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始めは、愛しさから雌穴に人差し指を挿入れただけだった。
とろりとした甘い蜜がしとどに溢れるから、指ですくう。
舐めてみたが、意外としょっぱい。体液の味が舌に広がる。旨いかどうかと言われると、実際そうでもない。のに、ずっと舐めていたい。不思議な感覚だ。
しかしながら、恥ずかしいから止めて、と鳴くのでピアスの意思を尊重した。頷き、ひとつ呼吸を置く。
もう一度、人差し指をつぷりと埋める。
締まり上がる肉壁が、まるで俺を捕食するかのようにうねる。この蜜が強い酸ならば、骨までどろりと無くなってしまうのだろう。
何度か指で円を描く。彼女が可愛らしい声をあげ、布団を握りしめた。
とんとん、と反対の手で腹部を軽く叩き、刺激を与える。腰が跳ねた。
悪くない。自分の手で、愛しいピアスがこんなにも悦んでいる。間違いなく幸せだ。
もう少し、気持ちよくしてやろう。そのまま中指も埋めていく。
初めは肉の抵抗があったが、少し奥まで届くようになった。彼女の声色がより一層甘くなる。耳から脳へとその艶っぽさが伝わり、心が踊った。
少しざらついた天井を撫でる。きゃん、と聞こえたのは猫のような悲鳴。
可愛らしい。そんな高くて細くていじらしい音を、ずっと聞いていたい。
涙をいっぱいに目に溜めて、此方を見る彼女の視線。今、ピアスの目には俺しか写っていない。
もう一回。次は中指と人差し指で、天井を引っ掻き、手繰り寄せるように往復する。繰り返す。少しずつ早くする。
じゅぷ、じゅぷ、じゅぷ。小さかったはずの粘液質の音が、彼女の嬌声が、鮮やかになっていく。綺麗な色。
がくがくと腰が揺れている。身体が仰け反っていく。爪先が伸びていく。手が虚空を掴む。
壺からもう少しで、蜜が勢いよく零れる。
あと少し。あと少し。
……あと一回、で、絶頂を迎えるであろう。そこで止めた。
あ、と。切なく物悲しい声をあげたピアス。はくはく、と膣が俺の指へと抗議する。何故止めた、と。言われなくても解る。
すまない、可愛らしくて、つい。と、少し含みを持ち笑ってしまった。
意地悪、と泣きながら布団を手繰り寄せる彼女。
なら、次は止めないな。と前置きをして。三本目の薬指をぬるりと侵入させる。
ま、待って、劉鳳と聞こえた。ので、一度止まる。痛いか?と尋ねた。が、ピアスは首を横に振った。続けるぞ、と言葉を落とした。
再び天井側へと手首を回し、掻き出すように三本の指をバラバラに動かす。
彼女の足がぱたぱたと暴れるので、左手で片方の足首を掴んだ。動かないで欲しい。危ないから。
あー、うー、と、意味のない羅列の喘ぎ声。それでも、俺の思考を霞ませるには十分だった。
……どこまで、挿入るのだろう。どこまで挿入ることを許されるのだろう。
自分の身体の一部という異物が、彼女の身体に埋め込まれていくことに、ひとつの悦楽を恐らく俺は覚えた。
だから、肉の花弁を少しだけ広げて。小指を入れた。四本目。
伸縮性のある胎内は、広がっていく。しかし、小指はそこまで大きくない。意外と彼女からの新たな反応はなかった。
四本指が挿入っている、と伝えたとすれば、それなりに羞恥の姿を見せてはくれたかもしれない。けれど、今、俺が知りたいのはそれではない。
生唾を飲み、そろそろと親指を近づける。そして、それが触れた時に初めて拒否の声が聞こえた気がした。
されど俺の心は好奇心で埋め尽くされ、ピアスが何を俺に言ったのかまでは覚えていない。親指をそこにねじ込もうと、少しずつ圧力をかけていく。少し捻るようにすれば、いける。挿入る。あとは少し勢いをつけて──
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっっっ!!!」
ずっくん。
と、それは生暖かく俺の拳を包み込んだ。
まるで潰れた蛙のように汚い悲鳴がはっきりと耳を劈く。
しかし、その声を聞いたとき。俺は歓喜に震えた。世界に色が着いた。
腹の底から沸き上がる、どろりとした何か。初めての感覚だった。
もう一回。その絶叫を聞いてみたい。どうしたら?ああ、そうか、と納得して。
「動かすぞ。」
「まっ──あ゙ッ!!!」
錐のようにすぼめていた指をを無理矢理開き、俺の面積を増やす。これから俺は、彼女の声を枯らすのだ。
開いた手を上に向け、親指以外をぐっと曲げる。熊手のように、彼女のグレフェンベルグ・スポットを引っ掻き続けた。
「あ゙、や゙っ!!だめっ、おかしくなる、っ、ま゙ッ、て、む゙り゙ぃッ!!」
「……おかしく、なれ。」
俺の言葉を引き金にか、ピアスは破傷風の子供のように腰をそらせる。
全身の筋肉のこわばり、舌を噛んでしまいそうなほど絶頂の声を堪える姿が、あまりにも、あまりにも愛しかったので。
ぐっ、と勢いよく指を曲げ、内側から彼女の腹を押さえ込んだ。
「ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッッ!!!」
ぷしゃあ、と潮が噴き出る。当然、彼女が俺の腕を咥えて離さないのだから、俺の体もそれを浴びる。
頬に飛んできた潮を、左手で拭って舐めた。相も変わらず体液の味は、しょっぱい。
されどこの状況において、彼女の潮はあまりにも媚薬じみた物のようだった。
ひくひくと絶頂の余韻に浸り続ける彼女を眺めていると、自然と表情が綻ぶ。
布団は酷く濡れてしまい、使い物にならない。二度三度、瞬きをしてからこれ以上はピアスの負担になる、と思いゆっくりと腕を抜こうと、した。
「──お゙、っ」
裏返ったその淫靡な声が、俺の耳から腹にかけて脊髄を通り、下半身を熱くする。
気付いた時には既に遅く、俺の腕は再び彼女の膣をえぐり、まるで貫くようにストロークを続けていた。
「い゙──やぁ、あ゙ッ!!!!劉鳳ッ、やめ、て、やめて、ゆる、しでえっ、お゙っ、ねが、あ゙ッ──!!」
