眼鏡紳士

ヒロんちにある大きなピアノ
今は妹しか弾かないらしいが、昔はヒロもピアノを習っていたらしい。
ヒロの弾く姿が見たくて、時折催促する。

「ヒロ、アレ弾いてくれよ」
「アレとは?」
「アニメのピノキオの…バッタか何かが歌うやつ」
「…ああ…でもアレ、コオロギですよ」
「とにかくアレじゃ」
「はいはい…」

一呼吸して、ヒロの細くて長い指が鍵盤の上を滑る。

ヒロの奏でる音は、
ヒロの性格そのままで、

規則正しく

優しい


女神様、俺の願いを叶えてくれるなら
愛しいあの子に釣り合う

ひとにしてください
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