虚構のアイランド・2

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  • その976

    20241010(木)06:48
    「虚像獣の討伐に雲海の上を選ぶのは、常に冷たい空気が流れているからだ。
    いわゆる寒気が、『凝結剤』の冷却に効果的だった。」
    「では、地上だと…。」
    「地上の気温、最高気温まで上がる日中では『凝結剤』は働かない。現在の大量の獣は全て、ただの現像だ。」

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  • その975

    20241010(木)06:43
    「『凝結剤』?」
    「虚像獣はその名の通り、存在しない獣だ。
    倒すには、それらを実在させなければならない。
    『凝結剤』が実在の役割を担っていた。」
    「どういう風に…。」

    アイランド24

  • その974

    20241009(水)07:33
    これらの奇妙な光景に、ある説が堂山の頭の中で浮かんだ。
    思い出した、と言い換えるのが正しいだろう。
    虚像獣に関する講義で授かった知識を述べているだけだから。

    「『凝結剤』が、注入されていないのか…?」

    アイランド24

  • その973

    20241009(水)07:29
    車両による建造物への衝突や、火の不始末など、人為的に対処できるような損傷ばかり見受けられた。
    すなわち、《虚像獣》自らの直接的な危害による被害は、モニター上では見当たらない。
    それに加え、住民達も学習して、『虚像獣自体は見かけだけ』と判断し、逃げる足を止めていた。

    アイランド24

  • その972

    20241008(火)08:05
    目を通してからすぐに、堂山は市街地の異変に気づいた。

    大量の虚像獣は未だ健在であり、[スロープ・アイランド]中を動き回る。
    にも関わらず、土地や建物への被害は、少なかった。

    アイランド24

  • その971

    20241008(火)07:22
    市街地の現在の様子を隈なくチェックしていた朋美が呼んだ。
    堂山は彼女の元へ寄る。
    朋美の席の固定されたイスに手を添えてから、彼はモニターに目を通した。

    「…これは!」

    アイランド24

  • その970

    20241007(月)08:11
    見事なまでに荒れ狂った街中を放置しろ、というのだろうか…?
    元上官の指示だとしても限度があると、堂山は困っていた。

    「指揮官!見てください!」

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  • その969

    20241007(月)07:27
    『ならば取り下げろ。出撃させるな。』
    「…どういう事、ですか?」
    代表の停止命令に、堂山は困惑した。

    [スロープ・アイランド]内での虚像獣の大量暴走は、司令室のモニター映像でも明らかだった。

    アイランド24

  • その968

    20241006(日)08:08
    『機体は出撃しているのかね?』
    「命令はかけました。」
    代表の問いに、堂山は正直に答えた。
    何も間違ってはいない。
    代表の連絡の割り込み前に、要請したのだから。

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  • その967

    20241006(日)08:06
    虚像獣の大量発生という危険な時に、有無を言わさずに連絡を寄越してきた。
    一体、どうしたのだろうか。
    堂山はまじまじと、正面モニター画面に映る老年の男を見ていた。

    イーマス代表から先に、口が開かれた。

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