「……はっ」
おかしくなっている。悲鳴を上げ、許しを乞う彼女の姿に高揚し、口角が上がるなど。
あまりにも矮小で、可愛らしくて、いじらしい。
乱暴にするつもりは無かったのだ。今までどおり、例えば彼女を一国の姫のように愛そうと、体を重ねるはずだったのだ。
だのに。僅かに芽生えた好奇心が、俺の理性を殺した。『どこまでこの手は挿入るのだろう』というそれが。
腕を伸ばす。指を伸ばす。さらに奥へと突き進む。
すると、こつんと何かに触れた。生暖かく、適度な硬さを持ったそれが子宮口であると解った時にはもう、それを撫でずにはいられない。
「降りてきたのか。」
「あ、うあっ、や゙っ──」
「今なら片手でピアスの子宮を包んで、引きずり出せるかもしれないな。」
「ひッ──?!」
「……冗談だ。」
とんとん、と彼女の胎を空いた手で叩けば、恐怖か快楽か或いは別の何か。腰が跳ねた。
そのままがばりと股を開かせ、俺の上半身をねじ込む。
目の前には腕が挿入ったままの秘部。そして、愛撫をおざなりにされてしまったクリトリス。
ゆるりと口を開き、それを舌で弾いた。
「ふ、あ゙っ!!」
腕を食らう膣が締まる。また俺の肉体を補食せんと、蠕動する。
じゅるる、とそのまま舌を這わせ、吸い、舐めた。
暴れるな、危ないから。と気遣いたかったが、塩気のあるピアスの最も敏感な芽を弱らせたくて、甲高い声があまりに嗜虐心をくすぐって。止められない。
もがく彼女の太腿に挟まれながら、左手でゆっくりと、肉豆の皮をむき、そして。
「イけ。」
その言葉を合図に、剥き出しのクリトリスにしゃぶりつき、吸い上げ。
産道に埋まったままの右腕で、ポルチオをえぐり貫く。
部屋中に彼女の嬌声が響き渡る。世界で一番しゃがれて、耳障りで、色気のない──美しい、声。
愛しい。普段の彼女からは想像も出来ないような、こんな品のない悲鳴が聞けることに、今俺はとても興奮している。
もっと。もっと。快楽と苦痛の狭間で揺れる彼女の綺麗な声を。
「だ、だめッ!!りゅ、う、ほ、う!!も、もれちゃあ゙、だめッ、だめ、やだやだあッ!!」
再び彼女の腰がガクガクと不規則に浮き始める。知っている。これは、彼女の快楽が弾ける手前の予備動作。
また口角が上がる。存分に果てて欲しい。尿でも潮でも漏らせばいい。取り繕う必要なんてない。下品でいい。ありのまま、ただだらしなく貪婪に。俺から与えられる享楽に、その体を跳ねさせればいい。
「……イけ。」
もう一度。
彼女の心に命令のように呟いて。
彼女の媚豆を舌で弾いて。
彼女の子宮口をごりゅんと指でえぐって。
「が、あ"あ"あ"あ"あ"ッッ!!!」
即座に腕の隙間からぷし、と噴き出る潮を飲む。
代わり映えのしない、雌臭いしょっぱい味。しかしながら、いくらでもこの体液は喉を通すことが出来る。
ピアスがたった今、俺の愛撫で果てたという事実の液体。口内に溜まったそれを嚥下した。
目線を動かす。だらしのない、俗な言い方でいうアへ顔。快楽を受け止めきれず、されどその快楽に溺れきった雌の表情。
そうか、お前はそんな無様に蕩けるほど気持ちよかったのか、と安堵する。
こんなピアスの情けない姿を見ることが出来るのは、俺の特権だ。鏡があるなら、きっと今俺は恍惚の笑みを浮かべていたのだろう。
「はっ、はっ、は、あ゙……ッ……」
呼吸の音が聞こえる。酸素を求める彼女のかすれた音。
ゆっくり、ピアスの体内から腕を捻りながら引き抜く。その度、甘く汚い喘ぎ声が脳に響いた。
こんなにも。俺の一部を彼女は受け入れた。
……いつか未来で俺とピアスの子が成された時、この穴から命が産まれてくると考えただけで、言葉に出来ない感慨深さが込み上げてくる。
孕んで欲しい。この中で。その一心で、俺は彼女の疼く花弁を両手で広げた。
くぱぁ、と音を立ててしまいそうなそこを見続ければ。ひくひくと、呼吸のように小陰唇が動こうとする。
「まだ、欲しがっているな。」
「や、ちが……も、もう、無理だよ……お腹、壊れちゃう……っ……」
「……そうか。」
そうしてゆっくりと彼女の体を起こして、その手を己の剛直へと導き。そろりそろりと撫でさせる。
初めはかまととのように怯えた手付きであったが、次第にそれは剥がれ落ち、ゆるゆると雄を求める手付きとなる。
愛液まみれの腕で抱きしめ、乾いた左手で頭を撫で。
とろりと微笑んだ彼女に口付けを落とし──もう一度、勢いよく押し倒す。
「ゃ……!!」
スプリングの軋む音。小さな子猫の悲鳴。
そうしてピアスにまたがって、頬にそそり立つ陰茎を押し付けた。
「ひとつ、気付いたことがある。」
「な、なに……?」
「ピアス。お前は恐怖や威圧で、快楽を感じる体質らしい。」
「ちが──ッ!!」
形だけの反論で口を開いた刹那、屹立を喉へと押し込んだ。
腰を容赦なく打ち付ければ、彼女の口腔と舌と唾液が絡みつく。
悲鳴、焦燥、苦痛、そして確かにある悦楽の声が聞こえる。
しかし俺は、捲し立てるように続けた。
「俺には解る……歯痒いほどだが、俺の中にある嗜虐心が、そしてお前の表情が、反応が……ピアスが被虐体質だ、と確信させる。」
「ん、ぐううッ、ん゙ん!!」
「……ならば応えなくてはいけない。ピアスは、俺に負けなくてはいけない!」
深く、喉頭を劈くように陰茎をねじ込んだ。
彼女の顔は涙と涎で見るに堪えない。それでも、拒絶はなかった。当然だ。
……微笑っている。恐らく無意識に。こんなにも幸せそうに。なんてどうしようもない。
ずろり、とそのまま男根を口から引き抜く。
何だ。俺は自分が恐ろしいと思っていた。彼女の花園を了承なく蹂躙した、甲斐性のない化物だと心の何処かで責めていた、のに。
「ごめんな、さい……ッ、ご、めんなさい……ッ……」
本心から謝っているのかもしれない。しかし、そうやって謝ることで悲劇的な立場を演じることに酔っているのかもしれない。
何に謝っている?どうして?
