虚構のアイランド・2

記事一覧

  • その1158

    20250103(金)08:20
    通信相手であるイーマス代表の言葉に、堂山は小さく頷くしかなかった。

    多少の労いも兼ねているので、わざわざ連絡を入れてきた件について、堂山は苛立ちを覚えなかった。
    彼としては、ささやかな疑問だけがあった。

    アイランド28

  • その1157

    20250103(金)07:37
    『君達には面倒事を押し付けすぎた。無理に架空の化け物に固執せず、平和を考えていけばよかったのだ。』
    「ですが…あの時は…。」
    『未曾有の豪雨災害で全地球人が疲れ果てていた。知恵が回る状況でもなかっただろう。』

    アイランド28

  • その1156

    20250102(木)07:25
    いちいち詮索されなくとも、察しがつくであろうが。
    上層部の手前なので、堂山は問いにちゃんと答えた。
    「順調ではありませんが、ギリギリ凌いではいます。ご迷惑をおかけして、申し訳ございません。」

    アイランド28

  • その1155

    20250102(木)07:22
    隊員は『正規軍の上層部の代表』の名前を告げた。
    それを知った堂山は、通信の接続を許可した。

    『気分はどうかな?田辺少将。』
    通信相手の上司は、堂山の様子を伺っていた。

    アイランド28

  • その1154

    20250101(水)08:33
    終わりの見えない防衛戦。
    人員の少ない司令室での監視を続けている中、通信が入った。

    担当する隊員が堂山に確認した。
    堂山は詳細の開示を求めた。

    アイランド28

  • その1153

    20250101(水)08:30
    業務をこなし続ける隊員達の前で、堂山は表情を崩さない。
    だが、本音を言えば、彼自身の神経は参っていた。
    もしかしたら…いつかのタイミングでフラッと倒れるかもしれない。
    不調を宣告される覚悟もしていた。

    アイランド28

  • その1152

    20241231(火)10:56
    [サウザンズ]にも[ノータブル]にも、地下に予備のフロアを構えている。
    最悪の事態に陥っても、維持できるように。

    問題は、いつまで襲撃に対する備えを続けなければならないか、だ。

    アイランド28

  • その1151

    20241231(火)10:17
    襲撃の被害を少なくする為、逆に地上階への人員配置を減らした。
    司令室内部でも堂山以外に2名の隊員を置き、交代で業務に当たらせた。
    業務のない隊員達の多くは、地下階にて身を潜めていた。

    アイランド28

  • その1150

    20241230(月)06:44
    堂山の疲労は、日々蓄積していた。
    40を過ぎてから疲れやすくはなったが、非難が飛びかかる現在だと更に困憊するようになった。

    司令室にて、堂山は頭を抱える回数が増えた。

    アイランド28

  • その1149

    20241230(月)06:39
    彼には自責の念があるからだ。
    『虚像獣を倒していけば、人々の心が救われる』と思い込ませるのに、自分達が加担しているのだ。
    取り締まりを強化しなければならないのに、申し訳なさが先で裁きの手が震えた。

    アイランド28