一世一代の恋
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
本当は・・凛も気づいていた。
もうとうの昔に届いているから凛は命をかけてまで
助けようとしていた。
神威は夜兎と凛の種族の関係をいとも簡単に飛び越えようとするだろう。
それが・・猪突猛進の彼らしいところだと思える。
でも凛は逆に冷静に自分の感情とは別のところで
どうするべきか考える。
おそらくそれは相手が誰であっても同じことになる。
元々の性格が真逆である二人の関係性を変えるのは容易なことではなかった。
「凛さんがどんな人であろうと、僕はこの花屋で働く彼女が本当の姿だと思ってるんですよ」
流れていく星々の景色を見ながらそんな屁怒絽の言葉を思い出す銀時は笑いが漏れる。
そのままを受け入れれば済む事、それを屁怒絽は体現してるのかもしれない。
ただ、はっきり言えるのは確実に片思いであるって事
可哀想な話なんだが・・・。
凛の父親を切ったのは俺だ。
凛はそのことに何も触れてこず、無事で良かったこと、
ウィルスを撒き散らさず、あの兄貴がその後無毒化したことを言うだけ。
「ウィルスが父ならば・・・その抗体は兄。
父が毒ならば、兄は解毒薬・・・そう言う関係です。
元々がそうなのです。
・・・兄がもし父のような性格であれば事態は違っていました。
私には兄が来るのを待つしかありませんでした・・・
無力なんですよ、私って、所詮は兄頼みなんですから。」
自虐的に笑って銀時にそう告げた。
「なんで神楽やバカ兄たちを助けようと思った?」
そんな質問に少し考え込んで、いつもの顔に戻って
「絶滅危惧種だから」と言った。
そして神楽ちゃんが好きだからと。
銀時はあのバカ兄貴は?と聞きたかったが
すんなり返事はしないだろうことはわかっていたから
あえて聞きはしなかった。
神楽があの時部屋に入ってこなければ、もしかしたら聞いてたかもしれないが。
凛の神楽を見る目は優しさに満ちている。
最初の頃とは違う、。それはきっと神楽も感じてる。
まあ、俺がどんな気持ちでいるかなんてわかってもいないだろう。
それに、あいつの父親を切ってしまったからな・・・事情が事情とは言え・・。
船を降りる前にもう一度凛と話す時間を作った。
そして・・改めて聞いた。
「俺は凛の父親を切った。
憎いとか恨むとか感情もって当たり前だ、でも言わねえ、
あるがままの事実を受け入れるだけだ。恨んでも憎んでもいいんだぞ?」
「父は・人間に殺される姿を私たちに見せて
許すという感情を排除しようとした・・・
憎みなさいと教えたかった、
人間はこうして私たちを簡単に殺すと言いたかったんだと思います。
そうはいかなかったんですけどね、だからそんな風に言わないでください」
静かに言う凛にもう俺は何も言えなかった。
かたや・・・花屋の前では屁怒絽が帰宅の遅い凛を心配して
日がなウロウロして空を見上げていた。