一世一代の恋
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博物館を出た二人は
通りに面した深夜営業のカフェで飲み物をテイクアウトし
博物館そばの広場の階段に座った
神威にとってこう言う時間は稀なことだった
「今日。ここで見たことは幻よ。そう思っていてね。」
静かに凛は神威にそう言った。
「なぜ?」
「あまり人に知られたくないから。」
その横顔はどこか悲しげで寂しげだった。
神威と博物館前で別れ、凛はホテルに戻り、窓辺に置いた花を見ていた。
「変わった人ね、あれを見て驚かないなんて・・・」
そう呟いた。
4日間の滞在で花の種や苗、樹木までを宇宙船で送る手配を済ませ、
エージェントからもらった鉢植えだけを船に自ら持ち込むことにした。
もう咲き誇ってるから散らせたくなかった。
新涼宇宙港で椅子に座り、出発時間を待とうとロビーを歩いていたら、
椅子に座っている神威が目に止まった。
ーー神威も気づいたようで、立ち上がる。
でも視線がすぐ移動した、
凛が持っている花に。
・・・・・・宇宙港で地球行きの船を待っていた・・・・
そして、ロビーを歩いてくる凛さんを見つけた。
俺は、凛さんが持っている花に目が釘付けになった・・・
あの人が、・・・母が好きだった花。
なぜ、凛さんが同じ花を持ってる?
「同じ船?」
そう言う凛さんに花を指さした。
「ああ、これね、エージェントからもらったの、
私この花が本当に大好きで。地球で育つかどうかはわからないけど、
鉢植えで増やせたらいいなと思って・・
綺麗でしょって言っても神威はそんなに関心ない・・かな・・?」
・・え?好きな花って言ったよね?
好きな花って・・・・
いろんな思いが神威の中で交錯する。
「神威?どうかしました??」
「あ、なんでもない」
そう言ってゲートへ向かった。
流れていく星の景色を見ながら二つ向こうの席にいる彼女のことを考えていた、
花で思い出したあの人の顔、声、手の温もり。
ーーー痛み・・・。
同じ花が好きだと言った凛さん。
博物館での凛さん、触れてはいけないようなその横顔。
“ここでのことは幻”
そう言った彼女は何を思い抱えて今まで生きてきたんだろうか。
ーーー知りたい、知りたい、もっと知りたいーーー
貪欲なる自分がいる。
彼女はおそらくそんな俺を微塵も感じてないだろう。
知ればきっとかわされておしまいだ。
「・・・なんかうまく行かない」そう呟いてた。