眼鏡夫婦
6月2日、翌日が乾の誕生日と知った手塚は表情には出さなかったが、非常に焦っていた。
一体、何をあげたらいいんだ……
そもそも、イベントごとに疎い手塚は、案の定不二と菊丸から冷やかされるまで乾の誕生日に気付かなかった。
そんな手塚と乾の関係を不憫に思ったのか、それとも面白がっているかは定かではないが、不二と菊丸は手塚に助言をすることにした。
「んー、俺なら…フワフワオムライスとかプリプリエビフライとか作ってあげるかな」
「…それはお前の食べたいものではないのか?」
「んもー、要は愛情篭った手作りとかいいんじゃないってこと」
「手作り…そうか…」
「僕はずっと一緒にいることが一番の贈り物かな。自分自身がプレゼント♡」
「自分自身…」
「おぉ~さすが不二!大胆にゃ~」
「そうかな?僕以上のプレゼントなんてないと思うけど?」
「…さ、さすが不二…」
当の手塚をおいてけぼりで盛り上がる二人を余所に、手塚は一人考え込んでいた。
「手作り…自分自身…」
「不二!不二!手塚が乾にプレゼント持って来たよ!見に行こうよ!」
6月3日、朝の部活を終えて、各々が部室へ向う途中で手塚が乾を呼び止めるのを菊丸が目敏く見つけた。
「手塚のことだから手堅く文房具とかじゃないかな?」
「まさか“プレゼントはオ・レ♪”なんて展開は無いよね~」
出歯亀と化した二人は、物陰からこっそりと乾と手塚の様子を伺った。
「え?お、俺に?」
「何だその不審なものを見るような顔は」
「や、手塚が俺の誕生日を覚えているだけでも嬉しいのに…プレゼントまで…」
「お前はいつも俺に何かくれるじゃないか。一方的に貰ってばかりなのでは気が引けるから、それだけだ」
「そんなの気にしなくてもいいのに。俺の自己満足だし。…でも嬉しいな。開けてもいい?」
「ん、あぁ…」
いそいそと包装紙を剥がし、中を見た乾は目を点にして数秒ほど閉口した。
「………………手塚…コレ…」
中には木彫りの人形がリカちゃん人形よろしく入っていた。
ご丁寧に緩衝材代わりの細切れの新聞紙と一緒に。
「正直何をあげていいか困ってな。それで不二と菊丸に訊いてみたら手作りの自分自身がいいと聞いて…」
「それで木彫りの…手塚…?」
よく見れば、人型の木の人形は眼鏡をかけており、青学のレギュラージャージを忠実に再現していた。
「俺が手作り出来るものと言ったら木工ぐらいだし」
「ああ……」
それで木彫りの自分自身に行き着くのが手塚らしいといえばらしい。
そう考えると愛しさがこみ上げ、乾の口元は自然と緩んだ。
「大事にするよ」
「そうか」
珍しくホッと息を吐いた手塚を見て、乾はさらに笑みを深くした。
「僕の考えのナナメ上をいかれたよ…さすが、手塚」
「そこ感心するとこ?!」
眼鏡二人の甘酸っぱい展開を陰から見守っていた不二と菊丸が、裏で盛大にコケていたことは誰も知るよしはない。
一体、何をあげたらいいんだ……
そもそも、イベントごとに疎い手塚は、案の定不二と菊丸から冷やかされるまで乾の誕生日に気付かなかった。
そんな手塚と乾の関係を不憫に思ったのか、それとも面白がっているかは定かではないが、不二と菊丸は手塚に助言をすることにした。
「んー、俺なら…フワフワオムライスとかプリプリエビフライとか作ってあげるかな」
「…それはお前の食べたいものではないのか?」
「んもー、要は愛情篭った手作りとかいいんじゃないってこと」
「手作り…そうか…」
「僕はずっと一緒にいることが一番の贈り物かな。自分自身がプレゼント♡」
「自分自身…」
「おぉ~さすが不二!大胆にゃ~」
「そうかな?僕以上のプレゼントなんてないと思うけど?」
「…さ、さすが不二…」
当の手塚をおいてけぼりで盛り上がる二人を余所に、手塚は一人考え込んでいた。
「手作り…自分自身…」
「不二!不二!手塚が乾にプレゼント持って来たよ!見に行こうよ!」
6月3日、朝の部活を終えて、各々が部室へ向う途中で手塚が乾を呼び止めるのを菊丸が目敏く見つけた。
「手塚のことだから手堅く文房具とかじゃないかな?」
「まさか“プレゼントはオ・レ♪”なんて展開は無いよね~」
出歯亀と化した二人は、物陰からこっそりと乾と手塚の様子を伺った。
「え?お、俺に?」
「何だその不審なものを見るような顔は」
「や、手塚が俺の誕生日を覚えているだけでも嬉しいのに…プレゼントまで…」
「お前はいつも俺に何かくれるじゃないか。一方的に貰ってばかりなのでは気が引けるから、それだけだ」
「そんなの気にしなくてもいいのに。俺の自己満足だし。…でも嬉しいな。開けてもいい?」
「ん、あぁ…」
いそいそと包装紙を剥がし、中を見た乾は目を点にして数秒ほど閉口した。
「………………手塚…コレ…」
中には木彫りの人形がリカちゃん人形よろしく入っていた。
ご丁寧に緩衝材代わりの細切れの新聞紙と一緒に。
「正直何をあげていいか困ってな。それで不二と菊丸に訊いてみたら手作りの自分自身がいいと聞いて…」
「それで木彫りの…手塚…?」
よく見れば、人型の木の人形は眼鏡をかけており、青学のレギュラージャージを忠実に再現していた。
「俺が手作り出来るものと言ったら木工ぐらいだし」
「ああ……」
それで木彫りの自分自身に行き着くのが手塚らしいといえばらしい。
そう考えると愛しさがこみ上げ、乾の口元は自然と緩んだ。
「大事にするよ」
「そうか」
珍しくホッと息を吐いた手塚を見て、乾はさらに笑みを深くした。
「僕の考えのナナメ上をいかれたよ…さすが、手塚」
「そこ感心するとこ?!」
眼鏡二人の甘酸っぱい展開を陰から見守っていた不二と菊丸が、裏で盛大にコケていたことは誰も知るよしはない。
