幻覚見えたんだけどぉ、
・・・銀さん見ちゃ行けないもん見ちゃった感じ?」
頭をかきながら近づく銀時に凛は少し困ったような顔をして池から離れた。
「こないだの、あれも凛だったのか、ってか、あれなに?ってか。これなに?」
のぞき込むように聞く銀時から視線をそらすと
「ここで死んだ生き物たちの命と話をしていたのよ」
「これってオカルト!?なに?それってかさ。凛って
何者なんだ?」
最初こそおどけた声だった
でも何者なんだと聞いた銀時の目は笑っていなかった。
「わたし?・・わたしはわたしよ。・・・消えた生き物の
最後の声を聞いてあげているだけよ」
「本当におまえ何者だ?人間じゃないよな?」
「生き物よ、私だって自分が何なのかわかってない、
人間の姿をして気がついたらこうして生きてるだけよ」
「じゃあ、なんで・・」
その言葉を彼女は遮った。
「銀さんには理解できないわ。」
ーーその目は金色の輝き銀時を見ていた。
何時ものあの瞳じゃない・・底のない冷たさ、背中に冷たい物が走る。
「・・・・銀さん、もしかして怖かったりする?」
ふわりとまるで舞うように池の縁から飛んで銀時の前に立ち話しかけた。