もがな
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太子に頼まれた文を届けに行った帰り、△△は凄く苛々してしまった。それはさっき廊下で太子の悪口を聞いてしまったからだ。
聞かなきゃいいのに、ついつい聞き耳を立ててしまった。もちろん自分は言い返せる身分ではないので、途中で悪口を言っている人々がいるのとは逆の方向へ逃げた。
普段はしっかり可愛く慎ましくを心がけているのに、今は自分の機嫌を取れずに、いつもに比べるとかなりドスドス廊下を突き進んでいく。頭のなかでいっぱい文句を言い返す妄想をしながら歩いていると廊下の曲がり角で誰かにぶつかってしまい、尻餅をついてしまった。
「うぉっと、大丈夫ですか?」
小野妹子殿だった。実は△△は妹子が太子と色違いのジャージを着ているので、密かに焼きもちを焼いている。しかしそんなことは今関係ないのですぐに謝罪をした。
「申し訳ありません!失礼いたしました!」
「僕は大丈夫ですよ。立てますか?」
そう言って手を伸ばしてくださるのでおずおずと握り返すと手を引っ張って起こしてくれた。
「本当に申し訳ありません。少し考え事をしていて、周りが見えておりませんでした。」
「いえいえ、こちらこそごめんなさい。△△くんはどこか痛いところはないですか?」
「ええ、大丈夫です。······私の名前をご存知だったのですね。」
妹子殿はなぜか、あっ!という顔したが、すぐに
「すいません、太子の元で働いてるから、勝手に親近感が沸いてしまって。」
と言った。
「そうだったんですね。光栄でございます。」
太子様の名前を聞くと、先程のことを思い出してまたもやもやが戻ってきた。
「何かあったんですか?いつも見かけるときにこにこしてるのに。」
そう言われて自分の眉間に皺がよっていることに気がついた。
「もし僕で良かったら聞きますよ。」
少し悩んだがこの方は遣隋使として太子様と共に旅をしておられたし、お揃いのジャージも着てらっしゃるし、相談してみても良いかもしれない。
「ここでは少し話しにくいのでーーー」