遊戯王
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「遊星!!貴様今一体何処にいる!!」
男は腹の底から、D-ホイールの通信先に憤怒の声を上げた。堪忍袋の尾は既に切れており、冷静な判断は出来そうにない。
「……旧サテライト地区、沿岸の寂れたラブホテル。ジャックも知っている、立地の高いあそこだ。繁華街の夜景とダイダロスブリッジがよく見える。」
ジャック・アトラスは、淡々と言葉を液晶の向こうから返す、不動遊星の頬に拳を落とした。勿論意味もない、あるのは自身の拳に響く鈍い痛みだけ。
「……今からD-ホイールを走らせれば、もしかしたら間に合うかもしれないな。」
そう言いながら、不動遊星は力なく項垂れた彼女を姫のように抱き上げる。
「触るな!!!止めろ!!!貴様、自分が何をしようとしているのか解っているのか?!」
「解っているさ。解った上で、俺はピアスを──抱く。」
真顔で、信じられないような言葉を落とす。絶対にそんな獣じみた一面を見せるような男ではないと、信じていた。
信じていたからこそ、あまりに不倶戴天、怨恨、憎悪。ジャック・アトラスは、親友に叫んだ。
「ふざけるな!!!遊星、これ以上ピアスに手を出してみろ、さもなければ──」
「『追う者』に、そんな無駄口を叩く暇があるのか?」
「ッ……!!遊星!!」
ばつん、と通信が一方的に切断される。
急がねば。今が手遅れだとしても、何もかもが手遅れになる前に。どれほど遠かろうとも、愛した者が穢れる前に。早く、早く!!
フォーチュン・オブ・ホイールのエンジンを怒りと焦燥で唸らせる。爆音が夜の街に響き、絶対王者は──敗走が確定したロードを走り始めた。
*
某所。
彼女は未だ、眠れる森の美女のように深くて甘美な睡魔に溺れている。このまま二度と目覚めない方が、きっと幸せなのだろう。
申し訳無い程度の柔いオレンジ色の灯りをほんの少し、暗くする。互いの表情が見えるか見えないかの瀬戸際。
ベッドに意識を委ね続けるピアスの髪を撫でた。これから何をされるのか全く知らない、稚拙な表現なら穢れのない寝顔。
己の心臓の鼓動がやけに響く。俺と彼女が正式に男女の恋仲として引かれあい、肉体関係を持つ者同士なら。この部屋に流れ続けるジャズチックな音楽はさぞ妖艶な雰囲気を産み出すのだろう。
ひとつ、深い呼吸を落とした。己の上着を乱雑に脱ぎ捨てる。
幼少期から不条理と不平等と不合理の掃き溜め、サテライトに住んでいたのだ。だから、こういった手段を取っている大人は嫌でも視界に入った。ただ、それをまさか自分が実行するなど、考えてはいなかったけれど。
恐らく──いいや予防線を張るな。確信を持って言える。ピアスは俺に恋愛感情を抱いてはいない。つまり、俺の恋心は永遠に満たされない。そもそも、満たされるはずがない、満たされてはいけない。
ピアスはジャック・アトラスの女だ。互いを愛し合い、体を重ね、将来を誓う約束までした存在。
最初はただ、こっちを見て欲しかった。次に、声をかけて欲しくなった。更に、共に過ごす時間が恋しくなった。そして、全てが欲しくなった頃には。既に王者の女へと堕ちていた。手の届かない真っ赤な林檎を眺めるだけのアダムに、イヴなど現れない。必要ない。俺が欲しいのは、熟れた果実なのだから。
「ん……っ……」
耳を擽るように口付けを落とす。次に頬。ピアスの意識が少しだけこちら側に手繰り寄せられた、そんな艶やかな吐息が漏れる。
眉間の皺をそっと指で撫でれば、安心した赤子のようにすよすよと、再び微睡みの世界へ。
愛しい。
君が恋などという浅はかな、人間らしいそれに絡められてしまったから。
