一世一代の恋
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真選組の詰問所で
目の前には沖田が座って腕を組んでいる。
凛は顔色一つ変えず、怯える事もなく
背筋を伸ばし口元は何時もと同じに笑みをたたえて沖田を凝視していた。
「・・まずはあんたのことをじっくり聞かせてもらおうか?
あんた地球人じゃないな?天人か?どっからきた?」
「これが何かわかって持ってたのか?」
「もちろん。あなたは知ってるの?本当に知っているの?」
花のことは答えるがどこから来たかははぐらかされる。
「宇宙中を転々としてきたから故郷などないに等しいわ・・
一個一個言ってたらまるまる3日はかかるわよ」
尋問を受けているのに場慣れしてるのか
それともよほど精神が強いのか
沖田は動揺の色一つ見せない〜〜に少しいらだっていた。
・・・・詰問所に入れば大抵の奴は動揺する、もちろん拷問だってひどいときにはある
ーーーーでもこの女は全く動揺を見せない。
真選組もなめられたもんだ。ギリっと奥歯を噛んでから
ふっと息を吐き、言葉を続けた。
「まあ、いいさ、これは没収廃棄だ。あの花屋の花もすべて廃棄する」
そういったとき沖田の目は瞳の色が変わる瞬間を捕らえた。
動きを見せなかった指先が小さく動いた。
金の瞳・・さっきの色と違う?
「何でぃ。たかが花で動揺でもしてんのかい?
それともあの花屋にはもっとやばいもんであるのか?
それともこんな花が大事か??」
瞬間、沖田はその花を切り捨てていた。
床に散らばる花びらをその瞳はじっと見ていた。
静かに視線を沖田に、向けた凛は椅子から静かに立ち上がった。
「誰が立てと言った?」
刃を向ける沖田に怯えもせず散らばった花びらを一つ手に乗せた。
「・・・・あなたはこれは雌花だって知ってますか?
この花は絶滅種で最後の一輪であったことを知っていますか?
そしてこの雌花は麻薬性を持たないと知っていますか?」
伏せられた奥に見えるかすかな金色の目が
目の前に突きつけられた切っ先からのび沖田を見つめていた。
ーーそのときドアが開いて山崎が慌てて入ってきた。
「何でぃ山崎」
「お。沖田さん!!その人は無実です
そ。その花は〜といって雄花と雌花があって
雌花は麻薬性を持たないと調べてわかりました、
それは雌花です。
なにぶん珍しい花でなかなか情報がなく時間がかかって、申し訳ありません」
そう言って頭を下げた。
沖田は黙ってその刀を鞘にしまい込んだ。
「たかが花ひとつに・・」
忌々しげにつぶやくその沖田の言葉に
どこか静かな怒りのこもった声が届く。
「そう、あなたにとっては、たかが花。
でもこの種はこれでこの世界から消え去って
永遠に戻らない、
わたしは最後だからこそ
枯れるまできれいに咲かせてやりたかっただけ」
「そうかい。幸せなこった、
花一つでそんな必死になれるときたら。とりあえずは無罪放免だ」
そう言うと背を向けた。
ーーー「あの人。花を全部拾っていきましたよ」
山崎から後で聞いたが沖田ふん、と鼻で笑っただけだった。
たくさんの人間を切ってきた沖田にとって花一輪など端にもかからない存在だった。
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凛が屯所を出たときそこに万事屋の3人がいた。
「大丈夫アルカ?」
駆け寄る神楽ににっこりと大丈夫よと返す凛はどこか悲しげに見えると銀時は感じていた。
「屁怒絽さんも心配してますよ」
新八の言葉に頷きながら歌舞伎町へを帰って行く
「ご迷惑をかけて済みません」
銀時にそう言うと
「たいしたことはしてねぇよ。迎えに来ただけだ。」
と言った
その時手に持った何かを銀時は見つけていた。
入り口では屁怒絽が心配そうに右往左往していた。
大きな背中を丸めて頭を抱えて。
「雇い主が心配してるぞ」
そういって背中を押した銀時が改めてその手の疑問を投げかける
「何を大事そうに持ってんだ?」
「命の残骸です」
口角ををあげ静かに微笑む彼女のその手のひらには
しおれきった花びらが大事そうに持たれていた。
ーーくだらないと思う反面、これだからあのヘドロと話が合うのかと納得も出来た。
「大変でしたね、もう今日は休んでいてください」
そう屁怒絽に言われて部屋に戻った凛だったが
その手に握られた花びらはもう色も変わり果てていた。
「守ってあげられなくてごめんなさい」そうつぶやいた。
同じ時刻銀時は空から金の光が舞うのを見た。
それは、花屋の一つ向こうの通りにいた沖田も同じだった。
「なんだあれ?」
まるで二人の声がリンクするようにかぶき町の空に響いた。