其処に疑問を抱いた時、自分の中にある思考の糸がぷつんと切れた。
……まさか、自分があの単細胞のような答えを出す日が来るとは思っていなかった、が。
「いや……『どっちでもいい』。」
「な、何が──?」
「お前が悦ぶのであれば、俺は俺のやりたいこと──とやら、を続けるとしよう。」
「うそ、ッ、やあッ!!」
ぐるん、とピアスの腰を掴み、うつ伏せへと体位を変える。
そのままぐっしょりと濡れてしまった臀部の割れ目に、竿を擦り付けた。彼女の背中が震えた。
ひとつ、深呼吸をする。これから俺は俺の興味のまま。そして確信を事実にするため。
容赦なく、ピアスを──罵り、犯す。
一切の情を捨て、非合意の蹂躙を。
そっと後頭部から耳へと顔を寄せ、囁いた。
「甘さを捨てる。証明しよう、お前は淫乱でマゾヒストであると。徹底的に、今宵は敗北させよう。」
「い、や──ああッ、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!!!」
仮初めの否定を否定するように、産道へと肉棒を突き刺した。
ずっくん、と音を立てたように肉壁を穿つそれを奥へ奥へと押しやる。
また、品のない嬌声が部屋に木霊した。それでいい。
普段であれば、ここで彼女を気遣う言葉をかける。恐れを取り除き、身体を解し、心を暖かくさせる、のだが。
「何だその下品な声は。」
ぴしゃん、と尻を掌打した。
痛みを訴える悲鳴と共に、膣が締まる。
「い゙ッ!!」
「ほう……やはり、か。」
「い゙たあ゙ッ!!!」
もう一度。一打目より力を込めて。
生易しくない、肌の弾けるような音が響く。
そのまま続けて平手打ちを落とせば、落とす度に身体が跳ね、強く強く陰茎を締め上げた。
「救えないな。俺の愛する女は、こんなにも淫乱だったのか……失望した。」
ぴしゃん。
「変態──いや、」
ぴしゃん。
「毒虫が。」
「や゙あ゙あッ!!!」
乾いた音と適度な手の痺れ、そしてピアスの痙攣する胎。
臀部を叩くほど、自分の腰が突き出されていることに気づいていないのか。
彼女は雌豹のように背を反らせ、枕に顔を埋めていた。
つう、と人差し指で背中をなぞってみる。
裏返った声で反応し、俺の方へと振り返ったその顔は。あまりにも、敗北者の匂いがした。
「い、たい……いたいよ、劉鳳……」
「故意でそうしている。」
「止めて、お願いだから……なんでも、するから……!」
「なら、そのまま身体を俺に預けていろ。そして俺の言葉に怯え、溺れるんだ。」
ぐりん、と円を描くように腰を動かして、抉る。
ざらりとした感覚のグレフェンベルグ・スポットを擦れば、ピアスの全身の力はすぐに抜ける。しかし、蜜壺の蠕動は止まらない。
意味のない言葉の羅列を述べ、ただ快楽を貪る淫売女。それが彼女の正体なのだ。
……故に、繋ぎ止めなければならない。躾けなければならない。
俺以外の男に、こんな姿を曝け出させてはいけない。
そう、これは愛故の、証明。
彼女の首を掴み、少しだけ気道を狭ませる。
かひゅ、と酸素を求める音が聞こえた。
「今からお前の、だらしない雌穴を貫く。逃げるな。喚くな。そして──イくな。どれも許可しない。ピアスは正気のまま、俺が果てるまで全てを堪えろ。」
「ふッ………ぐ、うぅ………ッ!!」
「始めるぞ。どれだけ耐えられるか、見物だなッ!!」
「────お゙ッ、ッ!!」
そのままポルチオへと槍を突き立てる。狂った道化師のように、低い声で鳴くピアスの声は。あまりにも、綺麗だった。
全体重を預けるように、腰を打ち付け。素早く引き抜く動作を見せては、再び抉る。
じゅぷじゅぷと、潮をかき混ぜるその淫靡な音楽すら、心を躍らせる為の演出にしかならない。
おかしくなっている。全てが、本能のままに、それこそ過去に敵対したネイティブアルターの犯罪者のように。理性とは、建前に過ぎなかったのか。
それでも、今はそれでいい、それがいいと思ってしまう。
そう、おかしいのだ。俺も、ピアスも。
あんなに逃げるな、と言ったのに、暴れるので腰を捕まえた。
あんなに喚くな、と言ったのに、嬌声がしたので頭を押さえつけた。
そして。
「や、だあ!!い、イぐッ゙!!イ゙っちゃうぅ゙!!りゅ、う、ほぉ゙ッ!!り゙ゅう、ほぉ゙ッ!!」
「ふは、ッ、ピアスっ、早すぎるぞ……ッ、イくな……!!イくな……!!そんな耳障りな、悲鳴を、上げてッ……!!堪え性の無いッ、下品な女がッ……!!」
「だってぇッ!!む゙り゙ッ!!りゅう、ほうの、ッ!!が、っ、激し、すぎッ、る、のお゙ッ!!」
そこでぴたり、と動きを止めた。またはくはく、と彼女の秘部がうねる。何故止めた、と。
絶頂の寸止め。ピアスの本心を聞くためなら、何度だって。
一度髪の毛を梳くように撫で、耳を舐める。くちゃりとわざとらしく音を立て、囁いた。
「俺の、何が、どう激しいんだ?」
「やッ──」
「答えろ。包み隠さず、品の無い言葉で。」
「嫌……」
「今更何を恥ずかしがる?」
脇腹の隙間から手を這わせ、乳頭の周りを焦らすように指で円を描く。
擽るように、それが優しさであると勘違いさせるように。
期待の泡を膨らませ、全てはピアスが俺に敗北する為の……布石。
「っ、ふ……んあッ……」
「触って欲しいか?」
一度硬直したかと思えば、ゆるゆると首を縦に振った。なら、どうすればいいかお前は理解しているはず。
そっと、彼女の敏感な胸の突起に振れるか振れないかの、絶妙な距離でひた、と動きを止めて。
「言うんだ。今、お前は俺に何をされていて、どうして欲しいか。まさか、この期に及んでかまととぶる、馬鹿な女でもあるまい。」
「う、うう……ッ……」
「さあ、言え。」
「わ、わたし……は、ッ、劉鳳の、おちんぽで……ぐちゃぐちゃに、されて……ッ、イくな、って言われてるのに……ッ、はやく、ッ、イきたい……って、おもって、る……の……!!」
「故に?」
「う、う……ッ、だ、だから……ちくび、ッ、焦らさないで……ッ、触ってほしい、し……ッ、乱暴に、酷いことして……ッ、おまんこ、ッ、壊して……欲しい……ッ!!」
「……ふ。及第点、だな。」
「あ゙ッ──」
ぎゅ、と強く乳首を摘み、そのまま剛直を深く埋め込み直す。
待っていました、と言わんばかりの欣喜雀躍の声がピアスから漏れ、貪婪に蜜を溢れさせた。
「まず、乱暴に酷いこと、が抽象的すぎる。それでは恥を捨てきれていない。」
「う、やあッ……!!」
「そして早くイきたい。嘘だ。違うな。ピアスは、こうやって焦らされることに快感を覚えている。今も。俺にこうやって饒舌に批難されることを、悦んでいるはずだ。」