偶像崇拝ではない。何故なら、俺は彼女に間違いなく恋をしているし、彼女だって人間なのだ。恋ぐらい、するだろう。
その対象が俺ならば、俺はこんな贋作妄想をする狂信者にならずに済んだのかもしれない。
愚かな男よ、引き返すがいい。と天命は警笛を鳴らしている。勿論、こんなことをして彼女が喜ぶ訳がない事だって解っている。解っているさ。
「ピアス……起きてくれ。」
どうか起きないでくれ、と心の底で願いながらその言葉を口にして。勢いよく、唇を貪った。
舌を侵入させ、無防備な柔らかい果肉を舐め回す。時折漏れるじゅるじゅると汚い水音が、妙に興奮を掻き立てた。
初めは大人しかった眠ったままのシンデレラは、目覚めの階段を駆け降り──そのまま、バランスを崩して。
「ん、んっ……ッ!?う、んん……ッ?!」
陥穽の奈落へと真っ逆さまに堕ちていく。
俺の胸を叩き、抵抗するか弱い彼女の細い腕。肘と肩を抑え、膝へと体重を掛ければ。逃げるという選択肢は
俺を不動遊星と認識したとしても、そうじゃなくても。俺の舌を噛むような女じゃない。俺はよく知っている。そんな度胸、彼女には無いことを。
目を伏せて、もう一度口の中を這い汚す。キスの味は決して美味ではない。ただ、ぬろぬろした生温い唾液が、無情に絡み合うだけ。優しさも、暖かさも、何もそこには無い。在るのは口付けを交わしたという現実。
そっと、彼女の呼吸のために唇を離した。名残惜しさを象徴する、銀の糸は暫くしてふつり、と切れる。
信じられない、という表情でピアスは俺の瞳を見つめる。発せられる罵声に心を構えた。
「……何でッ、どうして!!」
「どうして……か。」
第一声はもっと酷い言葉を予想していたから、質問の答えを準備していなかった。
まず、彼女が何に対して『どうして』と問うているのかの推測、そして彼女が納得するような『どうして』への解答。考えるために一度視線をピアスから落とす。
その隙を狙っていたことも予測できていたから、動き出そうとした瞬間を捉え抑え込んだ。
実に悔しそうな顔をする君は、心の内側からぞくぞくと嗜虐心を煽った。それを無理矢理隠すように、我慢の表情で答える。
「……君を、欲しいと思ってしまったから。」
がばりと服を下着ごとたくし上げれば、露になる柔らかそうな脇腹。そして重力で揺れざるを得ない、胸。
羞恥の悲鳴をピアスが上げる前に、快楽の嬌声を。口を開いてはむ、と先端に覆い被さるように咥えて、舐める。吸う。転がす。
「や、ッ……やめ、やめて、ゆうせッ……!!」
こりゅ。強く舌で弾いた。彼女は跳ねる。部屋に響く黄色く甘い声、身体は素直なのがまたいじらしい。
脇腹をさすった後、そろりと下腹部へと手を動かす。あまり前戯をしている余裕が無いのが、情けなくも仕方がないと言い聞かせた。だが、余裕はないが、余興は味わいたいなど。自分の傲慢さに驚くほどだ。
片手でショートパンツのボタンを外し、チャックを下ろし、それを脱がし。
じたばたと抵抗する動きは、キスと胸の愛撫で宥めた。拒否の叫喚も、否認の罵声も、全部全部それで大人しくなったのだから、間違いではない。間違っているのだけれど。
下着越しに、股を下から上へと撫で。ぎこちない硬さを覚え始めた陰核に、かり、と爪を立てる。
ひゃん、と一度裏返った声に、興奮せざるを得なかった。追いかけるようにもう一度、もう一度と人差し指をなるべく優しく、されど鋭く動かし、擦る。浮き始める彼女の腰。何度も何度もぷっくりとした肉豆の芯を、ショーツの上からカリカリ弾いた。
「や、だッ!!も……やァ、それッ……やめて!!」
「嫌なものか。これだけ勃起させておいて。本当はもっと気持ちいいのが欲しくて、堪らないのだろう。」
「ちが、いや……ッ、うゥ……んんッ!!」
「……厭らしい声を上げておいて、よく言う。」
