虚構のアイランド・2

記事一覧

  • その1119

    20241215(日)08:18
    『…誠に、遺憾ではありますが…。
    私は、首相の地位を降ります。
    そして、後継者を扇浜筋道君に譲ります。
    私の手腕が至らなかった事を、お詫び申し上げます…。』
    目線はずっと下であったが、声量ははっきりと聞き取れるレベルだった。

    アイランド27

  • その1118

    20241214(土)07:31
    完全に、ひどく落ち込んでいる。
    取材のカメラのシャッター音やライトのみが、唯一のBGMである。

    首相は、視線を住民達と合わせようとしなかった。
    ただ、今後の『島』の方針について述べる為に、口を開いた。

    アイランド27

  • その1117

    20241214(土)07:16
    彼は両目を、下に落とした状態だ。
    意図して向いたわけではない。
    ショックで動揺し、身体が小刻みに震えている。
    [スロープ・アイランド]の行政のトップとしての風格など、微塵も感じられなかった。

    アイランド27

  • その1116

    20241213(金)07:39
    還暦を過ぎたであろう、高齢の男性の正面が映し出された。
    こちらの人物も、住民達はよく知っている。

    [スロープ・アイランド]の、任期終わりかけの首相だった。

    アイランド27

  • その1115

    20241213(金)07:20
    映像は、停止信号がなければ勝手に動く。
    ディスプレイの中が、騒々しくなった。

    カメラが焦点を頻繁に変える。
    やっと固定したかと思うと、扇浜の姿は消えていた。

    アイランド27

  • その1114

    20241212(木)08:11
    「え…?」「嘘だろ…?」
    「正規軍の一基地の総指揮官が!?」
    「なれないはずだぞ!議会には投票で選ばなければ進出できない法律があるだろう!」
    住民達の一部には、知識量が豊富な人間もいる。
    法律に詳しい者が、扇浜の行動に疑問を呈した。

    アイランド27

  • その1113

    20241212(木)08:05
    耳を塞いだ方が良かったと後悔するのは、この時誰しもが想像しなかった。
    扇浜は、先に告げた事と同様の内容を宣言した。

    『故にこの俺、扇浜筋道が、[スロープ・アイランド]の首相となるんだ!』

    アイランド27

  • その1112

    20241211(水)07:11
    「さっき、奴がすごい事仄めかしたぞ?」
    「奴が?」
    「落ち着いてよく聞くんだ。」

    促された者は、会見の場に立つ扇浜の声に、注意深く耳を傾けた。

    アイランド27

  • その1111

    20241211(水)07:08
    ほんの一部だけ、中断した者がいた。
    彼は近くにいた住民達に、コールの制止を促した。

    「おい待て。」
    「何だよ!藪から棒に!」

    アイランド27

  • その1110

    20241210(火)08:00
    住民達の苦しみなど一切感じ取れないのだから、会見は続行された。

    『[スロープ・アイランド]全域において、この俺、扇浜筋道が実権を握る事が、許された。』
    まだ、住民達は非難をやめていなかった。

    アイランド27