虚構のアイランド・2

記事一覧

  • その1072 NEW

    20241125(月)07:47
    「なので私は…。」
    朋美の口調は、未だゆっくりの速度だった。
    「私は、ノンブレン教授が辿り着いた手段が狂っているとは思いません。矛盾だらけであると悟られていても。
    平和を願う気持ちは、誰しもが抱いているんですから。」

    アイランド26

  • その1071 NEW

    20241125(月)07:43
    「内情が知れ渡ると、モチベーションを削ぐ者が必ず現れるからな…。」
    「[ノータブル]の奴らは、既に?」
    「扇浜があれこれ言いふらしていると、脅威への認識が薄れるだろうな。」
    堂山、アージン、ボーデンの順に話が進んだ。

    アイランド26

  • その1070

    20241124(日)06:54
    「《虚像獣》の誕生秘話ですよね?著述書が出回る前に発禁がかけられた…。」
    「そうです。守秘義務がありますから誰も証言しないだけで、正規軍内ではそこそこ有名ですよ?
    …燃華には、読ませなかったですが。」
    朋美は親友を想い、残念そうな顔をして俯いた。

    アイランド26

  • その1069

    20241124(日)06:50
    男達の声の音量に内心ビクッとしつつも、朋美は発言を続行した。
    「『共通の敵』の対象として、何にすればいいのかも、ノンブレン教授は毎日考えていました。
    彼は既存のフィクション作品をヒントにして、『怪物』を創り上げました。」

    アイランド26

  • その1068

    20241123(土)06:49
    「世界中の人々が安心して暮らせる社会にするには、どうしたらいいのか…。
    彼は常日頃から、考えておりました。
    思考を重ねて出した答えが…『共通の敵を作る事』でした。」
    「ええ?」
    パイロット部隊の一部は声をあげた。

    アイランド26

  • その1067

    20241123(土)06:46
    だが彼女は、発言をやめなかった。
    「『平和主義』という思想をお持ちの著名人はいくらでもいます。
    ですが、ノンブレン教授は周りの人間よりも、平和を主張していました。」

    アイランド26

  • その1066

    20241122(金)06:39
    「《虚像獣》の存在を提言したケビン・ノンブレン教授ですが、昔…あの人の著述書を読んだことがあるんです。
    そこで私は…教授がこの世の平和を強く願っているのを知りました。」
    朋美の話す速度はゆっくりだった。

    アイランド26

  • その1065

    20241122(金)06:35
    正面モニター前の操作パネルの席に座ったまま、堂山達の話を黙って聞いていた朋美だった。
    彼女は、あの…と遠慮気味で議論に割り込んだ。
    堂山が目配せをしたおかげで、彼女に発言が許された。

    アイランド26

  • その1064

    20241121(木)08:16
    総指揮官の堂山や、ある程度の権限は与えられているボーデンが何かしら切り開いていかないといけない。
    中年男性の2人は責任を感じてはいるが、どんよりした現状を打開できなかった。

    思わぬ人物が、光を与えた。

    アイランド26

  • その1063

    20241121(木)08:12
    ラウトの怒声の後、[サウザンズ]の司令室内は静かになった。
    その場にいた全員が、タイル張りの床に目を落とした。

    誰しもが、沈んだ気持ちになっていた。

    アイランド26