「い、いた……いッ……!!」
「それがどうした。痛みで悦楽に溺れている事実は、お前のマンコが証明している。」
「へッ……?!」
そうだろう。普段俺は、隠語を口走らない。
驚きで彼女が振り返る。勿論、それは隙だ。
狩られる側が見せてはいけない油断。
よって、俺はピアスの肩を掴み。覆いかぶさりながら、陰茎をポルチオへと押しやった。
「お゙あ゙ッ、う……や、あ゙ッ……!!」
「っ……ふ……届いたな……やはり、腹臥位……だと、腕を挿れた時と同じ場所まで、届く……ッ!!」
無論、この体勢とこの刺激だ。俺も平静を保てない。
肉壁の襞が、俺の竿に絡みついて離さない。逃がすものかと、淫靡な罠が桃源郷に引きずり込む。
そっと、彼女の口腔に指を入れ、舌を撫でた。
「……気持ちいいか。」
ピアスは首を縦に振る。声にならない声で肯定の返事をする。
ぬちぬちと己の指が唾液に濡れ、もうどの穴も俺を受け入れる準備が出来ているのか、と納得した。
……強いて言うなら。菊の花ぐらいか。俺がまだ、彼女に侵入していない場所は。
どうする。また、興味が湧いてしまった。
濡れそぼった指を引き抜き、そろそろと身体を起こして。彼女の尻の穴に、つぷりと埋めた。
当然反射的に身体を起こそうとするが、ピアスは俺の左手に阻まれる。
「だ、ダメッ!!!そこは、絶対、絶対だめ……!!!」
「言っただろう。甘さを捨てると。ピアスが正真正銘のマゾヒストであると、お前の身体に、心に刻む。そして、俺に。俺だけに、その姿を晒すことを許そう。」
「や、やだお願い、許して!!おしり、だけは、やだ、いや、あ、あ゙ん゙ッッ──!!」
ぬろん、とそのまま指を第一関節まで押し込む。突然の刺激に、膣が酷く収縮した。
口では征服を望んでいるが、俺は彼女を愛している。愛しているから、壊せど再起不能にはしない。
ただ、俺の下で俺を求め続け、この世で最も情けなく醜く『美しい』姿を、音を。奏で続けて欲しい、だけだ。
……乱暴にするつもりなんて、最初は無かったのだ。ただ、好奇心に殺されてしまったから。
頭の中に、ピアスの嬌声が渦巻く。どこか遠くで、拒絶の音とともに。
暫く指でアナルを解した後、もう一度尋ねる。
「どうする。このまま子宮を穿たれるのが望みか。それとも、未知の先にある快楽を貪るのが望みか。」
「ぅ、わ、わたし、わたしぃ……ッ……」
「……どうする。」
「劉鳳、を、もっと、側で……感じて、いた、い……りゅう、ほうの、せいし、が、欲しい……ッ……」
その訴えで、我に返る──という表現が、最も正しい。
ああ、そうだった。
俺は愛しく思ったはずだ。そして、孕んで欲しいと願ったはずだ。
原点回帰。それも悪くない。いや、きっとそうがいい。
ほう、とひとつ、深呼吸をして。
「りゅう、ほう……?」
「甘さを捨てる。逃がさん。絶頂を禁ずる。その契りを前提とする。」
「りゅぅ゙ッ──!!」
指を肛門から引き抜き、腰を持ち上げ。
貫く。
「故に。慈悲無く、お前の言葉を受け取り。実行する。」
「お゙、ごお゙ッ…………」
「……膣に、射精す。」
「り゙ゅ、ッ!!」
「イくな。」
強く。獰猛に。ただ身体を打ち付け、彼女の子宮を殴打する。
体力配分も、自身の快楽の波も、全て。無視して。
ごちゅごちゅと、体液が混ざり合う音に合わせて、肌と骨のぶつかり合う、下手な音が鳴る。
やはりおかしいのだ。こんな酩酊状態で、全てに正常な判断が出来る訳がない。
そうしてまたピアスの胎を引き寄せ、抉る。己の背中に電流が走る。
同時に、こつん、と。亀頭に彼女の窄んだ風船の口が触れた。
「ふッ──!!っ、はは……ここ、だな。」
「あ、ぐぅ……!!そ、こ……ッ、そこぉ゙……ッ……!!」
「望み通り、くれてやろう。お前を欲の捌け口とし、俺の証を注いでやる。」
ピアスは目を瞑り、肯定の意を見せた。
そう、きっとこれでいい。誰も俺を止める者は居ない。
後はそう難しくない。果てを目指して、ただ与えられる甘い蜜の慰めに、身を委ねるだけ。
しかし。彼女には呪を。征服の、事実を。
再び覆いかぶさる。
「動くぞ……!!ピアス、絶対に、イくなよ……!!」
「あ゙ッ、や、っ、あ゙ああッ!!」
限りなく密着し、互いの性器を擦りつけるように、打ちつけた。
ぞりゅぞりゅとした肉壁がいつまでも纏わりつき、精嚢から子種の解放を、と訴えてくる。
あまりにも息苦しくも甘美な微睡みが、脳の興奮を滾らせ、俺を離さない。
譫言のようにイくな、イくなと命を下すも、司令塔がこのザマでは笑い話にしかならないだろう。
ずっくん、と。生命を落とす孔に、俺という異物を叩きつけた。
虚無を掴みたがるピアスの腕。結果として、シーツを引き千切るほどの力で、暴力的な慰撫に耐える他無し。
張り詰めた糸は、限界を叫んでいる。機は熟した。
「い゙ッ──ぐ、ぅ゙ッ!!!だ、だめぇ゙ッ!!!むり、む゙りい゙ぃ゙!!!」
「イくな………!!イくなぁ゙ッ………!!!イ゙、ぐ、なあ゙ッ!!!!」
「い゙、ぐッ、うぅう!!や、あ゙あ゙ッ──あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!!!!」
彼女の緊張が弾けた。それは、例え興奮に溺れている俺でさえ解るもの。
反り返った脊髄と、天国へと轟かす満たされた慟哭。
びくびくと、一足先に果てを味わうピアス。
歓喜と共に、己の絶頂すらも煽られる。
嗚呼、俺も。それを。
……追いかける。
身体中の血液を巡らせ、熱くなる下腹部と痺れる背筋を無視して。全ての神経を一点に持っていく。
彼女の、全てを。貪り尽くす為に。
「は……っ、はあ………ッ、イった、な?」
「う、ああ………ッ、あ、ぐう…………ッ………」
「お前の、負け、だ。」
その言葉を皮切りに、後はただ吐精のためだけに、暴れ続けた。
そこに続くのはくぐもった低すぎる淫蕩の喘ぎ声と、肉の弾けるような殴打の音。
ぐつぐつと、陰部の沸騰を覚えながら。聞くに堪えない獣の咆哮は、ピアスの鼓膜と脳幹を壊していく。
「り゙ゅう、ほぉ゙ッ!!!!や、だ、やだやだやだあ゙ッッッッ!!!」
「は──ッ、ぐ、ッ、お、お゙お゙ッ──!!」
荒れる。ピアスの首筋に牙を立て、噛み付く。動脈を食い千切るほどの勢いで。お前の全てを、侵食して。
恐らく歯で傷をつけた。口腔内に鉄の味が広がる。
そのまま、理性の無い怪物のように。穿つ。穿つ。穿つ。
這い上がってくる精液。輸精管と、尿道を埋め尽くし。
