一世一代の恋
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ホテルに戻ると銀さんたちが戻っていた。
ラボで神威がいたことを伝えると神楽は何もされなかったかまた心配してくれた。
明日はチェックアウトして桜蘭へ戻ることにして夕食を取りにホテルを出た。
ーーー何か気配がした。
「お父様?・・まさか?」
振り返ってもそこには誰もいない。
「おい!!しっかりしろ!」誰かの声がした。
「何かあったのか?」
銀時が声のした方に向かって走った。
凛もあとを追った。
仄暗い建物のEVホールに夜兎が倒れていた。
神威と一緒にきた春雨の団員・・・・
神威たちも少し離れた先でその姿を見て駆け寄ろうとした。
凛はその夜兎に近づき体に触れた。
「・・死んでる。」
鼻を通る匂い・・・・これって・・。
その遺体な無傷で戦った形跡もない。
苦しんだ形跡もない。
「おい!何があったんだ。」
阿伏兎がそれに触れようとした瞬間、
凛はその体を力任せに突き飛ばした。
もちろん非力だからほんのちょっと下がっただけだが。
「誰も近寄らないで!あなたも死にたいの?」
「どう言うことだ。なんでこいつは死んでる」
「この匂いに覚えがあるからです、誰も近づかないで!」
祖父が持っていた小瓶、
「これは私たちに害はないが、ほかの種によっては命を奪うもの。
特に夜兎には。長きにわたる歴史の中で私たちが作ったものだ。
でも使ってはいけない。
戒めのために持ってるものだ。
でもいつでも私たちは手を下せる。
でもそれは私たち存在を否定するもの。
命を奪う行為を絶対にしないための戒めそのもの。」
そう・・その匂いと同じ、でもなぜこの夜兎なのか・・・。
まさか、お爺様が?夜兎を殺す意味なんて何もない。
冷たいものが背中を伝っていく、命は奪ってはいけないとそう言っていた。
お爺様がこんなことをする?
「どう言うことだ?事と次第によっちゃアンタを殺さなきゃならないぞ」
阿伏兎は怒りを隠そうとしない。
神威もこの事態を重く捉えて問い詰めてくる。
「遺体を回収します、危ないので下がってください」
そう言ってセキュリティサービスがきた。
「どこに運ぶんですか?」そう聞く凛に
「ラボに搬送するように指示が降りています」
そう言った。
ーーーその瞬間、わかった。ーーー
お父様だ・・と・
「確かめたいことがあるので、少し時間をいただけますか?
逃げたりしません。」
神威を見つめてそう言った。
「ラボって。父親のところか?」
銀時の言葉にうなづいて
「鍵はあそこにあります。でも人間は来てはいけません、夜兎も含めて。」
そう言って背を向けた。
ーーーホテルの一室に銀時たち、神威たちはいた。
誰もが重い口を開こうとしない。
「真実を知るにはラボにいくしかないな・・」
銀時はそう言った。
ラボについた凛はインターホンを押した。
ーー「来ると思ってましたよ。」
ラボのセキュリティが解除され凛は中に入った。
メインシステムのある部屋に凛は通された、そこには父が作ったメインシステムコンピューターに実験装置・・。
「凛、素晴らしいでしょう?私が作ったシステムです。
随分かかりましたが。」
「・・お父様、先ほど街にいらしたのではないですか?
