眼鏡紳士

6月4日(×)

今日、学校帰りに柳君が珍しく私に声を掛けてきた。
「少し付合って欲しいところがある」
と言うので、
「あまり遅くならなければ」
と了承した。

柳君は中々目的を教えてくれず、私はただ柳君に付いて行くだけだった。
そして着いたかと思えば骨董屋で、ここに何の用があるのか不思議だった。
柳君はどんどん店内に入っていき、あるものを見つけるとそれを店主の所まで持っていった。
綺麗な包装をしてもらっていたので、誰かへのプレゼントだろうと思っていたら、柳君は私にその買ったものを渡してきた。

「お前は最近アンティークに凝っていると言ってたからな」
とだけ言い、またも先に歩いてしまった。
何故私にくれたのか頭が疑問符だらけになりつつ、私は柳君の後を追った。

柳君は暫くして、ふと立ち止まり、
「腹は空かないか?」
と聞いてきた。
特別空腹だったわけでもないが、結構な距離を歩いたので、休みたいとは思っていた。

近くのファミレスへ入ろうと柳君が提案した時、店の出入り口で入れ違いに柳君の幼馴染という青春学園の生徒に出会った。
彼は、あの真田君も一目置くテニス部の部長と一緒だった。
その部長もまた、プレゼントと思しき随分大きな包みを抱えていた。
柳君は彼らの様子を一瞥したのち、
「随分楽しい誕生日だったみたいだな」
と微笑んだ。
その言葉を聞いて、幼馴染の彼は口端を上げて、
「お前も楽しい誕生日になりそうじゃないか」
と笑った。

「…そういえば今日は柳君の誕生日でしたね…」
二人の会話で記憶を辿れば、学校で切原君が柳君に何かあげるのを見ていた。
しかし、柳君の誕生日とこの一連の行動の意味がわからずさらに疑問符を増やしていたら、柳君に背中を押され、店内に入るのを促された。

結局、柳君を祝うどころかファミレスでの食事代も奢って頂いてしまい、今日はとてもすっきりしない一日だった。
明日改めて柳君に何かプレゼントしたいと思う。



6月5日(×)

昨日の話を仁王君にしたところ、
「あー…柳の気持ち何かわかるかも…特別な日は特別な奴と居たいよなぁ…」

と言われても、
昨日の柳君の一連の行動とどう繋がるのか、さっぱりわからなかった。
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