息を吸うために、お前の首から顔を上げ。
そして、精子の群れが鈴口へと登り詰め。
「う──ッ!!!」
びゅぷう、と堰を切るように。射精した。
一度の破裂ではない。二打、三打と。貯蓄していた白濁を、溢れんばかりに注ぎ込む。
いよいよ精液は蜜壺に収まることなく、俺の竿を濡らした。
栓の役割をしているこれを抜いてしまえば、きっと零れてしまうだろう。
呼吸は整わない。この絶頂の余韻をただひたすらに味わっていたい。このまま蕩けていたい。
なんて、幸せなのだろう。
「う、ううッ……………」
「──ッ?!」
その消えてしまいそうな声で、漸く俺はピアスの存在を思い出した。我に返った、とも言うだろう。
「ああ……………ピアス。すまな、かった。俺の、独りよがり、だったな。辛い思いを、させたに違いない……」
片手で顔を覆いながら、ゆるゆると性器を引き抜く。
謝罪をしていても、心がどこか宙に浮いていて。まだどこか意識は遠い所に置き去りにしていた。
ピアスは腹いっぱいに酸素を取り込みながら、嗚咽を漏らして、呟いた。
「…………へい、き。だいじょうぶ。」
「強がらなくて、いい。俺は、俺の非を認めなければ、ならない。」
「だいじょうぶ、なの。だって、ね。」
その女と目が合う。
「私、いっぱい、負けて……しあわせ、だから…………」
微笑っていた。
もしかすると、敗北者は──俺、だったのかもしれない。
とろりとした甘い蜜がしとどに溢れるから、指ですくう。
舐めてみたが、意外としょっぱい。体液の味が舌に広がる。旨いかどうかと言われると、実際そうでもない。のに、ずっと舐めていたい。不思議な感覚だ。
しかしながら、恥ずかしいから止めて、と鳴くのでピアスの意思を尊重した。頷き、ひとつ呼吸を置く。
もう一度、人差し指をつぷりと埋める。
締まり上がる肉壁が、まるで俺を捕食するかのようにうねる。この蜜が強い酸ならば、骨までどろりと無くなってしまうのだろう。
何度か指で円を描く。彼女が可愛らしい声をあげ、布団を握りしめた。
とんとん、と反対の手で腹部を軽く叩き、刺激を与える。腰が跳ねた。
悪くない。自分の手で、愛しいピアスがこんなにも悦んでいる。間違いなく幸せだ。
もう少し、気持ちよくしてやろう。そのまま中指も埋めていく。
初めは肉の抵抗があったが、少し奥まで届くようになった。彼女の声色がより一層甘くなる。耳から脳へとその艶っぽさが伝わり、心が踊った。
少しざらついた天井を撫でる。きゃん、と聞こえたのは猫のような悲鳴。
可愛らしい。そんな高くて細くていじらしい音を、ずっと聞いていたい。
涙をいっぱいに目に溜めて、此方を見る彼女の視線。今、ピアスの目には俺しか写っていない。
もう一回。次は中指と人差し指で、天井を引っ掻き、手繰り寄せるように往復する。繰り返す。少しずつ早くする。
じゅぷ、じゅぷ、じゅぷ。小さかったはずの粘液質の音が、彼女の嬌声が、鮮やかになっていく。綺麗な色。
がくがくと腰が揺れている。身体が仰け反っていく。爪先が伸びていく。手が虚空を掴む。
壺からもう少しで、蜜が勢いよく零れる。
あと少し。あと少し。
……あと一回、で、絶頂を迎えるであろう。そこで止めた。
あ、と。切なく物悲しい声をあげたピアス。はくはく、と膣が俺の指へと抗議する。何故止めた、と。言われなくても解る。
すまない、可愛らしくて、つい。と、少し含みを持ち笑ってしまった。
意地悪、と泣きながら布団を手繰り寄せる彼女。
なら、次は止めないな。と前置きをして。三本目の薬指をぬるりと侵入させる。
ま、待って、劉鳳と聞こえた。ので、一度止まる。痛いか?と尋ねた。が、ピアスは首を横に振った。続けるぞ、と言葉を落とした。
再び天井側へと手首を回し、掻き出すように三本の指をバラバラに動かす。
彼女の足がぱたぱたと暴れるので、左手で片方の足首を掴んだ。動かないで欲しい。危ないから。
あー、うー、と、意味のない羅列の喘ぎ声。それでも、俺の思考を霞ませるには十分だった。
……どこまで、挿入るのだろう。どこまで挿入ることを許されるのだろう。
自分の身体の一部という異物が、彼女の身体に埋め込まれていくことに、ひとつの悦楽を恐らく俺は覚えた。
だから、肉の花弁を少しだけ広げて。小指を入れた。四本目。
伸縮性のある胎内は、広がっていく。しかし、小指はそこまで大きくない。意外と彼女からの新たな反応はなかった。
四本指が挿入っている、と伝えたとすれば、それなりに羞恥の姿を見せてはくれたかもしれない。けれど、今、俺が知りたいのはそれではない。
生唾を飲み、そろそろと親指を近づける。そして、それが触れた時に初めて拒否の声が聞こえた気がした。
されど俺の心は好奇心で埋め尽くされ、ピアスが何を俺に言ったのかまでは覚えていない。親指をそこにねじ込もうと、少しずつ圧力をかけていく。少し捻るようにすれば、いける。挿入る。あとは少し勢いをつけて──
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっっっ!!!」
ずっくん。
と、それは生暖かく俺の拳を包み込んだ。
まるで潰れた蛙のように汚い悲鳴がはっきりと耳を劈く。
しかし、その声を聞いたとき。俺は歓喜に震えた。世界に色が着いた。
腹の底から沸き上がる、どろりとした何か。初めての感覚だった。
もう一回。その絶叫を聞いてみたい。どうしたら?ああ、そうか、と納得して。
「動かすぞ。」
「まっ──あ゙ッ!!!」
錐のようにすぼめていた指をを無理矢理開き、俺の面積を増やす。これから俺は、彼女の声を枯らすのだ。
開いた手を上に向け、親指以外をぐっと曲げる。熊手のように、彼女のグレフェンベルグ・スポットを引っ掻き続けた。
「あ゙、や゙っ!!だめっ、おかしくなる、っ、ま゙ッ、て、む゙り゙ぃッ!!」
「……おかしく、なれ。」
俺の言葉を引き金にか、ピアスは破傷風の子供のように腰をそらせる。
全身の筋肉のこわばり、舌を噛んでしまいそうなほど絶頂の声を堪える姿が、あまりにも、あまりにも愛しかったので。
ぐっ、と勢いよく指を曲げ、内側から彼女の腹を押さえ込んだ。
「ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッッ!!!」
ぷしゃあ、と潮が噴き出る。当然、彼女が俺の腕を咥えて離さないのだから、俺の体もそれを浴びる。
頬に飛んできた潮を、左手で拭って舐めた。相も変わらず体液の味は、しょっぱい。
されどこの状況において、彼女の潮はあまりにも媚薬じみた物のようだった。
