虚構のアイランド・2

記事一覧

  • その1929

    20251130(日)07:03
    向き合ったままで、【レアリテ】をじっと捉えていた。
    頭部のカメラアイのレンズが、細めるように小さくなっていた。
    『ケッ! 今頃反撃かよ! [南]はお花畑だなあ!』

    アイランド39

  • その1928

    20251129(土)19:24
    叩くだけでは、機体の致命傷にならなかった。
    【アブソルテ・ゾル】は駐車場の地面の上で、両手と膝をつけた。
    短時間だけ片腕のない四つん這いの姿勢を示してから、背筋を伸ばした。
    くるりと、【レアリテ】の方を向いた。

    アイランド39

  • その1927

    20251129(土)19:20
    【アブソルテ・ゾル】は姿勢を戻さず、横に2、3回転して地面へと転がっていく。
    昔話でおむすびが穴の中へ、コロコロと落ちていくように。
    ほとんど平らな地面なので、回転はすぐに止まった。

    アイランド39

  • その1926

    20251129(土)16:30
    扇浜の執念を表しているのか。
    【アブソルテ・ゾル】の特攻はしつこい。
    次は起き上がる時に支えてくれた左手のひらで、叩いた。
    また、旧式の橙色の機体は吹っ飛ばされた。

    アイランド39

  • その1925

    20251129(土)16:28
    腰回りまで立てれば、あとは立ち上がれるだろう。
    【レアリテ】は巨大なロボなので、起き上がる動作が他の機体よりも鈍足だ。
    山の斜面下で座る状態になった時に、再び奴は襲いかかってきた。

    アイランド39

  • その1924

    20251128(金)22:52
    やはり私の武器、《剣》だ。
    《剣》の柄を探し出して、有利に持ち込まないと……。

    左手で山の地面を強く押した。
    反動で、上半身が起き上がった。

    アイランド39

  • その1923

    20251128(金)19:30
    メットもスーツもないのに、【レアリテ】に暴れられても、私は無事でいられている。
    シートのクッションが、衝撃を抑えてくれているのだ。
    まだ、もう少し、私の担当でいられる。

    アイランド39

  • その1922

    20251128(金)19:27
    コンクリートの地面と衝突した【アブソルテ・ゾル】。
    扇浜が、苦痛の声を上げない筈がなかった。
    『ぐうっ!』
    コックピット内でメットを着用できなくても、扇浜の声は鮮明に聞き取れた。

    アイランド39

  • その1921

    20251128(金)19:24
    右手のひらが見事にクリティカルヒットされた【アブソルテ・ゾル】は、押された方向に引かれていった。
    そのまま、山の近くへ落ちる。
    倉庫付近の、空き地。
    コンクリートで埋められているから、駐車場として扱っている土地かもしれない。

    アイランド39

  • その1920

    20251128(金)18:46
    振り上げた右手は、五本指を伸ばしていた。
    ジャンケンの『パー』の状態になっていた。

    左から豪速で機体を傷つけにくる旧式の橙色のロボ。
    【レアリテ】の右手が、それをはたき落とした!

    アイランド39