せめて表情は変えずに返答するのが、精一杯の慈悲であることにして欲しい。今ここで俺が微笑んだら、ピアスはきっと恐怖するから。
充血しているであろうクリトリスを、指で挟んで。きゅ、とつまみ上げる。
また女の、いや、雌の懊悩声が、部屋に木霊した。今にも忘我の渦に呑まれ、悦楽以外を感知できないようにしたい。誰でもない、俺の手で。
再びキスを落とし、ショーツのクロッチをずらし、入口を撫でる。まだ、撫でるだけ。熱を帯び、雄を受け入れる準備が出来ている肉の膣穴は、涎を滴しながらはくはくと震える。
存外口付けは彼女に享受された。最初のように激しく胸を叩いたり、足をバタつかせることもない。
こちら側に、来ている。少しずつ、けれど確実に。その事実を伝えるべく、唇を離して言葉を紡いだ。
「濡れているな。」
「……そんな、こと、ないッ!」
「濡れているさ……ほら。」
くぱぁ、と指で肉の割れ目を広げていく。ぬち、と淫猥な音を聞けばピアスの背は、まるで虫が這ったかのように痙攣とのけ反りを繰り返した。何て、弱い生き物なのだろう。
こんなにも天使のように無垢な見た目をした君は、淫魔のようにだらしのない雌穴をしていただなんて。
しかし、それすらも許そう。俺は君が愛しくて堪らないのだから。君がそこまで欲深い人間なら、その欲の深さに応えるまで。人間の愛とはそういうものだ。勿論、何度も言うがこの行為、即ち俺の言う人間の愛とやらは正しくない。
どうせ、ジャックという男の味を知っている君だ。初めから、処女だろうなどお伽噺は見ていない。そんな夢、追うだけ苦しくなるだけなのだ。最初から夢を見なければいい。
そろそろ頃合いだと感じたので、彼女の下着を剥ぎ取る。出来上がり始めた女の肢体が、更に抵抗の手が弱まってきたのを察した。
自分も下着を脱ぐ。欲の主張をはち切れんばかりに訴える愚息は、鈴口からカウパーを滴しひくひくと呼吸をしている。
俺の欲望を目の当たりにしたピアスは、両の手で顔を覆う。されど、隙間からこちらの様子を伺うように、潤んだ瞳を泳がせた。
「う、うう、ッ……もう……やだぁ……」
「そう、もっと、よく見てくれ。これが、君の胎内に入るんだ。」
「いや!!やだ、助けて、ジャック、ジャック!!」
覚悟はしていたが、実際にその場面に立ち合うと、中々にくるものがある。ピアスが愛している男に、助けを呼ぶ声。
残念ながら彼がここに現れることは絶対に無い。間に合うはずか無い。ここは、旧サテライト地区のラブホテルなどではないからだ。打算のために、保身のために、嘘の場所を教えた。
ギリ、と歯軋りを悔しさか、あるいは怒りからか。表情を隠すように一度俯いて。
「……ジャックはここに辿り着けない。君は、このまま俺と繋がる以外に道はない。」
「いや!いやだ!!遊星が何と言おうと、私は何度だってジャック・アトラスを呼ぶわ!!ジャック、ジャック!!助け──ッッ、ん、ん……!!ぐうッ!!」
「止めてくれ……!!」
彼女の救命信号は、最後まで発されることはなかった。小さな口の中に、棹をねじ込んだのだから。
俗に言うイラマチオ。温かくてぬらついた女の口腔を犯すだけでは飽き足らず、もっと奥へと侵入する。咽頭へと突き進み、抜き差しを繰り返した。
「んん"ッ、う"ぅー……ッ!!ん、ぐッ、うぅ……!!」
「違う、ジャックの名前なんて呼ぶな……今、ピアスの前にいるのは、俺だッ……!!」
感情は昂れど、激情だけはしないように、と努力はした。だから、多くは語らなかった。語れば語るほど、彼女への愛が、恋が、重たくなるから。
自分の醜い感情は、出来るだけ押し止めていたい。されど享楽ではなく、悲しみに己の顔が歪む。何度でも、愛しい人の名前を呼ぶだって?冗談でもよしてくれ!!