ひくひくと絶頂の余韻に浸り続ける彼女を眺めていると、自然と表情が綻ぶ。
布団は酷く濡れてしまい、使い物にならない。二度三度、瞬きをしてからこれ以上はピアスの負担になる、と思いゆっくりと腕を抜こうと、した。
「──お゙、っ」
裏返ったその淫靡な声が、俺の耳から腹にかけて脊髄を通り、下半身を熱くする。
気付いた時には既に遅く、俺の腕は再び彼女の膣をえぐり、まるで貫くようにストロークを続けていた。
「い゙──やぁ、あ゙ッ!!!!劉鳳ッ、やめ、て、やめて、ゆる、しでえっ、お゙っ、ねが、あ゙ッ──!!」
「……はっ」
おかしくなっている。悲鳴を上げ、許しを乞う彼女の姿に高揚し、口角が上がるなど。
あまりにも矮小で、可愛らしくて、いじらしい。
乱暴にするつもりは無かったのだ。今までどおり、例えば彼女を一国の姫のように愛そうと、体を重ねるはずだったのだ。
だのに。僅かに芽生えた好奇心が、俺の理性を殺した。『どこまでこの手は挿入るのだろう』というそれが。
腕を伸ばす。指を伸ばす。さらに奥へと突き進む。
すると、こつんと何かに触れた。生暖かく、適度な硬さを持ったそれが子宮口であると解った時にはもう、それを撫でずにはいられない。
「降りてきたのか。」
「あ、うあっ、や゙っ──」
「今なら片手でピアスの子宮を包んで、引きずり出せるかもしれないな。」
「ひッ──?!」
「……冗談だ。」
とんとん、と彼女の胎を空いた手で叩けば、恐怖か快楽か或いは別の何か。腰が跳ねた。
そのままがばりと股を開かせ、俺の上半身をねじ込む。
目の前には腕が挿入ったままの秘部。そして、愛撫をおざなりにされてしまったクリトリス。
ゆるりと口を開き、それを舌で弾いた。
「ふ、あ゙っ!!」
腕を食らう膣が締まる。また俺の肉体を補食せんと、蠕動する。
じゅるる、とそのまま舌を這わせ、吸い、舐めた。
暴れるな、危ないから。と気遣いたかったが、塩気のあるピアスの最も敏感な芽を弱らせたくて、甲高い声があまりに嗜虐心をくすぐって。止められない。
もがく彼女の太腿に挟まれながら、左手でゆっくりと、肉豆の皮をむき、そして。
「イけ。」
その言葉を合図に、剥き出しのクリトリスにしゃぶりつき、吸い上げ。
産道に埋まったままの右腕で、ポルチオをえぐり貫く。
部屋中に彼女の嬌声が響き渡る。世界で一番しゃがれて、耳障りで、色気のない──美しい、声。
愛しい。普段の彼女からは想像も出来ないような、こんな品のない悲鳴が聞けることに、今俺はとても興奮している。
もっと。もっと。快楽と苦痛の狭間で揺れる彼女の綺麗な声を。
「だ、だめッ!!りゅ、う、ほ、う!!も、もれちゃあ゙、だめッ、だめ、やだやだあッ!!」
再び彼女の腰がガクガクと不規則に浮き始める。知っている。これは、彼女の快楽が弾ける手前の予備動作。
また口角が上がる。存分に果てて欲しい。尿でも潮でも漏らせばいい。取り繕う必要なんてない。下品でいい。ありのまま、ただだらしなく貪婪に。俺から与えられる享楽に、その体を跳ねさせればいい。
「……イけ。」
もう一度。
彼女の心に命令のように呟いて。
彼女の媚豆を舌で弾いて。
彼女の子宮口をごりゅんと指でえぐって。
「が、あ"あ"あ"あ"あ"ッッ!!!」
即座に腕の隙間からぷし、と噴き出る潮を飲む。
代わり映えのしない、雌臭いしょっぱい味。しかしながら、いくらでもこの体液は喉を通すことが出来る。
ピアスがたった今、俺の愛撫で果てたという事実の液体。口内に溜まったそれを嚥下した。
目線を動かす。だらしのない、俗な言い方でいうアへ顔。快楽を受け止めきれず、されどその快楽に溺れきった雌の表情。
そうか、お前はそんな無様に蕩けるほど気持ちよかったのか、と安堵する。
こんなピアスの情けない姿を見ることが出来るのは、俺の特権だ。鏡があるなら、きっと今俺は恍惚の笑みを浮かべていたのだろう。
「はっ、はっ、は、あ゙……ッ……」
呼吸の音が聞こえる。酸素を求める彼女のかすれた音。
ゆっくり、ピアスの体内から腕を捻りながら引き抜く。その度、甘く汚い喘ぎ声が脳に響いた。
こんなにも。俺の一部を彼女は受け入れた。
……いつか未来で俺とピアスの子が成された時、この穴から命が産まれてくると考えただけで、言葉に出来ない感慨深さが込み上げてくる。
孕んで欲しい。この中で。その一心で、俺は彼女の疼く花弁を両手で広げた。
くぱぁ、と音を立ててしまいそうなそこを見続ければ。ひくひくと、呼吸のように小陰唇が動こうとする。
「まだ、欲しがっているな。」
「や、ちが……も、もう、無理だよ……お腹、壊れちゃう……っ……」
「……そうか。」
そうしてゆっくりと彼女の体を起こして、その手を己の剛直へと導き。そろりそろりと撫でさせる。
初めはかまととのように怯えた手付きであったが、次第にそれは剥がれ落ち、ゆるゆると雄を求める手付きとなる。
愛液まみれの腕で抱きしめ、乾いた左手で頭を撫で。
とろりと微笑んだ彼女に口付けを落とし──もう一度、勢いよく押し倒す。
「ゃ……!!」
スプリングの軋む音。小さな子猫の悲鳴。
そうしてピアスにまたがって、頬にそそり立つ陰茎を押し付けた。
「ひとつ、気付いたことがある。」
「な、なに……?」
「ピアス。お前は恐怖や威圧で、快楽を感じる体質らしい。」
「ちが──ッ!!」
形だけの反論で口を開いた刹那、屹立を喉へと押し込んだ。
腰を容赦なく打ち付ければ、彼女の口腔と舌と唾液が絡みつく。
悲鳴、焦燥、苦痛、そして確かにある悦楽の声が聞こえる。
しかし俺は、捲し立てるように続けた。
「俺には解る……歯痒いほどだが、俺の中にある嗜虐心が、そしてお前の表情が、反応が……ピアスが被虐体質だ、と確信させる。」
「ん、ぐううッ、ん゙ん!!」
「……ならば応えなくてはいけない。ピアスは、俺に負けなくてはいけない!」
深く、喉頭を劈くように陰茎をねじ込んだ。
彼女の顔は涙と涎で見るに堪えない。それでも、拒絶はなかった。当然だ。
……微笑っている。恐らく無意識に。こんなにも幸せそうに。なんてどうしようもない。
ずろり、とそのまま男根を口から引き抜く。
何だ。俺は自分が恐ろしいと思っていた。彼女の花園を了承なく蹂躙した、甲斐性のない化物だと心の何処かで責めていた、のに。
「ごめんな、さい……ッ、ご、めんなさい……ッ……」
本心から謝っているのかもしれない。しかし、そうやって謝ることで悲劇的な立場を演じることに酔っているのかもしれない。
何に謝っている?どうして?
