眼鏡女王

初の全国大会はあっけなく終わり、平古場クンの言葉を借りるなら、正に「広ぇや、全国」を痛感する結果となった。

それでも、地方大会では得られない収穫もあったので、決して無駄な夏では無かったと、自分の心に言い聞かせる。


地元に戻って来た時にはすっかり日が落ちていた。

迎えに来ていた田仁志クンのお父様が運転するバンに乗って、各々の家近くまで送ってもらう。

柄にもなく感傷的になっているのか、気の利いた会話をすることも出来ず、ただただ窓の外を眺めていた。


始めは賑やかだった車内も、一人、また一人と降りていくにつれ静かになる。

「結果だけみれば残念だけど、君達は初の全国入りを果たしたんだ。最強比嘉中テニス部の礎を作ったんだ。誇らしい事じゃないか」

いきなり喋らなくなった俺達を落ち込んでいると思ったのか、田仁志クンのお父様がとても温かい言葉を掛けてくれた。




『…あ、なんか泣きそう……』


こぼれ落ちそうな涙を堪えて、

星をみるフリをして顔を上げた。
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