何時もの駄菓子屋へ行った神楽が
「知ってるかい？花屋にきれいな嫁さんが来たらしいよ」
そんな話を耳にした午後


驚きを隠せない様子で万事屋の扉を大きな音とともに開けて駆け上がってきた

「大ニュースアル！あの屁怒絽さんちにお嫁さんが来たアルよ！！」

ソファで寝転んでいた銀時は飛び起き
新八は飲みかけのお茶を吹き出しそうになりながら
うっすら汗かき走ってきた様子の神楽を見た


「ど、ど、、どういう・・屁怒絽さんに？？？」

「あの強面に、物好きな・よっぽど強面の女なのか？
あの西郷みたいな・・」

「銀さん､言い過ぎですよ。まだ会ってもいないのに」

「いや、想像してみろ、あの屁怒絽の嫁だぞ？」

そんな会話を遮るように神楽はぽつりと言った

「・・・・・凄い綺麗な人らしいアル」
 
銀時は顎に手を当てて何かを考えるように天井を見上げた後

「花を買いに行こう！」

と言い出し立ち上がった


「銀ちゃん。もしかして見に行くアルね？」

「銀さんだけ行くのはずるいですよ」

3人が我先にと玄関に走り花屋へ向かうと・・

何時もよりかなりの人数の人があちこちに立っている

しかも視線は・・・屁怒絽の花屋さん。
 
「なんだ？あれみんな見に来てんのか？」
銀時は驚きながらそれを見ていた

その背中の後ろから新八。
神楽も顔をのぞかせる


でも見えるのは屁怒絽の大きな体だけ
 
そのとき、陰から人影が見えた


「何だ、あの別嬪」

そうつぶやく銀時とため息をつく神楽たち


透けるような白い肌につややかな黒髪

日傘がないことを見るとあの白さでも夜兎ではない

日光を浴びている

屁怒絽が銀時たちを見つけてぺこりと頭を下げた

それにつられて思わず頭を下げ

花屋へ吸い込まれるように足が向かった


「万事屋さん、こんにちは」

相変わらす強面だが腰が低い屁怒絽の隣にいるその人に目を向ける
近くで見るとなおさらだ


「きれいアル」
神楽が思わずつぶやいた


背は高い、あの沖田と同じくらいか、いや少しそれより高い
さっき見たのと同じで黒い髪がきらきら揺れている


きれいなアーモンド型の目を不思議な色をした瞳、
まるで何色か混ざったような紫がきつめか？

そして口元にほほえみをたたえたような。
見た目はもう完璧だと思えるような・・・


でも地球人じゃない・・天人か？
そんなことを一瞬にして考えていた