其処に疑問を抱いた時、自分の中にある思考の糸がぷつんと切れた。
……まさか、自分があの単細胞のような答えを出す日が来るとは思っていなかった、が。
「いや……『どっちでもいい』。」
「な、何が──?」
「お前が悦ぶのであれば、俺は俺のやりたいこと──とやら、を続けるとしよう。」
「うそ、ッ、やあッ!!」
ぐるん、とピアスの腰を掴み、うつ伏せへと体位を変える。
そのままぐっしょりと濡れてしまった臀部の割れ目に、竿を擦り付けた。彼女の背中が震えた。
ひとつ、深呼吸をする。これから俺は俺の興味のまま。そして確信を事実にするため。
容赦なく、ピアスを──罵り、犯す。
一切の情を捨て、非合意の蹂躙を。
そっと後頭部から耳へと顔を寄せ、囁いた。
「甘さを捨てる。証明しよう、お前は淫乱でマゾヒストであると。徹底的に、今宵は敗北させよう。」
「い、や──ああッ、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!!!」
仮初めの否定を否定するように、産道へと肉棒を突き刺した。
ずっくん、と音を立てたように肉壁を穿つそれを奥へ奥へと押しやる。
また、品のない嬌声が部屋に木霊した。それでいい。
普段であれば、ここで彼女を気遣う言葉をかける。恐れを取り除き、身体を解し、心を暖かくさせる、のだが。
「何だその下品な声は。」
ぴしゃん、と尻を掌打した。
痛みを訴える悲鳴と共に、膣が締まる。
「い゙ッ!!」
「ほう……やはり、か。」
「い゙たあ゙ッ!!!」
もう一度。一打目より力を込めて。
生易しくない、肌の弾けるような音が響く。
そのまま続けて平手打ちを落とせば、落とす度に身体が跳ね、強く強く陰茎を締め上げた。
「救えないな。俺の愛する女は、こんなにも淫乱だったのか……失望した。」
ぴしゃん。
「変態──いや、」
ぴしゃん。
「毒虫が。」
「や゙あ゙あッ!!!」
乾いた音と適度な手の痺れ、そしてピアスの痙攣する胎。
臀部を叩くほど、自分の腰が突き出されていることに気づいていないのか。
彼女は雌豹のように背を反らせ、枕に顔を埋めていた。
つう、と人差し指で背中をなぞってみる。
裏返った声で反応し、俺の方へと振り返ったその顔は。あまりにも、敗北者の匂いがした。
「い、たい……いたいよ、劉鳳……」
「故意でそうしている。」
「止めて、お願いだから……なんでも、するから……!」
「なら、そのまま身体を俺に預けていろ。そして俺の言葉に怯え、溺れるんだ。」
ぐりん、と円を描くように腰を動かして、抉る。
ざらりとした感覚のグレフェンベルグ・スポットを擦れば、ピアスの全身の力はすぐに抜ける。しかし、蜜壺の蠕動は止まらない。
意味のない言葉の羅列を述べ、ただ快楽を貪る淫売女。それが彼女の正体なのだ。
……故に、繋ぎ止めなければならない。躾けなければならない。
俺以外の男に、こんな姿を曝け出させてはいけない。
そう、これは愛故の、証明。
彼女の首を掴み、少しだけ気道を狭ませる。
かひゅ、と酸素を求める音が聞こえた。
「今からお前の、だらしない雌穴を貫く。逃げるな。喚くな。そして──イくな。どれも許可しない。ピアスは正気のまま、俺が果てるまで全てを堪えろ。」
「ふッ………ぐ、うぅ………ッ!!」
「始めるぞ。どれだけ耐えられるか、見物だなッ!!」
「────お゙ッ、ッ!!」
そのままポルチオへと槍を突き立てる。狂った道化師のように、低い声で鳴くピアスの声は。あまりにも、綺麗だった。
全体重を預けるように、腰を打ち付け。素早く引き抜く動作を見せては、再び抉る。
じゅぷじゅぷと、潮をかき混ぜるその淫靡な音楽すら、心を躍らせる為の演出にしかならない。
おかしくなっている。全てが、本能のままに、それこそ過去に敵対したネイティブアルターの犯罪者のように。理性とは、建前に過ぎなかったのか。
それでも、今はそれでいい、それがいいと思ってしまう。
そう、おかしいのだ。俺も、ピアスも。
あんなに逃げるな、と言ったのに、暴れるので腰を捕まえた。
あんなに喚くな、と言ったのに、嬌声がしたので頭を押さえつけた。
そして。
「や、だあ!!い、イぐッ゙!!イ゙っちゃうぅ゙!!りゅ、う、ほぉ゙ッ!!り゙ゅう、ほぉ゙ッ!!」
「ふは、ッ、ピアスっ、早すぎるぞ……ッ、イくな……!!イくな……!!そんな耳障りな、悲鳴を、上げてッ……!!堪え性の無いッ、下品な女がッ……!!」
「だってぇッ!!む゙り゙ッ!!りゅう、ほうの、ッ!!が、っ、激し、すぎッ、る、のお゙ッ!!」
そこでぴたり、と動きを止めた。またはくはく、と彼女の秘部がうねる。何故止めた、と。
絶頂の寸止め。ピアスの本心を聞くためなら、何度だって。
一度髪の毛を梳くように撫で、耳を舐める。くちゃりとわざとらしく音を立て、囁いた。
「俺の、何が、どう激しいんだ?」
「やッ──」
「答えろ。包み隠さず、品の無い言葉で。」
「嫌……」
「今更何を恥ずかしがる?」
脇腹の隙間から手を這わせ、乳頭の周りを焦らすように指で円を描く。
擽るように、それが優しさであると勘違いさせるように。
期待の泡を膨らませ、全てはピアスが俺に敗北する為の……布石。
「っ、ふ……んあッ……」
「触って欲しいか?」
一度硬直したかと思えば、ゆるゆると首を縦に振った。なら、どうすればいいかお前は理解しているはず。
そっと、彼女の敏感な胸の突起に振れるか振れないかの、絶妙な距離でひた、と動きを止めて。
「言うんだ。今、お前は俺に何をされていて、どうして欲しいか。まさか、この期に及んでかまととぶる、馬鹿な女でもあるまい。」
「う、うう……ッ……」
「さあ、言え。」
「わ、わたし……は、ッ、劉鳳の、おちんぽで……ぐちゃぐちゃに、されて……ッ、イくな、って言われてるのに……ッ、はやく、ッ、イきたい……って、おもって、る……の……!!」
「故に?」
「う、う……ッ、だ、だから……ちくび、ッ、焦らさないで……ッ、触ってほしい、し……ッ、乱暴に、酷いことして……ッ、おまんこ、ッ、壊して……欲しい……ッ!!」
「……ふ。及第点、だな。」
「あ゙ッ──」
ぎゅ、と強く乳首を摘み、そのまま剛直を深く埋め込み直す。
待っていました、と言わんばかりの欣喜雀躍の声がピアスから漏れ、貪婪に蜜を溢れさせた。
「まず、乱暴に酷いこと、が抽象的すぎる。それでは恥を捨てきれていない。」
「う、やあッ……!!」
「そして早くイきたい。嘘だ。違うな。ピアスは、こうやって焦らされることに快感を覚えている。今も。俺にこうやって饒舌に批難されることを、悦んでいるはずだ。」
「い、いた……いッ……!!」
「それがどうした。痛みで悦楽に溺れている事実は、お前のマンコが証明している。」
「へッ……?!」
そうだろう。普段俺は、隠語を口走らない。
驚きで彼女が振り返る。勿論、それは隙だ。
狩られる側が見せてはいけない油断。
よって、俺はピアスの肩を掴み。覆いかぶさりながら、陰茎をポルチオへと押しやった。
「お゙あ゙ッ、う……や、あ゙ッ……!!」
「っ……ふ……届いたな……やはり、腹臥位……だと、腕を挿れた時と同じ場所まで、届く……ッ!!」
無論、この体勢とこの刺激だ。俺も平静を保てない。
肉壁の襞が、俺の竿に絡みついて離さない。逃がすものかと、淫靡な罠が桃源郷に引きずり込む。
