もがな
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僕はここ数日衝撃を受け続けていた。
別に自分も太子のことを心の底から憎んでいる訳ではないけれども、○○△△は観音菩薩様の化身ではなかろうかと思うほどあの阿保の太子に優しい。
自分ならブチギレていたなと言う局面が幾度もあった。それでもあの青年は困ったように笑い、太子の機嫌を取っている。
馬子様からこの命を承って、初めて二人が一緒にいるところを見かけたとき彼は、職務放棄してブランコを漕ぎながら駄々を捏こねている太子に
「あと十数えたらお仕事始めましょう。そうしたら昼餉には凄く美味しいカレーライスをご用意しますので!じゃあ数えますよー、はいいーち、にーい、さーん···」
と、幼子をあやすようにブランコのそばで可愛らしく手を叩いて数を数えていたので天女かと思った。いや、男なのはわかってるんだけど。
それも驚いたけど、きちんと10回で降りてブツブツ言いながらも仕事に向かった太子にも驚かされた。上手いこと手懐けてるなぁ、と。
その後もカレーで汚した口元をぬぐってあげたり、ジャージを着替えさせたりととても甲斐甲斐しくて、まあそれが舎人の仕事なんだとは思うんだけれど、あの太子相手だと普通はあんな心穏やかに相手はできない。
馬子様は、たぶん○○△△の太子へのあの態度が素直には受け取れないのだと思う。
何か裏があって太子からの信用を得ようとしてあんな風に太子に媚びを売ってるんじゃないか、と。そうじゃないと無理だろうあれはってことだよね。わからなくもない。
太子は確実にあの子のことを気に入っている。なんていうか、柔らかい雰囲気で接してて、なんか照れてて気持ち悪かったけど、でも見てて嫌な感じはしなかった。
2人を観察してまだ1週間しか経ってないし、ずっとはりついてたわけじゃないけど、でも僕は△△くんの方もただ太子のことが好きなだけなんじゃないかなと思う。
太子のわがままで困らせられてる時とか、太子がいつも通り訳の分からない政策を打ち出そうとしているのを聞いている時のふとした瞬間に凄く愛おしいものを見るような顔付きをしているから。
きっと馬子さんがご心配されているようなことはないんじゃないかなぁ。類は友を呼ぶと言うように、あの変人上司を慕う△△くんもまた変人なのだろう。