眼鏡紳士

仁王と柳生は初詣に県内でも有名な神社へ来ていた。
しかし、来た早々柳生は気分を悪くし、大通りから外れたところで休むことにした。


「人ゴミ駄目なら言ってくれりゃいいのに…」
「…でも…仁王君が楽しみにしてらしたので…」
「…別に、ヒロの顔見る口実だし…」
仁王の呟きは柳生の耳にまで届かなかった。
「は?」
「あ、じゃあ、この近くにちいさい神社あるんだけど、そこ寄るか?」
「ええ」

そうして二人は、人が疎らな小さな神社でお参りした。




冬休みが明けた初日、談笑していた仁王と柳生のところに、柳が声を掛けてきた。

「お前達、正月に○○神社に行ったか?」
「……?ええ」
「あそこ…子宝祈願で有名なところだぞ?」
「!!」
「!…ブッふぁっ…!」
驚く柳生とは対象的に、仁王は思わず吹き出す。

「うちの母親が偶々近くを通ってな、男二人が熱心に拝んでいたから何となしに見ていたら、俺の同級生じゃないかって言うから…印象深かったらしいぞ」
「そら、参ったのう…ククク」
言葉とは裏腹に笑いが止まらない仁王。
「…に、仁王君っ笑い事じゃないですよ!」
「お参りなんて拝めりゃどこだっていいじゃん…」
「…知ってて行ったな、雅治…」
「!!に、仁王君っ?!」
「ヒロなら可愛い子産めるよ」
ばれたか、と口元を歪めると、柳生を向いてウィンクをする。
「…フッ」
「や、柳君?!そこ笑うところじゃないですよ!」
「のう、柳もそう思うよな~」
「そうだな…」
ニヤニヤと口元を緩ませる仁王と淡々と呟く柳。
「ふっ、二人とも、冗談は止めて下さいっ」
赤くなって声をあげる柳生。


以後、柳生はほとぼりが冷めるまで仁王と出かけることを断り続けたという…
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