もがな
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妹子への返答に困っていた時丁度良く△△が走って帰ってきた。
「太子様、ちょっとちくっとするかもしれませんが動いちゃ駄目ですよ。」
掌の表皮をまち針で少しだけ裂き、そこからつきだしたとげをそーっと抜く。
△△の顔はかなり真剣で、小さいトゲ一本でもこんなに心配してくれるのが嬉しい。
その間も妹子からの視線は感じるが気付かないふりをした。
「抜けましたよ。太子様、一応手を清めに行きましょう。」
「うん。」
「私の勝ちなので今日も最後までお仕事頑張ってくださいね。」
「ぬかりないなぁ。」
今は妹子の前から去りたかったので、この後はサボれないけど素直にかくれんぼは中止した。
△△は妹子に会釈をして妹子に背を向ける。私をまだ訝しげな目で見る妹子から逃げるように△△の背中を追った。
最近、少しずつ感じてはいた。△△をただの舎人として大切に思っているだけではないことを。
人と一緒にいてこんなにも心が暖かくなるのは初めてだったし、ずっとそばにいて欲しいと思ってしまっていた。近頃じゃ、自分以外に微笑む△△を見ると今まで感じたことのない嫉妬心に駆られていた?
さっき妹子に「従者として気に入っている」と言われたのに、頭の中ではそういった意味に取り違えてしまって、それでやっと気付いた。自分は年甲斐もなくこんな若い男の子をそういう対象で好きなんだ。
「太子様、あとはこちらだけ確認していただけたら今日はもう終わりですので!」
「うん・・・。」
笑顔がまぶしい。直視できない。自覚してしまうとなんだか急に恥ずかしくなってきた。
「・・・?太子様、お疲れですか?」
「えっ?あ、ちょっと、かくれんぼで本気だしすぎたかもしれないな。」
「あんなところに登られるからですよ。」
困ったように笑うその顔も愛おしい。叶うわけがない想いなのに、
「△△は好い人はいないのか?」
別の誰かの横で笑う△△の姿は、見たくない。