虚構のアイランド・2

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  • その1769

    20250917(水)06:12
    「はあ? 重大発表?」
    「もう聞きたかねえよ! 軍の話なんざ!」
    「安心して暮らせるようにしてよ!」
    下の発言は正規軍より行政機関向けではあるが。
    ディスプレイ越しに、あらゆる住民達が堂山に不平不満を漏らしていた。

    アイランド38

  • その1768

    20250916(火)06:23
    もう一度、堂山は頭を下げた。
    2回目は、立ち直るのが早かった。

    マイクは堂山の口元と、数センチの間隔で保たれた。
    『住民の皆様には、重大な事実を公表しなければならないとし、今日に至りました』

    アイランド38

  • その1767

    20250916(火)06:19
    堂山の口元が、真ん中に設置してされたマイクへと接近する。
    それだけでもマイクの音は、十分に室内へと響いた。

    『昨今のお騒がせしている問題について、深くお詫び申し上げます』

    アイランド38

  • その1766

    20250915(月)06:28
    『静粛に! 質問は後ほど時間を設けます!』
    ざわついた室内が、ようやく収まった。
    カメラのシャッター音とフラッシュだけが、忠告の例外となった。
    いくら複数の音と光が室内の静寂をかき消そうとしても、マイクの音量には及ばなかった。

    アイランド38

  • その1765

    20250915(月)06:22
    1人が問い詰めると、他の記者達も続々と質問責めを始めた。
    室内が一気に騒がしくなる。
    2人の男性が、記者・カメラマン達の前を『通せんぼ』のポーズで立ち塞がった。
    彼らはビジネススーツに身を包んだ、正規軍の隊員である。

    アイランド38

  • その1764

    20250914(日)06:51
    1分以上、堂山の白髪混じりの頭髪が、ディスプレイへと映し出されていた。
    お辞儀が長過ぎると、聞く側もしびれを切らしてしまう。
    記者の1人が、勝手に質問を始めた。
    『この期に及んで、緊急会見とはどういう意図があっての事ですか?』

    アイランド38

  • その1763

    20250914(日)06:47
    堂山は歩みを止めると、カメラに向けて、まずは深々と頭を下げた。
    シャッター音とフラッシュは止まらない。
    むしろ加速した。
    印象的なシーンを逃したくないと必死であった。

    アイランド38

  • その1762

    20250913(土)06:20
    ビルの8階。
    特別に設営された会見用のテーブルとマイクの前に、田辺堂山という男が立つ。
    テーブルの隔たりから2メートル程離れた位置に、カメラマンがフラッシュ込みで堂山を撮りまくる。
    カメラマンの側にも、マイクを握った記者が混じっていた。

    アイランド38

  • その1761

    20250913(土)06:06
    正規軍が保有するビルで、10階建のオーソドックスな建物だ。
    高さは百貨店とあまり変わらない。
    周辺は厳重な警戒が施されている。
    地上には見張りの隊員やジープに戦車、上空にはヘリコプターや戦闘機。
    人や乗り物が、ビルの防衛網を張っていた。

    アイランド38

  • その1760

    20250912(金)05:53
    住民達の怒りや憎しみが絶頂に達しても、ディスプレイ越しで声は届かない。
    『緊急会見』と謳われた速報の映像は、女性アナウンサーの顔を撮るのを止めた。
    どこかのビルの一室にて、会見様にマイクとテーブルが設置されていた。

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