虚構のアイランド・2

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  • その916

    20240910(火)06:30
    女性が角を曲がって、目的地まで直進しようとした時、彼女の両目に映った。

    ビルの高層部に漂う、空飛ぶ怪物が。

    彼女が悲鳴をあげて逃げ出すまで、時間はかからなかった。

    アイランド23

  • その915

    20240910(火)06:27
    虚像獣『そのもの』が実際に目の前で現れるなんて、ほぼ全員が想像していない。

    だから…ある女性が目的地に向かってビルの角を曲がった先に、牙を剥いた恐竜のイメージの怪物が潜んでいるなんて、誰も想定しなかった。

    アイランド23

  • その914

    20240909(月)06:33
    [ノータブル]や[サウザンズ]はもちろん、正規軍の活動とは全く無縁の住民達の心情は、

    「イメージ画像しか知らないけど、放っておくと精神病むから片付けてほしい」

    ぐらいしかない。

    アイランド23

  • その913

    20240909(月)06:30
    住民達には、『虚像獣=一向に晴れない曇り空の上に潜む肉眼では見えない怪物』というイメージの図式しかない。
    精神的に病んでしまう時期があって、それを解消してくれるのが『虚像獣の始末』と教わり、信じきっている。

    アイランド23

  • その912

    20240908(日)06:16
    この2つの感情以外に、住民達は目を向けなかった。
    『事件の登場人物である2人の結末』についてしか興味がなく、他の事柄には関心を示さなかった。

    忌み嫌っている虚像獣に対しても、この時点では全く話題にあがらなかった。

    アイランド23

  • その911

    20240908(日)06:12
    青信号に変わった交差点のど真ん中を歩いていても、車や電車などの移動手段を利用していても、住民達の話題は直近のニュースで持ちきりだった。
    1人の元アイドルの男性隊員に対する同情と、1人の女性パイロットに対する憎悪が、『島』中に混ざり合う。

    アイランド23

  • その910

    20240907(土)08:10
    「創竜燃華って女、ヤバい奴だよなぁ?」
    「連れ出そうと思っても逃げられず、足手まといだから銃で撃ったって…話にならないわ!」
    「ファンとしても人間としても失格よ!」
    「英雄気取りでいきがろうと考えたアホの結末かよ。」

    アイランド23

  • その909

    20240907(土)08:07
    「かわいそうだったよね?輝君。」
    「まだ18歳だろ…?」
    「ファンだった友達、ショックで訃報を聞いた日は丸一日部屋に籠っていたって。」
    「俺だってお目当ての彼女がそうなったらしばらく引きずるぜ。」

    アイランド23

  • その908

    20240906(金)04:02
    [ノース・エリア]でも[サウス・エリア]でも、日中の市街地は人々の活動で賑わっていた。
    遊びや観光に出かける者、仕事で動き回る者。
    彼らの身分や地位に関係なく、大きな交差点の青信号で、多くの人々が歩行していた。

    アイランド23

  • その907

    20240906(金)03:57
    虚像獣を取り締まる基地の間で起きた大事件だったが、住民達にとってはあまり重要視していない。
    火の粉が、自分達に直接降りかかってないから。

    巡り巡る日常に、何の疑いもなく暮らしていた。

    アイランド23