振り返るそこには仲間であろう天人に傷付けられ意識を失っている女が。





「なんてことを・・あの方達が何を」




「俺たちが相手をしてやるって言うのに逆らうからだ」




凛は天人たちを改めて見る、・・・彼らは・・・？






遠い過去の記憶の中に父の言葉を思い出した


“天人の発情期には気をつけなさい“



・・彼らは発情期を迎えてる？・・・





“天人の中には時期で盛る連中がいるのですよ、


その時期は同族であるメスを探す


でもいないときはその欲を満たさんとばかりに別種のメスを探すんです。

関わってはいけませんよ、盛りのついた雄は非常に面倒です“





・・お父様すでに面倒なことになっております。


心の中でため息をつく






ひとまず人の多いところへなんとか行けば、何か手立てはあるかもしれない




この裏路地では逃げようもない・・・



だからって相手をしてあげるほどのお人好しじゃない




困った・・表通りまで3m・・


後ろに下がってもそんな全力疾走で3mも走れるほど器用じゃないし・・・私、鈍足なんだもの。





なんとか方法はないものかしら


場所変えてとでも言って・・いやあの目は完全に発情のオス
無理だわ。・





承知で逃げてみるか・・・


多分、時間的に彼女に会えるはずなんだけど・・・

大通りなら彼らも手を出せない。








凛はこんな時でもどこか冷静に頭を働かせていた。