虚構のアイランド・2

記事一覧

  • その1959

    20251130(日)22:36
    本気で、この男を潰したかった。
    上官に歯向かう行為であると知っても。
    私の罪が、上乗せされるかもしれなくとも。

    「……貴方が世界の敵を望むのならば、思い通りにしてあげますよ」

    アイランド39

  • その1958

    20251130(日)22:33
    『燃華!』
    『何してんだよ! お前!』
    ネロとラウトさんの心配の声が聞こえた。
    真っ先に燃え移るとしたら、《ライト・アーム》で間違いないのだ。

    でも、私は躊躇わない。

    アイランド39

  • その1957

    20251130(日)22:31
    《剣》の柄は左手で支えた。
    空いた右手を、前へ伸ばしていく。

    私は【レアリテ】の、《ライト・アーム》の肩にいる。
    炎が展開されている前方に手を伸ばすのは、危険行為だ。

    アイランド39

  • その1956

    20251130(日)22:28
    狂った精神異常者のように、扇浜は叫んでいた。
    黒い【アブソルテ・ゾル】は、シルエットの輪郭から小石のように溶け落ちていってる。
    小ぶりな機体ではあるが、【レアリテ】の手で掴めるのは胴体だけだった。

    アイランド39

  • その1955

    20251130(日)22:25
    『人が平等なのは形ぐらいだろ! どんな人間も個体差はあんだろ! 格差があって何がおかしい!』
    「格差を補うのが正しい導きなのではないのですか!」
    『それでは! 人類の文明は発展しねえ! 革命を起こす気がねえなら! 俺が起こしてやるってのに!』

    アイランド39

  • その1954

    20251130(日)22:21
    『がああっ! あちい! クソッ……こんな退屈で進歩のない世界で、いいのか……!』
    「退屈……?」
    『争いのない世界で、貪欲に生きていけるのか、貴様ら!』
    「それが格差を生んでもいいとでも、言うのですか!」

    アイランド39

  • その1953

    20251130(日)22:17
    【レアリテ】側からは燃えている【アブソルテ・ゾル】は、ぐにゃぐにゃに歪められた黒いシルエットへと変貌した。
    ジタバタと足掻く様子も、見受けられた。
    ブースターの噴射は延焼を加速させるだけで、全く効果がない。
    黒いシルエットがゆらゆらと揺れていた。

    アイランド39

  • その1952

    20251130(日)20:51
    橙色の小ぶりな機体は、丸ごと業火に包まれた。
    扇浜はコックピット内で、騒ぎ始めた。
    『ああ? 何じゃこりゃあ! 赤と黄色しか見えねえぞ! しかも熱い!』
    当然の、反応だった。

    アイランド39

  • その1951

    20251130(日)20:28
    真っ黒で朽ち果てた、ボディにしてしまおう。

    両手で握るようになった《剣》。
    大気圏まで登り詰めそうな炎の刃を、直角に振り下ろす。
    【アブソルテ・ゾル】を、刃の枠に収めた!

    アイランド39

  • その1950

    20251130(日)20:25
    【アブソルテ・ゾル】の橙色よりも輝く、激しい炎。
    コックピットのモニターへの直視が困難で、目を伏せているに違いない。

    そんなの、お構いなしだ。
    機体ごと一気に、燃やしてしまおう。

    アイランド39