夜兎の一人が即死でした。・・・あの匂い。
お爺様とは考えにくい・・お父様ではないのですか?」
両手を前で握りしめて、“どうか違うと言って欲しい“
そう思いながら問いかけた。
マスターはにっこりと笑いながら
「・・そう私ですよ。実験的に使ってみましたが大成功でした。」
それは残酷な・・私の知らない父。
「そこに隠れている夜兎も地球人も入りなさい」父が言った。
・・先刻のことだ。
銀時たち、神威たちはラボに大急ぎで向かった
「セキュリティ、破れんのか?」そう言う銀時に
「叩き潰せばいい」神威はいった。
・・ところが、まるで彼らがくるのを知っているかのように
セキュリティが解除され、開け放たれたドア。
光のラインが伸びる廊下を行くと、声が聞こえた。
凛が話をしている。
それは・・マスターが夜兎を殺したと言う事実。
凛の声が震えている
銀時も神威も訳がわからない
ただ神威や阿伏兎は同胞を殺された怒りが気配から感じられるほど熱が上がっていた。
マスターが気配に気づいた。
そこは。。最先端のシステムが揃えられた部屋。
マスターは階段の上から凛を見下ろすように佇んでいた。
「やっと、役者が揃いましたね。」そう言って笑う。
「殺されるのをわかっててセキュリティを解除するとは」
阿伏兎の言葉に
「殺されるのはあなた方ですよ、夜兎の皆さん、他の方は災難ですがね」
「・お父様、なぜですか?彼らが何かしましたか?」
問いかける凛に
その手を伸ばし顔に触れて聞いた。
「本当に何も知らないのですか?お爺様から何も聞いてないのですか?」
「なんのことをおっしゃっているのか、わかりません。」
「君の記憶はかすかでも覚えているはずですよ。
私たちを滅ぼしたのは、夜兎です、思い出しなさい。
閉じられた記憶を、正確には今のあなたの先代のあなたですよ、
その細胞の一つ一つに全ての記憶が残っているはずです。
そして逃げて散らばった仲間を殺したのは天人。
そして地球人もいる。」
ーーー父の言葉に空気が止まった。
後ろにいる神威、あぶと、神楽たちが目を見開く。
銀時が思わず聞いた。
「どう言うことだ?」と。
言い含めるように凛に言葉を続けていくマスターの口調は淡々と感情を入れてくることはない。
「私は君に言ったはずです、何度も言ったはずです。
人間を信じてはいけないと、
お爺さまは言ったはずです、許してはいけないと、
人間は愚かだと教えたはずです。
その君がなぜそこにいる?
地球人ばかりか何故夜兎と一緒にいるんですか?」
視線を上げてマスターは神威たち、銀時たちに話し始めた。
「私たちの住む星、青蓮香は・・それは美しい星だった、
・・・夜兎がくるまでは・・・
疑うことをしない、全てが命に満ちそれを大事にする星だ。
争いはしない、
そこに付け入ったのが住む星をなくした夜兎だ。
それでも私の先祖は共存できないかと思うような
博愛主義な私から言えばバカな生き物だった。
彼らは風の音を聞き、地の声を聞き、空の声を聞き
生けるものの声を聞き、死にゆくものの声を聞き
魂を抱きしめるような生き物だった。
戦うことを何より嫌い、戦うぐらいなら犠牲になろうとする
バカな生き物だった。
戦闘種族にはいとも簡単に彼らを手に入れることができる。
赤子の手をひねるより簡単だった。
だが星を破壊し尽くし、彼らは去った。
残ったのは荒れた大地と壊れた建物。
たくさんの遺体
その中で生き延びたのが私の祖先だ。
彼だけが攻撃性は持たないが防御性だけは持ち合わせていた。
それは夜兎の攻撃性に匹敵する力だった。
彼らに殺された者たちの魂を抱いて再生を果たした。
そして星を再び再生させるために得た力で私たちは再び生まれた、
そして何度も死と再生を繰り返してきた・・・
星は緑を取り戻し移住者がこの星を発展させた。
・・それなのに
同じ記憶、遺伝子を持っているはずなのに、
凛君はなぜ彼らを守ろうとするのだろうね?
君は何を見てきたのですか?
私たちの悲しみや怒りを忘れて生きてきたのですか?」
凛は後ろを振り返って見た・・・・・
神楽の目を神威の目をそして銀時の目を。関わった日々、そして他の星で出会った人々・・・
彼らは笑い怒り時として悲しみ喜び。涙も血も流す。
それぞれの想いと信念を持って・・
私の感じた物は、父のそれとは違う。
彼らの目に浮かぶ戸惑いが見える
「思い出しなさい、そして憎みなさい彼らを。
赦してはいけない。
私たちが救うのは人間たちに命を奪われた全ての花々や生き物だけ、
人間は特に夜兎は救うことは絶対に許されない。」
ようやく分かった事実と彼女の本当の姿にみんなが戸惑っていた。
ーーー神威でさえ、戸惑った。
ただ阿伏兎は
「そりゃ一族星ごと潰されたら、あの父親の感情が正しい。
でも俺たちは夜兎だ。
・・最も昔の先祖様は今よりもっと激しかったろうな。
星ごと滅ぼしたのもわかる。
体を粉々にするほど殺したのかもしれんしな。・・・・憎んで当然だ。」
そう言った。
「でも。凛は血を流したり、争ったりが嫌いアル!!
でも自分が人を憎んだり蔑んだりすることはもっと嫌いアル!
だからあの父親とは全く違うアル。」
神楽の言葉に新八が
「初めて会ったときのあの笑顔は作られた笑顔だったけど
それで全ての感情を隠して生きてた。僕は今の凛さんが
本当の姿だと思います。
今僕らを守ろうとしてる。
にくい筈の人間を守ろうとして実の父親と向かい合ってる。」
さらにマスターは恐るべきことを言った。