こんなにも君を思って、君を愛して、君を手に入れたいと身体を捧げているのに、だのに、君は俺の細やかな願いひとつすら聞く耳を持たない。憤りを通り越して、あまりに辛かった。
恋が届かないのは解っている。けれど、君の身体はこんなにも俺を受け入れる準備が整っているのに。
思いの丈を綴らない代わりに、喉頚を何度も殴打する。悲壮感とは裏腹に、淫楽の波は強く神経を揺さぶった。吐精感が、徐々に陰嚢から押し寄せて、押し寄せて。
ふと、彼女の嗚咽と咽頭反射の音が聞こえた。このまま喉を犯し続け射精すれば、ピアスは吐いてしまうだろう。
構わない。が、拒絶などさせない。このまま、口を封じて吐瀉物も精液も全て、再び君の管へと流し込む。
「う、ぐぅッ!!んんん!!お"、ッ、ぐ、がッ、む、う"ッ!!」
えずきつつも、大腿の付け根を押し返すような素振りを見せたから、両の手首を頭の上で抑え直した。これで腕、脚、口。君の自由は全て奪った。
「吐きそうか?」
喉をえぐる動きを一度緩やかにし、尋ねる。こくこく、と首を一心不乱に縦に振る君。
「そうか。いい、安心して吐いてくれ。そのまま精子を混ぜて押し返す。」
目を開き青ざめる君の、なんと狂おしいほどに可愛いことか!
俺の言葉を聞き、更に脱出を試みようともがく彼女の矮小さがあまりに滑稽で、遂に口角がほんの少し上がった。怖がらせまいと、あんなに気を付けていたのに。
ぐりぐりと喉を貫き、涎という潤滑剤に身を任せて。何度も何度も口腔を貪った。
吐くまいと必死に咽頭を締め上げるその動作が、俺の吐精衝動を煽り続ける。
「お"っ、うう"んッ!!ぐ、ううッ……!!ん"んッ……!!」
ごぽ、と喉から音がした。漂う酸い臭い。ああ、ピアスがまるで俺のように、口から反吐を射精する!!
待ちわびたこの瞬間、肉棹へと上り詰める燻り続けた劣情の白濁。
背を丸め、腹部を付き出しては引き。女の口をただただ殴打した。吐いてしまえ、いいや飲み込め、と願いながら。
「ッ、ぐうッ!!出す、出すぞッ、ピアスの、口にッ!!お、お"ぉッ……はっ、ああッ……あ"ァッ……ッ!!」
両目蓋を閉じ、歯を強く噛み締め。身体をのけぞらし。張り詰めた理性の糸を切った。
汚泥の肥溜めで、快楽が弾ける。一度目は勢いよく、途切れ途切れに、二打、三打と次々に粘ついた精液を送り込む。その度に、己の腰が揺れた。
お互い上手く呼吸が出来ない。滲む視界で彼女を見れば、口、鼻、そういった穴からとろとろとどちらのものでもある排泄物が溢れ始めているではないか。
このまま、口を塞いでいよう。鼻も塞いでしまおう。そうすれば、彼女はそれを飲み込まざるを得ない。火照った腕を伸ばし、最後の呼吸器、鼻を軽く摘まんだ。
籠った甘苦しいピアスの悲鳴が、鼓膜を震わせる。呼吸は人間が生きるために必須の行動。酸素を求め続け悶絶した今、君はその行動を取らねばならないはず。
目に貯めた涙をぽろぽろと流し、覚悟を決めたようにきゅっと瞳を閉じて。嚥下した。喉が上下に動く。流動する汚物を押し込もうとすれば、精神がそれを拒絶するのか、再びえずく。
暫くして、全てを飲み干した彼女から、ずる、と陰茎を引き抜いた。芯は未だに硬さを帯び、次の刺激を今か今かと待ちわびている。
げぼ、と汚い咳の音がした。おえ、と酷く喉から絞り上げた声がした。うぷ、と臭い貪汚を飲む息がした。
「さい、てい……ッ、嫌い、ゆ、せい、なんか……ッ!!だいっ、きらい……ッ!!」
敵意の視線。憤怒の色。何度も言うが、最初から解っていたこと。俺を好きになることなど一切の可能性がない。あるのは、あのままただ友人で居続けて何も得られない未来か、こうやって嫌われても繋がりを得られる未来。俺は変化のない明日に耐えられず、後者を選んだ。
少し、自分の鼻がつんとした。臭いではなく悲しみで表情が崩れた。されど、後戻りは出来ない。しようとも、今ですら思わない。
「最低でもいい。最低になってまで、俺は、ピアスと……繋がりたい。」
