虚構のアイランド・2

記事一覧

  • その1978

    20251202(火)16:28
    架空の化物も、傲慢な指揮官も消滅した世界で、《虚像獣》討伐専用の基地は無用の長物となっていった。
    名称を掲げていた看板は取り払われ。
    《虚像獣》討伐にまつわる機器等は廃棄処分となり。
    《戦争》で失った兵士達に、告別の式をあげた。

    アイランド40

  • その1977

    20251202(火)16:24
    (エピローグ)

    突発的な《南北戦争》の決着後、[サウザンズ]と[ノータブル]の基地は解体された。
    《戦争》の最中に、緊急会見に挑んだ田辺総指揮官が、解体の宣言をしたのである。
    文字通りで、[スロープ・アイランド]内では、南北の基地の解体作業に取り掛かっていた。

    アイランド40

  • その1976

    20251201(月)18:52
    《虚像獣》、架空の化物は、もう誰も信じない。
    新たに誰かを標的にしても、世界の平和は訪れない。
    これからは、標的に頼らず……自分達で平和な世界を作ろう。
    私達は心の中で、誓った__。

    アイランド39

  • その1975

    20251201(月)18:49
    [ノータブル]の、[北]の首謀メンバーは、此度の《戦争》で消えた。
    散っていった命は、元に戻らない。

    だが、私達は命と引き換えに、《平等》な世界を作る権利を貰った。

    アイランド39

  • その1974

    20251201(月)18:45
    風によって流されても、新たなる雲が太陽を、青空を遮ってしまった。
    今になって……空からの光が湾上のごく一部を照らしている。
    まるで、私達を幸せな世界へと導くように。

    アイランド39

  • その1973

    20251201(月)18:42
    ボーデンさんの呟きが、心に響く。
    そうなのだ。災害発生以前は普通に青空を拝めていたのだ。
    雨が降って止んでも、雲間から差し込まれる光はあったんだ。
    発生以降は……雲はずっと、空に浮かんだままだった。

    アイランド39

  • その1972

    20251201(月)12:59
    部隊の仲間達も、ハッチを開けた。
    自然の日差しを、目に焼き付けていた。

    「すげぇ……綺麗だなあ」
    「神秘的ですね……」
    「昔だったら、なんて事ない景色だったのに、な」

    アイランド39

  • その1971

    20251201(月)12:57
    世迷言かもしれないと思って、コックピットのハッチを開けたのだから。
    ハッチの向こう側は、実際の[スロープ・アイランド]西部の湾上の、冷たい空気が吹いていた。
    大気の風を感じているのだし、日差しは本物だ。

    アイランド39

  • その1970

    20251201(月)12:50
    線は雲の隙間から湾上にまで伸びていた。
    雲海から……天使でも舞い降りてくるのかと錯覚しそうな程に。
    幻でも見ているのかと疑いたくなるけど……これは現実だった。
    久方ぶりに、私達は日差しを目の当たりにしたのだ。

    アイランド39

  • その1969

    20251201(月)12:47
    未曾有の豪雨災害にて、晴れの日がなくなってしまった世界。
    綿菓子のように分厚い雲は、相変わらず空全体を覆い尽くしていた。

    奇跡もあった。
    一縷の光と、表現したくなるような……白く半透明な線があった。

    アイランド39