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「観音坂さん、別に普段だらだら仕事したりさぼったりしてるわけじゃないんですよね?一生懸命働いて、それでもこんな時間まで残業しなくちゃいけないなんて、そもそも会社が悪いんですよ!観音坂さん何も悪くないです。仕事ができて優しい人だからそういうクソな上司がどんどんいいように使ってるんですよ観音坂さんのこと!だから会社とクソな上司が悪いんです!!」
○○さんが怒ったように少し早口で言った。出会ってまだすぐなのに、なんで、こんなに、言って欲しいことを言ってくれるんだろう。目頭が熱くなる。
「すいません、事情も知らないのになんか、色々言ってしまって···。」
焦ったように○○さんが言う。
「っそんなことないです!そう言ってもらえると、救われた気分になります。ありがとう、ございます。」
「僕も前の店ヤバイとこだったんで···。まぁ美容業界そもそもヤバイんですけどね。」
詳しく聞こうかと思ったけど、それを遮るようにブォオオオっとドライヤーのが店内に響く。暖かい風邪と優しい手付きにまた眠気がやって来そうになる。
「観音坂さん、何のお仕事されてるんですか?」
「医療機器の営業です。上司と営業先の先生方との板挟みで···。」
「あー。営業さん大変ですよね。すごく尊敬します。僕やっていける自信ないですもん。観音坂さん凄いですよ。」
何だろう、本当に泣いてしまいそうだ。
「この後もうお家帰ります?どっか飲みに行ったりします?」
「いや、もう家帰って作ってくれてるご飯食べて寝ます。」
「同居人さんほんと優しいですね!じゃあセットせずにそのままにしときますねー。」
「すごくさっぱりしました。頭も軽くなったみたいです。」
「喜んでいただけて良かったです。」
ジャケットを羽織って預けていた鞄を受けとる。
「おいくらですか?」
財布を取り出しながら聞くと
「いや!大丈夫ですよ!僕が無理矢理連れ込んだんで!」
と、○○さんはと申し訳なさそうに言った。
「え、悪いです、そんな。」
「あ、じゃあちょっと待ってくださいね···。」
メモ用紙に何かを書いて、それを渡してくる。
「これ、僕のLINEのIDです。また連絡してください!開店したら、ゆっくりヘッドスパでもしに来てくださいよ!しっかり癒しますんで!」
○○さんは眩しすぎる笑顔でおやすみなさい、と手を振って見送ってくれた。
家について先にシャワーを浴びて、一二三が作ってくれたご飯を食べる。ご飯も美味しいし、ビールも上手いし、髪からなんだかいい匂いがするし、荒んでいた心が柔らかくなった感じがする。
明日一二三にヘッドスパってなんのことか聞いてみよう。