もがな
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人気のない場所の縁側で僕は△△くんから先程の経緯を聞いた。
「なーんだ。僕はてっきり太子にわけのわからんこと言われて怒ってたのかと。」
と声をあげて笑ってしまったので、
「太子様は私を傷つけるようなことは申されません!」
と△△くんはプリプリしている。
「うん、たぶんそうだと思います。」
すんなり受け入れられたのが拍子抜けだったのか、△△くんはキョトンとしている。
「···妹子殿は太子様と仲がよろしいんですよね?」
「えっ!?仲が良いというか、なんというか、振り回されてるというか···」
「···でもお召し物も太子様と色違いでございますし。」
△△くんは少しいじけたように言う。
「これは太子に初めて会った時に絶対着ろって言うから。皆着てるみたいに言うから着たのに、本当は皆嫌がって着てなくて。でも意外と楽で着ちゃってるけど、正装している時もありますよ。△△くんも着たいって言えば喜んで渡してくると思うけどなぁ。」
「自分からそのようなこと申せません···。太子様に物をねだるなんて···。」
「△△くんは本当に太子のことが好きなんだね。」
△△くんの顔を見ると、頬を赤く染めている。
「皆さん、そう、思いなのでしょうか。傍から見て、分かりますか?」
「皆かどうか分かりませんが、そうですね、僕はそもそもあの太子の側にいて嫌がらずに付き合っていけるというだけで、よっぽど太子のことを慕っているんだな、と。」
妹子がそう言うと耳まで真っ赤になってしまった。
「そ、そんな、ばれてしまっていたとは···。っそんな···。」
「そこまで恥ずかしがらなくても、悪いことではないでしょ。」
「っいえ!このような分不相応な気持ちは、誰にも知られてはならないことだったのです!こんな、はしたない···。」
(あれ?ちょっと話が噛み合ってなくないか?)
僕が戸惑っていると、△△くんは真っ赤な顔で目尻に涙を溜めて、僕の手を握り消え入りそうな声で懇願した。
「妹子殿、私なぞが太子様に懸想しているなんて、皆様方に知れ渡ってしまったら、太子様のお顔に泥を塗ることになります!そうなればこの命をもってお詫びしても足りません!後生ですから、内密にしてください!!」
(馬子様、事態は我々が思っていたより複雑なようです。)
僕は馬子様の顔を思い浮かべながら目眩を感じた。