虚構のアイランド・2

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  • その1998

    20251205(金)12:39
    輝の墓とされる位置には、既に人だかりができていた。
    行列店のように混んでいるのではない。
    4人の若い男性が、墓の前で囲むように立っているだけだ。
    全員暗い表情で、足元を向いていた。

    アイランド40

  • その1997

    20251205(金)12:37
    名家の敷地内だから、名家に直接関わる人間達が埋められていた。
    規律正しい間隔で縦横に並べて建てられた墓石。
    連れてきた正規軍の一隊員は、私達を輝の名前が刻まれた墓石まで案内した。

    アイランド40

  • その1996

    20251205(金)12:33
    用事があるのは、広大な庭だった。
    テニスコート3つ分あるぞ、と昔ボーデンさんから教えてもらった。

    名家の庭は、いろんな用途で使われている。
    パーティー会場だったり、ガーデニングだったり……。
    誰かを弔う為の墓地もあった。

    アイランド40

  • その1995

    20251205(金)12:29
    敢えて、今は探らない。
    悲しみに暮れる理由は、後からでも教えてくれる。
    ネロの口から自発的に話すのを、待とうと思った。

    名家の豪邸には、入らない。
    そもそも、鍵が必要なので、豪華な建物に入れない。

    アイランド40

  • その1994

    20251205(金)12:25
    名家の訪問日は曇り空。
    雨が降りそうな灰色だが、中々降らなかった。

    ネロの癖毛が萎れているように見える。
    落ち込み度合いが強いのか、そこは本人に聞かないとわからない。

    アイランド40

  • その1993

    20251205(金)12:22
    踵のヒールは高くないので、降車の時は安心してコンクリートに跨がれた。

    ネロも普段のカジュアルなTシャツとセミロングパンツではなく、黒のスーツを着用していた。
    変わらないのは、金色の癖毛が広がった髪型ぐらいだ。

    アイランド40

  • その1992

    20251205(金)12:18
    左右のドアを開けて、車から降りる。
    私の格好は、基本的な黒のフォーマルスーツ。
    下のスカートは折り目がなく、膝ぐらいまでまっすぐに下ろされていた。
    薄いグレーのストッキングを履いた足と、黒の革靴を合わせる。

    アイランド40

  • その1991

    20251205(金)08:44
    現在、私と一緒に車で名家に向かっている事実が、奇跡である。
    私と一緒に行くから、恐怖を拭えたのか……それとも。

    [サウスフィールド家]に到着した。
    普通の一軒家がすっぽり入れるスペースの駐車場に、車を停めた。

    アイランド40

  • その1990

    20251204(木)21:30
    [サウスフィールド]。
    私には薄っすらと、聞き覚えのある言葉だと認識していた。
    ネロには……しかめた表情を作るきっかけとなっていた。

    ネロの過去を知っているのならば、彼の嫌がる顔の理由も想像がつく。
    彼の、出身だからである。
    《ユナイテッド》能力を植え付ける為の厳しい教育を受けた、辛い思い出しかない家。
    二度と帰りたくないと願うのは、仕方がない。

    アイランド40

  • その1989

    20251204(木)21:24
    ★★★

    [スロープ・アイランド]。
    『南』と称された[サウス・エリア]。

    とある豪邸の跡地へと、私とネロは移動していた。
    車窓を黒塗りされた、漆黒の公用車で。

    アイランド40