もがな
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「太子様、そろそろ離してください···。」
「臭いか?」
「そうじゃなくて!もう恥ずかしいので···!」
太子様の胸あたりを軽く押すと、まだ腰のあたりを抱かれてはいるものの少し距離をとってくださった。
「△△は私が悪く言われるのは嫌か?」
私の目をじっと太子様は見つめてくる。太子様は私をどんな人間だと思っているんだ?嫌に決まっているじゃないか。
「当然です!」
「そうなのか。」
「当たり前じゃないですか!」
「そうか。」
そう言って太子様はお会いしてから今までで一番穏やかな顔で微笑まれている。
「私が太子様のことを敬服しておりますのはご承知していただいていると思ってましたが···。」
自分の恋心は秘めておかねばならないと分かっているが尊敬の念すら伝わっていなかったのだろうかと悲しくなり、少し目を伏せる。するとまた太子様は私を抱き寄せて独り言のように呟いた。
「怒る程想ってくれとるとはなぁ。」
その声がどこか寂しそうで私は恐れ多くも太子様を抱き締め返してしまった。
「私は初めてお会いした時から今まで太子様のことをお慕いしております。これからも太子様がお許しくださる限りずっとお側にいます。」
お顔は見えないが抱き締めてくださる力がより強くなった。私もぎゅっと強く抱き締め返す。いつもふざけたり我儘を言ったりすることが多いけど、ふとした瞬間物憂げなお顔をされているのを、私は気づいていた。でも、私なんかが踏み込めるわけもなく気付かないふりをしていた。
これから、烏滸がましいけど、少しでも分けて貰えると嬉しい。
「△△はいい匂いがするな。」
「ひゃっ!」
「香の匂いじゃないし、なんだろ、△△の体臭?」
「ちょっ!っ太子!やめて、ください!」