虚構のアイランド・2

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  • その866

    20240817(土)03:37
    「強烈な精神科学の、実験場であるからな。
    双子の子供を引き取り、『感応・共有』の意識を高める施術を行っていたのだ。」
    「ただ単に、上層部の名家じゃ、なかったんすか?」
    「実験の現場は、公表しなかったからな。」

    アイランド22

  • その865

    20240817(土)03:33
    「なぜ、こんなにもネロが震えているのです?」
    「『見学』で訪れた場所って、そんなに酷いんすか…?」
    アージンの質問の後、ラウトが憶測で言った。
    ラウトの憶測には、堂山が頷いた。

    アイランド22

  • その864

    20240816(金)03:31
    「正規軍に携わる者は皆、名家を訪れた経験があるんだ。『見学』という名目で。
    南だけでなく、北の名家も見てきている記憶がある筈だ。」
    「北は、[ノースフィールド]ですね?」
    「その通り。」
    朋美の回答は、正解だった。

    アイランド22

  • その863

    20240816(金)03:27
    「[サウスフィールド家]は、確か…。」
    「俺達、正規軍の関係で見学に行ったなぁ。」
    「私もです。」
    アージン、ラウト、朋美が『名家』の思い当たる節を言い出した。

    ボーデンは軽く頷いてから、彼らに告げた。

    アイランド22

  • その862

    20240815(木)06:43
    「名家じゃねぇよ!あそこは、あそこは…酷いとこなんだよ!」
    ネロは声を荒げると、自分の両手でベッドを叩いた。
    彼の心情に、悔しさが込み上げていた。

    ネロの反応に、状況をあまり知らない者は首を傾げていた。

    アイランド22

  • その861

    20240815(木)06:31
    自分の正体が、総指揮官の口から告げられたからである。

    「…何で。」
    「業務は任せていたが、君の事は、名家から引き取った時に知っていた。
    何年、この基地に就いていると思っている?」

    アイランド22

  • その860

    20240814(水)03:34
    今、彼の『やるべき事』が実行された。

    「ネロの出自は、[サウスフィールド家]だ。
    いや、実際は名家に引き取られたと言っても過言ではないか。」
    「!」
    ネロが堂山を見上げた。

    アイランド22

  • その859

    20240814(水)03:31
    総指揮官がそう告げると、周りの人間は黙るしかなかった。
    苛立ちと悲しみが入り混じった、医務室内の空気。

    それでも、堂山はやるべき事をやらなければいけないと決めた。

    アイランド22

  • その858

    20240813(火)04:07
    アージンは『あの時』を思い出し、堂山の意図を読んだ。
    「自分が、断りを入れた内容ですか?」
    「そうだ。真実を告げれなかったのだから、2人とも勝手に逸脱してしまったのだろう。
    今回こそは、全てを話そう。」

    アイランド22

  • その857

    20240813(火)04:03
    「理解、されにくい…?」
    ラウトの動揺は、アージンと朋美も同じだった。

    「あの時、はっきり伝えるべきだったな。」
    堂山が後悔の念をこめて言った。

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