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万事屋の食卓にはいつもより少しだけ豪華な朝食が4人分並んでいた。
テレビからは昨日江戸から少し離れた場所で起きたテロ事件のニュースがひっきりなしに流れている。
「お前こんなとこにいていいのか?こっちとしては食材差し入れてもらってありがたいけどよ」
「有名人アルな乙玖の彼氏。顔も名前も全国に晒されてるアル」
「彼氏じゃないし。ねえこの晋助写り悪くない?」
画面には指名手配として見覚えのある顔が映っている。
「いつもと同じだろ。そもそも包帯とうっざい前髪でほとんど顔なんて見えねーじゃねえか。写りも何もねーよ」
「でも高杉さんって本当に整った顔してますよね。やばい状況でしか会ったことないですけど、怖いけどきれいな人だなって思いましたよ。怖いけど」
「オイオイ新八、お前そっちの気もあんのか?新八も乙玖も見る目がねーな。ここにこんなに良い男の銀さんがいるのによ」
「ねぇよ!あったとしても銀さんみたいなマダオは選びません!」
『緊急速報です!先程また大使館が爆破されました!現在被害を確認中です』
「朝から元気だねー晋助は」
乙玖は朝食に手を付けず、ニュースを見つめている。
「こんな時だけさ、起きるの早いんだよ。いっつも起きないくせに」
「匂わせてくんのマジやめて。てか彼氏がテロ起こしてんの見ながら朝メシ食うためにうち来たのかよ」
「だから彼氏じゃないし」
ニュースは実行犯のひとりが爆発に巻き込まれて死亡したと伝えている。
生き残れるように戦い方教えたのにな、と呟く乙玖の表情は変わらず感情を読み取ることは難しい。
「正しいとか間違ってるっていう問題じゃないから晋助のやろうとしていることに何か言うつもりはないよ。わたしも人のやることに口出せるような生き方してないし。でもわたしは晋助の仲間になることはできないしだからと言って晋助から離れることもできない。」
独り言のように、静かに淡々と言葉を吐き出していく。
「わたしにやらせれば要人暗殺も幕府転覆も簡単なのに。わたしならもっとうまくばれずにできるのに。かつての仲間を殺すのもね。でも晋助はそれをさせないし、何も言わずに出ていく。わたしは止めないし、帰ってきた晋助を何も聞かずにおかえりって迎える。なんていうかすごく不自然な関係だよね。噛み合わないところは全部見ないふりしてる。ってあれ?わたしのおかずがない!」
見渡すとちょうど神楽が焼き魚を丸呑みしたところだった。
「話長くて途中から聞くのやめたアル。男とご飯ならご飯のほうがずっと大事ネ。」
「そうだぞ乙玖。高杉とメシを比べるなんてメシに失礼なくらいメシのほうが大事だ!」
ふたりの言葉にそれはそうかも、と笑い神楽から死守した白米を食べ始めた。
「ごちそうさまでした。そろそろ行くね、突然押しかけちゃってごめん」
「もう帰るのか?」
「うん、晋助が帰ってくるから。何も聞かず何も知らないフリしておかえりって言わなきゃ。」
「そうか。なんと言うか、あれだ、アイツのことよろしくな」
善処するよ、と手を振り去っていく背中を銀時は苦虫を噛み潰したような複雑な笑顔で送り出した。
停泊した船が微かに揺れた。
重い扉を開け、逆光に目を細めながら男を迎え入れる。
「おかえり、晋助。死ななくてよかった」
「あァ、俺はそんなヘマはしねェよ」
晋助は乙玖の頭を軽く叩き、ふたり並んで薄暗い船内へ消えていった。
君のいないとき 君だけ想う朝
テレビからは昨日江戸から少し離れた場所で起きたテロ事件のニュースがひっきりなしに流れている。
「お前こんなとこにいていいのか?こっちとしては食材差し入れてもらってありがたいけどよ」
「有名人アルな乙玖の彼氏。顔も名前も全国に晒されてるアル」
「彼氏じゃないし。ねえこの晋助写り悪くない?」
画面には指名手配として見覚えのある顔が映っている。
「いつもと同じだろ。そもそも包帯とうっざい前髪でほとんど顔なんて見えねーじゃねえか。写りも何もねーよ」
「でも高杉さんって本当に整った顔してますよね。やばい状況でしか会ったことないですけど、怖いけどきれいな人だなって思いましたよ。怖いけど」
「オイオイ新八、お前そっちの気もあんのか?新八も乙玖も見る目がねーな。ここにこんなに良い男の銀さんがいるのによ」
「ねぇよ!あったとしても銀さんみたいなマダオは選びません!」
『緊急速報です!先程また大使館が爆破されました!現在被害を確認中です』
「朝から元気だねー晋助は」
乙玖は朝食に手を付けず、ニュースを見つめている。
「こんな時だけさ、起きるの早いんだよ。いっつも起きないくせに」
「匂わせてくんのマジやめて。てか彼氏がテロ起こしてんの見ながら朝メシ食うためにうち来たのかよ」
「だから彼氏じゃないし」
ニュースは実行犯のひとりが爆発に巻き込まれて死亡したと伝えている。
生き残れるように戦い方教えたのにな、と呟く乙玖の表情は変わらず感情を読み取ることは難しい。
「正しいとか間違ってるっていう問題じゃないから晋助のやろうとしていることに何か言うつもりはないよ。わたしも人のやることに口出せるような生き方してないし。でもわたしは晋助の仲間になることはできないしだからと言って晋助から離れることもできない。」
独り言のように、静かに淡々と言葉を吐き出していく。
「わたしにやらせれば要人暗殺も幕府転覆も簡単なのに。わたしならもっとうまくばれずにできるのに。かつての仲間を殺すのもね。でも晋助はそれをさせないし、何も言わずに出ていく。わたしは止めないし、帰ってきた晋助を何も聞かずにおかえりって迎える。なんていうかすごく不自然な関係だよね。噛み合わないところは全部見ないふりしてる。ってあれ?わたしのおかずがない!」
見渡すとちょうど神楽が焼き魚を丸呑みしたところだった。
「話長くて途中から聞くのやめたアル。男とご飯ならご飯のほうがずっと大事ネ。」
「そうだぞ乙玖。高杉とメシを比べるなんてメシに失礼なくらいメシのほうが大事だ!」
ふたりの言葉にそれはそうかも、と笑い神楽から死守した白米を食べ始めた。
「ごちそうさまでした。そろそろ行くね、突然押しかけちゃってごめん」
「もう帰るのか?」
「うん、晋助が帰ってくるから。何も聞かず何も知らないフリしておかえりって言わなきゃ。」
「そうか。なんと言うか、あれだ、アイツのことよろしくな」
善処するよ、と手を振り去っていく背中を銀時は苦虫を噛み潰したような複雑な笑顔で送り出した。
停泊した船が微かに揺れた。
重い扉を開け、逆光に目を細めながら男を迎え入れる。
「おかえり、晋助。死ななくてよかった」
「あァ、俺はそんなヘマはしねェよ」
晋助は乙玖の頭を軽く叩き、ふたり並んで薄暗い船内へ消えていった。
君のいないとき 君だけ想う朝