そっと、彼女の口腔に指を入れ、舌を撫でた。
「……気持ちいいか。」
ピアスは首を縦に振る。声にならない声で肯定の返事をする。
ぬちぬちと己の指が唾液に濡れ、もうどの穴も俺を受け入れる準備が出来ているのか、と納得した。
……強いて言うなら。菊の花ぐらいか。俺がまだ、彼女に侵入していない場所は。
どうする。また、興味が湧いてしまった。
濡れそぼった指を引き抜き、そろそろと身体を起こして。彼女の尻の穴に、つぷりと埋めた。
当然反射的に身体を起こそうとするが、ピアスは俺の左手に阻まれる。
「だ、ダメッ!!!そこは、絶対、絶対だめ……!!!」
「言っただろう。甘さを捨てると。ピアスが正真正銘のマゾヒストであると、お前の身体に、心に刻む。そして、俺に。俺だけに、その姿を晒すことを許そう。」
「や、やだお願い、許して!!おしり、だけは、やだ、いや、あ、あ゙ん゙ッッ──!!」
ぬろん、とそのまま指を第一関節まで押し込む。突然の刺激に、膣が酷く収縮した。
口では征服を望んでいるが、俺は彼女を愛している。愛しているから、壊せど再起不能にはしない。
ただ、俺の下で俺を求め続け、この世で最も情けなく醜く『美しい』姿を、音を。奏で続けて欲しい、だけだ。
……乱暴にするつもりなんて、最初は無かったのだ。ただ、好奇心に殺されてしまったから。
頭の中に、ピアスの嬌声が渦巻く。どこか遠くで、拒絶の音とともに。
暫く指でアナルを解した後、もう一度尋ねる。
「どうする。このまま子宮を穿たれるのが望みか。それとも、未知の先にある快楽を貪るのが望みか。」
「ぅ、わ、わたし、わたしぃ……ッ……」
「……どうする。」
「劉鳳、を、もっと、側で……感じて、いた、い……りゅう、ほうの、せいし、が、欲しい……ッ……」
その訴えで、我に返る──という表現が、最も正しい。
ああ、そうだった。
俺は愛しく思ったはずだ。そして、孕んで欲しいと願ったはずだ。
原点回帰。それも悪くない。いや、きっとそうがいい。
ほう、とひとつ、深呼吸をして。
「りゅう、ほう……?」
「甘さを捨てる。逃がさん。絶頂を禁ずる。その契りを前提とする。」
「りゅぅ゙ッ──!!」
指を肛門から引き抜き、腰を持ち上げ。
貫く。
「故に。慈悲無く、お前の言葉を受け取り。実行する。」
「お゙、ごお゙ッ…………」
「……膣に、射精す。」
「り゙ゅ、ッ!!」
「イくな。」
強く。獰猛に。ただ身体を打ち付け、彼女の子宮を殴打する。
体力配分も、自身の快楽の波も、全て。無視して。
ごちゅごちゅと、体液が混ざり合う音に合わせて、肌と骨のぶつかり合う、下手な音が鳴る。
やはりおかしいのだ。こんな酩酊状態で、全てに正常な判断が出来る訳がない。
そうしてまたピアスの胎を引き寄せ、抉る。己の背中に電流が走る。
同時に、こつん、と。亀頭に彼女の窄んだ風船の口が触れた。
「ふッ──!!っ、はは……ここ、だな。」
「あ、ぐぅ……!!そ、こ……ッ、そこぉ゙……ッ……!!」
「望み通り、くれてやろう。お前を欲の捌け口とし、俺の証を注いでやる。」
ピアスは目を瞑り、肯定の意を見せた。
そう、きっとこれでいい。誰も俺を止める者は居ない。
後はそう難しくない。果てを目指して、ただ与えられる甘い蜜の慰めに、身を委ねるだけ。
しかし。彼女には呪を。征服の、事実を。
再び覆いかぶさる。
「動くぞ……!!ピアス、絶対に、イくなよ……!!」
「あ゙ッ、や、っ、あ゙ああッ!!」
限りなく密着し、互いの性器を擦りつけるように、打ちつけた。
ぞりゅぞりゅとした肉壁がいつまでも纏わりつき、精嚢から子種の解放を、と訴えてくる。
あまりにも息苦しくも甘美な微睡みが、脳の興奮を滾らせ、俺を離さない。
譫言のようにイくな、イくなと命を下すも、司令塔がこのザマでは笑い話にしかならないだろう。
ずっくん、と。生命を落とす孔に、俺という異物を叩きつけた。
虚無を掴みたがるピアスの腕。結果として、シーツを引き千切るほどの力で、暴力的な慰撫に耐える他無し。
張り詰めた糸は、限界を叫んでいる。機は熟した。
「い゙ッ──ぐ、ぅ゙ッ!!!だ、だめぇ゙ッ!!!むり、む゙りい゙ぃ゙!!!」
「イくな………!!イくなぁ゙ッ………!!!イ゙、ぐ、なあ゙ッ!!!!」
「い゙、ぐッ、うぅう!!や、あ゙あ゙ッ──あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!!!!」
彼女の緊張が弾けた。それは、例え興奮に溺れている俺でさえ解るもの。
反り返った脊髄と、天国へと轟かす満たされた慟哭。
びくびくと、一足先に果てを味わうピアス。
歓喜と共に、己の絶頂すらも煽られる。
嗚呼、俺も。それを。
……追いかける。
身体中の血液を巡らせ、熱くなる下腹部と痺れる背筋を無視して。全ての神経を一点に持っていく。
彼女の、全てを。貪り尽くす為に。
「は……っ、はあ………ッ、イった、な?」
「う、ああ………ッ、あ、ぐう…………ッ………」
「お前の、負け、だ。」
その言葉を皮切りに、後はただ吐精のためだけに、暴れ続けた。
そこに続くのはくぐもった低すぎる淫蕩の喘ぎ声と、肉の弾けるような殴打の音。
ぐつぐつと、陰部の沸騰を覚えながら。聞くに堪えない獣の咆哮は、ピアスの鼓膜と脳幹を壊していく。
「り゙ゅう、ほぉ゙ッ!!!!や、だ、やだやだやだあ゙ッッッッ!!!」
「は──ッ、ぐ、ッ、お、お゙お゙ッ──!!」
荒れる。ピアスの首筋に牙を立て、噛み付く。動脈を食い千切るほどの勢いで。お前の全てを、侵食して。
恐らく歯で傷をつけた。口腔内に鉄の味が広がる。
そのまま、理性の無い怪物のように。穿つ。穿つ。穿つ。
這い上がってくる精液。輸精管と、尿道を埋め尽くし。
息を吸うために、お前の首から顔を上げ。
そして、精子の群れが鈴口へと登り詰め。
「う──ッ!!!」
びゅぷう、と堰を切るように。射精した。
一度の破裂ではない。二打、三打と。貯蓄していた白濁を、溢れんばかりに注ぎ込む。
いよいよ精液は蜜壺に収まることなく、俺の竿を濡らした。
栓の役割をしているこれを抜いてしまえば、きっと零れてしまうだろう。
呼吸は整わない。この絶頂の余韻をただひたすらに味わっていたい。このまま蕩けていたい。
なんて、幸せなのだろう。
「う、ううッ……………」
「──ッ?!」
その消えてしまいそうな声で、漸く俺はピアスの存在を思い出した。我に返った、とも言うだろう。
「ああ……………ピアス。すまな、かった。俺の、独りよがり、だったな。辛い思いを、させたに違いない……」
片手で顔を覆いながら、ゆるゆると性器を引き抜く。
謝罪をしていても、心がどこか宙に浮いていて。まだどこか意識は遠い所に置き去りにしていた。
ピアスは腹いっぱいに酸素を取り込みながら、嗚咽を漏らして、呟いた。
「…………へい、き。だいじょうぶ。」
「強がらなくて、いい。俺は、俺の非を認めなければ、ならない。」
「だいじょうぶ、なの。だって、ね。」
その女と目が合う。
「私、いっぱい、負けて……しあわせ、だから…………」
微笑っていた。
もしかすると、敗北者は──俺、だったのかもしれない。
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