彼女の股を大きく広げ、開脚させる。恥丘の茂みより下、コリコリした陰核をなぞれば、君の身体は悦び跳ねる。
そっと、蕾を守る皮を指で剥いた。空気に触れる雌の芯は、まるで男性器のようにふるふると震えている。舌で舐めれば、きっとよがってくれるだろう。だとしても、今、俺はどうしても。
褐色の肌とは不釣り合いな紅潮をして、先端は白く、吐瀉物のせいで酷い臭いをした、このペニスを。まぐわせたくて仕方がなかった。
誤って力んでしまえば、簡単に彼女の極楽に飲み込まれてしまうだろう。もう少し、もう少しだけ、堪えろ。もっと、味わってから。心の中でどれだけそう願っても、俺の身体はやり場のない欲にフラストレーションを感じざるを得なかった、のだろう。棹の先端が、ぬぷり、と埋まり始める。
「やめて、ゆ、せい!いれないで、おねがっ、あッ、やだぁ!!や、だあ!!」
「怖いのか。大丈夫だ、何も恐れる必要はない……絶対に、気持ちよくする。約束する。」
「ちがう!!そうじゃ、な、アッ、いッ!!止めて、って、言ってるの!!」
「止めない。挿入れるぞ。」
「や、あ、ッ──ひ、ぃッ、あ"あ"あァあああッ!!」
半ば無理矢理、いいや最初から無理矢理だったか。などと一人で納得しながら、心臓のように脈打つ陰茎を、勢いよく女の産道へと突き刺した。
彼女の肉壁はぬろりとして、されど襞はうねり屹立を捉え離さない。逃がすものか、とまるで膣が意識を持ったように蠕動を続けた。その与えられる享楽に溺れぬよう、ぐりぐりと劈いて進む。子宮口を貫くために。
されど、思いの外早くコツン、と亀頭にそれが触れた。成程。やはり身体は当の昔に出来上がっていたのだ、それが証明されてしまった。近い。こんなにも、ピアスとの距離が近い!!心が踊らない訳がない!!歓喜の声が、漏れてしまう!!
「ッ……ふ、ぅッ──、はは、子宮が……降りてきているな……そんなに興奮していたのか。」
「あ、う、ッ……い、ゃあ……ッ、ちが、う……ッ……!!」
「伝わる。君の身体は、俺の精子を……ッ、求めて、いる。だからッ、こんなに、淫らに……よがって……ッ、締め上げるッ、ッ!!」
ぐぽっ、ととろみのついた蜜から空気の音がする。力の限り雄の性欲を叩き付けては引き抜き、叩き付けては引き抜いた。
奥に負荷をかけた瞬間、ピアスは悲鳴などという可愛らしいものではなく、名状しがたいこの世の終わりの嘆声を腹から吐き出す。その様子があまりに天衣無縫の崩壊を表しているようで、心が踊る。
己の手で、素晴らしい彼女を壊していく。子供がシャボン玉を割ってはしゃぐのと同じ心理なのだろう。
開脚した両足を肩に引っかける。もう一度、腰を身体から離して、打つ。カリ首をポルチオに引っかけるように。こりゅん、と淫楽の琴を奏でた。
「がッ──ぅあ、あ"、あア"ッ……!!」
「……ッ、ふふ、ッ、綺麗、だ。」
綺麗なものか。涙と鼻汁と涎と吐瀉物と精液で崩れた顔は、美しいには程遠い。喘ぎ声と言うよりは、苦痛の号哭。されど、灯火が消える前の炎は、とても心を奪われる。だから、綺麗だ。目を細めてしまう。
もはや襲われるどろりとした互いの熱に、身体を預ける他なし。ピアスの目は俺を見ていなかったし、ましてやジャック・アトラスすら探していない。それで、いい。勿論良くはない、けれど。
深山の体位……いいや、そんな格好をつける必要はない。まんぐり返し、の方が品がなくてよっぽどそそる。彼女の脚は高く掲げたまま、腰を浮かせる。
「ううぅッ……!!やッ、やだ、下ろし、て、ええぇッ!!」
「この方がッ、より……、深く……ッ、感じる、だろう?」
筒の先から根元まで、ドスンドスンとだらしない蜜壺に埋めることを繰り返した。本当にいい眺めだ。陰茎でかき混ぜるごとにぶじゅぶじゅ、と、しとどに溢れ泡立つ愛液がまるで媚薬のようで。
強く子宮口を引っ掻いた瞬間、ピアスの腹部がひっくり返ったような悲鳴が、一層むごくなった。来ている。もう、目の前まで彼女が来ている。抽挿は止めない。
