一世一代の恋
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青蓮香事件から5ヶ月余りがたった。
まるで何もなかったかのように、かぶき町での毎日は通り過ぎていった。
神楽も最初は夜兎と凛の種の経緯に戸惑いもあったが
「それでも凛さんは自分の身を挺して僕たちを助けてくれたじゃない?」
新八の言葉に
「そうアルね、凛は人間が愛しいって言ったアルね。
私も凛が大好きアル」
そう言った。
でも。凛は少し自分が疲れてしまってることを自覚していた。
理解しようとする頭とついていこうとする心のバランスが崩れている。
これもまた冷静に判断できてしまうのが凛の性格。
「少しここを離れようか・・・誰もいない星で過ごすのもいいかもしれない・・
でもこの花はどうしようか。屁怒絽さんでは無理だし・・。」
温室で持ち帰ったあの神威たちの母が好きだと言った花を見ていた。
株分けも終わって少し増やせただけ。
まだ増やしてあげられるのに・・・。
「凛さん」振り向くと屁怒絽が立っていた。
「花、元気に増えてますね〜」
そう言って他の花に水を与え始める。
「凛さん、その花のお世話、詳しく教えてくださいませんか?
・貴方がいない間ちゃんと育てておくんで・・」
背中を向けたまま屁怒絽がそう言った
「屁怒絽さん?」
「・・疲れてらっしゃるようなので。この前戻られてから。
元々同じ場所にいない凛さんが長くここに留まって
・・僕は疲れてるんじゃないかと心配で。
だから少し前のようにしたらいいんじゃないかと・・・
あ、あの、あの追い出すわけじゃないんです
ちょっと休んだら帰ってきて欲しいなって
元気になって戻って欲しいって。。それだけなんです。」
丸めた大きな背中は少し震えていた。
優しい、屁怒絽さん。ありがとう。そう心で呟いた・。
「この花の手入れ方法、明日から教えますね。」
その背中にそう言った。
翌日から屁怒絽はその花の世話を教えてもらった。
絶対枯らさないで大事に増やして、凛さんが帰ってきたら
びっくりさせてあげよう、と思っていた。
この温室中に咲き誇らせて、すごいって褒めて欲しいと思った。
「明日、出ていきますね。」
凛がそう屁怒絽に告げた夜、
「とても寂しいです。・・絶対に帰ってきてください、
約束してください。・・心の疲れが取れたら・・」
肩を落とし、俯く大男の姿に
「ありがとう、」そう言った。
早朝、まだ誰もが眠りについている時間
小さなトランクを持って凛は花屋を出た。
手にはあの鉢植えの花。
神楽にあげると約束していた花
それを万事屋の玄関前にそっと置いて静かに階段を降りた。