虚構のアイランド・2

記事一覧

  • その859

    20240814(水)03:31
    総指揮官がそう告げると、周りの人間は黙るしかなかった。
    苛立ちと悲しみが入り混じった、医務室内の空気。

    それでも、堂山はやるべき事をやらなければいけないと決めた。

    アイランド22

  • その858

    20240813(火)04:07
    アージンは『あの時』を思い出し、堂山の意図を読んだ。
    「自分が、断りを入れた内容ですか?」
    「そうだ。真実を告げれなかったのだから、2人とも勝手に逸脱してしまったのだろう。
    今回こそは、全てを話そう。」

    アイランド22

  • その857

    20240813(火)04:03
    「理解、されにくい…?」
    ラウトの動揺は、アージンと朋美も同じだった。

    「あの時、はっきり伝えるべきだったな。」
    堂山が後悔の念をこめて言った。

    アイランド22

  • その856

    20240812(月)06:40
    「まあ待て、今から全てを話す。」
    ボーデンの制止も入った。

    いざこざが沈静化した所で、総指揮官が話を開始した。
    「この大事件のきっかけには、裏がある。
    それも、理解されにくい裏が、な。」

    アイランド22

  • その855

    20240812(月)06:34
    「調査…?」
    「調査もへったくれも、無いんじゃないんすよ!燃華は捕まったんすよ!」
    ラウトはぶつけられない怒りを、堂山に向けてしまった。
    一応階級も歳も上なので、怒りの程度は抑えた。

    アイランド22

  • その854

    20240811(日)05:43
    冷徹の裏には、彼なりの温情があった。
    それが次の発言である。

    「だが、事件の表側だけで片付けるには早すぎる。
    詳細については、まだ調査しきっていないのだからな。」

    アイランド22

  • その853

    20240811(日)05:38
    沈黙を破ったのは、[サウザンズ]の最高責任者であった。

    「今回の大事件は、燃華が悪い。
    当然、ネロも共犯者である。」
    堂山は冷徹に、事実を述べた。

    アイランド22

  • その852

    20240810(土)05:48
    攻めていたラウトも、激しく泣く姿を目撃すれば、何も言い返せなかった。
    グーで握りしめて上げていた右腕を、下ろしてしまった。

    ネロの泣き叫ぶ声以外、医務室内は静かな空気になっていた。

    アイランド22

  • その851

    20240810(土)05:44
    思いの丈を吐き出したネロは、呻くように泣き叫んだ。
    ベッドの上で伏せて、身体を震わせていた。

    朋美が側にかけ寄り、彼の頭や背中を優しく撫でていた。

    アイランド22

  • その850

    20240809(金)04:46
    ところが、次に発言を開始したのは、ネロだった。
    俯いた表情のまま、がなり声で心情を告白した。

    「俺は強くないんだよ!誰もわかってくれない以心伝心なんか!信用してくれないだろ!
    変人だって、変な目で見るんだろ!」

    アイランド22