「お"、ッ、あ"、ッ──がッ、う、ぁ……ゆ、う"、せい"ぃッ!!だ、め……ッ、くる、きちゃ、ううッ!!」
「ああ……ピアスッ、来い、ッ、俺の元へ……ッ!!」
「う、や、あ、あああ"ッ、ッ──、や、ああっ、ああ"あ"んんッ!!」
生暖かい潮を互いが全身に浴びるべく、栓をしていた膣から己を引き抜く。そして、彼女は噴水のように勢いよく溜まりに溜まったオルガスムスを解き放つ。連なるように腰は脈動し、まるで男の射精のようだ。
腫れぼったくなった陰核亀頭、緩みきった小陰唇、きゅんと閉まっては搾るように動く肛門、ぴんと脚先まで張った身体──紛れもない、絶頂。
本来であればそれを肌で感じたかったけれど、これはピアスが俺のペニスで果てたという事実を突きつけるため。きっと今、俺は恍惚の表情で君を見てしまっているのだろう。
掠れるような子猫の声が、少しずつ小さくなっていく。そっと、彼女の脚を下ろした。もうこうなってしまえば、逃げる体力すらあるまい。
頬、マーカー辺りにかかった潮を指で拭い、ぺろりと舐めた。甘味も酸味もない。少し汗くさくて、しょっぱい味が、ピアスの胎内から溢れたと思うと嬉しくなった。俺が、彼女の絶頂を引き寄せたから。彼女が、こっちに、来た、から。
「っ、はーっ……あ、うう……ッ……ふ、ううッ……」
「絶頂けたな……偉いぞ。」
ぽんぽん、とびしょ濡れの下腹部辺りを撫でれば、余韻に引きずられらように彼女の腰が跳ねた。
当の彼女といえば、何故俺が褒めたのか理由が今一理解できていないらしい。息も絶え絶えだが、不安そうな顔で俺の瞳を追う。つまりはこの後を予想できているのだ。俺が、まだピアスの膣奥で子種を噴いていないから。
「次は優しく出来ない。君の中で出す。」
「や──うそっ、やだ、いまイった、わたし、わたしいま……ッ!!」
言葉を遮るように太腿を掴み、開脚させては、ずっくん、と肉棹をねじこんだ。
ひい、と息を吸いながら声を抑えきれない君の身体に覆い被さり、肩から背中に手を回して抱き締める。離すものか。離してたまるか。
そのまま身体を起こし、ピアスを抱えて座位へと導く。ざらりとした膣の天井を激しく下から貫きながら、前後にがくがくと揺さぶる。グレフェンベルグ・スポットを刺激された彼女が鳴かない訳がなく。
「あ、う、ああ"あ"あ"ッ、だめ、そこだめ、だめぇ、だめえぇッ!!!」
「ッ、……締まるな。最高だ……!!」
揺られる彼女は、快楽のあまり口をだらしなく開いて涎を滴し、咽び泣きながら虚な目で俺の瞳を写していた。
されどそうなってしまったピアスの動作にさえ、己の内臓が沸騰し、情欲が湧き溢れる。肉体的な快感が強いのは勿論、精神的な多幸感も、俺は君から与えられている。
筋ばった膣道を亀頭冠でこそぐ。まるで嘔吐している時のように、彼女は聞き苦しくも愛らしい断末魔を上げた。
ぞくぞくと再び昇り詰める射精欲に、俺は何の躊躇いもなく身を任せ始める。もう我慢をしない。淫蕩の時は近い。
腰だけで揺らしていたピアスの両肩を掴み、結合部が千切れそうな勢いで、強く肢体を顫動させた。
「あ……ッ、う、うう"う"ッ、お、あっ、が、ああ"っ──っ、お"ッ……!!」
「くッ……っ、はあッ、ピアスっ、好きだ、好きだ、すきだッ……!!」
「あ"──ぅ、や、ゆ、せ、う、ッあ"ッ、がッ、あ"ァ、ッ、んん、ッ、うう"う"う"ッ!!!」
二度目の強制的なオルガスムスを迎えたピアスは、俺の好きという言葉を全て受け止めるように、或いは搾り取るように、陰茎を淫らな肉で包み込む。
それを追いかけるように、ぐりぃ、と女の媚肉を抉り掬い上げて、捲り返す。頭が痛いのも、肌と肌がぶつかる感覚も、何もかもが今はどうなってもいいと思えた。ただとにかく、ピアスの膣内を蹂躙して射精がしたい。心拍が駆けていく。目を強く瞑る。
背筋から下腹部へ卑猥な電流が走り、陰嚢から射精管へ、更に先端へと輸精の準備が足早に整い、遂には。
