もがな
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「えっ?」
心臓が跳ねた。なんでこの人はいつも突然なのだろうか。
それにこの方と唯一話したくない話題だ。慕ってる人に好い人はいないのかと聞かれるとは、なんと残酷だろうか。仏は本当にいらっしゃるのだろうか。私の信心が足りないのだろうか。
「もうそろそろ結婚してもいい年だろ?」
「私は、そういった方はおりませんし、まぁ、父からは急かされますが、まだ、そんな」
急にそんな話をふってきた意図も分からないし、正解の答えも分からない。
「お父上は心配なさってるのか?」
「いえ、なんというか、私は本妻の子ではないですし、もちろん家督を継ぐわけではないので、父はただ息子の中でも末の私だけ未婚というのが気にかかるようで。」
「そうか・・・。」
太子様はお手元の紙へと視線を戻して筆を動かす。なんなんだ。
「実は女性が苦手で、経験も乏しいですし、私はそれよりもこのように太子様にお仕えしている時間の方が大切なのです。」
私の答えは太子様の望む答えだっただろうか。 これは本心だ。
まさか誰かを薦めようとしているのでは。それはないよな。太子様が一介の舎人の縁談を取り持ったりしないだろう。一体なんなんだこの間は。それともただの気まぐれだったのか。いや、太子様の行動や言動は意味のないように見えるが常人には理解できないだけで深いお考えがあるのだ。
太子様から目を離せないでいるとまた急にこちらへ向いて言った。
「お父上には私から言っておく。だから△△は生涯所帯を持つな。」
「ええっ!?」
さすがに本当に分からない!!
「何故でしょうか。太子様のお考えは私どもにはとても、」
「深い意味などない。私が嫌なだけなんだ。」
「へ?」
人生で一番間の抜けた声を出してしまった。
「男だろうが女だろうが△△が誰かのもとへ行ってしまうのが耐えられなくなってしまった。ずっと私だけのもとにいろ。摂政命令だぞ。」
太子様の仰っていることが私にはすぐに理解ができなかった。あまりにも自分に都合の良いお言葉だったので白昼夢でも見ているのかと思った。