眼鏡紳士
「よぉ、真田。偶然じゃのぅ」
休日のショッピングモールで、真田は仁王と出くわした。
もちろん、仁王にとっては「必然」であった。
「……デートか?」
真田は仁王の後ろで慎ましく寄り添っている女性に目を止めた。
仁王はにんまりと、心底嬉しそうに笑って、
「うらやましいじゃろ?」
と自慢げに言った。
「…学生である以上本分は勉学にある。あまり遊びすぎるなよ?」
真田はほんのり頬を赤め、そそくさとその場を後にした。
「あれは完璧女だと思ってたな~…俺の勝ちじゃ、ヒロ」
仁王はそう女性に振り向くと、女性…いや、女装した柳生は憤りを堪えるため拳を握りワナワナと震わせていた。
「俺が勝ったから、約束通りその格好であーんなコトやそーんなコトさしてもらうからな♡♡」
柳生は心の中で、あんなに至近距離で見ておきながら全く気付かなかった真田を呪った