「出す……出すぞッ、イくっ、ピアスのッ、子宮にッ、全部……全部ッ……!!」
「ぃ"ッ──や、やぁッ……!!!ゆ、う、せ"、い"ぃ……ッ!!」
「は、ああ"あッ──っ、う、お"おッ、……ぅ、あ"ァッ……!!」
びゅぷう、と鈴口から肉壺に白濁が。陰茎から陰口に精液が。俺から君に子種が、流れていく。
ぶわりと産道に熱が広がった。そのまま、孕めと願わんばかりに、奥へ奥へと注ぎ込む。数億の精子が漏れないように、出来るだけ肉と肉の隙間を埋める。ピアスの卵子に届け、着床しろと呪いに似た暗い思いを祈りながら。
脳髄が溶けきって、自分の頭が馬鹿になってしまったように幸せだった。未だにひくひくと蠢く淫靡な雌穴は、貪婪に俺の芯を刺激し続ける。あまりに心地いい。
最後の煮えたぎった汁を注ぎ、伏せていた目をゆっくり開いた。そこには間違いなく、ぐったりとした可愛らしい君が居た。出来る限り、優しく抱き締める。
「……ふ、ぅッ──ッ、はぁ、はぁ……ああ、好きだ……好きなんだ。君が。」
ピアスは震えながら首を横にふるふると振る。やはり、この好意は手を伸ばしても、届かない。それでも頬を重ね、人形のような瞼に口付けを落とす。
「う、うぅ……何で……どうしてッ……」
始めに訊かれた質問を繰り返す、壊れたマリオネットになってしまったのだろうか。その答えは、今伝えたばかりなのに。悲しみのあまり、髪を撫でていた手が止まってしまう。
それとも、俺がピアスを好きな理由を尋ねているのだろうか。まさか、そんな都合のいい質問をする訳がない。今まで彼女の心の中に、俺の居場所は無かったのだから。だからそれを今日、抉じ開けたのに。
けれどそう思い込みでもしなければ、彼女を納得させられない。答えたとしても、彼女は納得などしないのだけれど。
「好きでいることに理由がいるのか?ピアスがジャックを愛しているように、ジャックが君を愛しているように、俺もピアスを愛している。それを君に伝えただけだ。」
「で、でも……」
「ひとつ、違ったとすれば──俺は、ジャックよりずっとずっと君が欲しかった。ジャックは君を手に入れて満足したのだろう。他者から奪われるなどと思いもしなかったのだろう。勿論、ピアスもこんなことになるなんて、考えなかったのだろう。」
「当たり前、だよぉ、ッ……!!」
「だから、こうやってピアスは俺に抱かれている。これが現実だ……孕むのも、回数と時間の問題だな。」
「──ッ、?!や、やだ!!抜いて!!抜いて抜いて抜いてぇッ!!」
やっと気付いた。はっと、我に返った姿すらも弱くて、どうしようもなく無力な君が手に入らないというのも、現実だ。
必死で俺から離れようと暴れるが、全ては徒労。首筋にかぶり付き、舌を這わせる。じゅる、と生々しい音がまた互いの身体中を駆け巡り、艶やかな雌の声が聞こえた。
「ひ、ううッ……!!」
「抜かない。止めない。君が俺の子を宿すまで、君が真に俺の名を呼ぶまで、君が俺を愛してくれるまで──何度だって続ける。」
「いや……も、う……やぁ……ッ!!たすけ、たすけて……たす……け、てぇッ!!」
「俺が助けてやる。ピアスを黒くて汚い沼から、引きずりあげてやる。だから……」
もっと、『こっちに来い』。嘲笑いながら強く抱き締め、耳元で囁いた。もう、何も隠せない。
それから先も知ってはいたのだが、あまりに自分が愚かな男であることを示された、長い長い夜だった。
優越感、嫉妬、自己嫌悪、これから未来受けるであろう罰。数多の物が頭によぎるが、されど勝り続ける承認欲。世界でただひとり、君にさえ愛してもらえることが出来たら、この罪を背負うことも無かったのに。許されざる口付けを何度も一方的に交わす。
さようなら、白馬の王子。愛しい林檎の白雪姫は全てが手遅れ。どうか、二度と現れること無かれ。
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