虚構のアイランド


ほぼ毎日2本ずつ更新します。
下からお読みください。


後日まとめて掲載します。

無断転載はおやめください。

記事一覧

  • その768

    20240703(水)05:50
    「あ、ああ…。」
    私は膝から崩れ落ちた。
    輝の側でしゃがみ、流血が止まらない腹部に手を当てる彼しか、見ていなかった。

    気力が、失われていく。
    目元が、熱くなっていく。

    アイランド19

  • その767

    20240703(水)05:41
    「ハハハハハ!こりゃあ傑作だなぁ!
    人質が犯人を庇うなんてよお!」
    扇浜が空いた手で顔を当てて、ゲラゲラ笑っている。
    蒼白な表情をした私から、5メートル程離れた先で。

    アイランド19

  • その766

    20240702(火)05:09
    こんな事態になりかねないとわかっていたのに。
    いざ立ち会うと…後頭部を強く叩かれたような衝撃を受ける。

    ショックのあまり立ちすくんだ私の耳に、高笑いする男の声が流れてきた。

    アイランド19

  • その765

    20240702(火)05:03
    私は、立ったまま動けなくなっていた。
    両目を大きく見開いて、狼狽えた顔つきになった。

    「うそ…なん、で…」
    やっと絞り出すように、か細い声が私の口から出た。

    アイランド19

  • その764

    20240701(月)06:55
    落胆する時の姿勢の後、寝転がった。
    仰向けの姿勢になっていた。

    彼は両手で、腹部を押さえていた。
    手の指の隙間から…真っ赤なインクが流れていた。
    私ははっきりとわかる。血であると。

    アイランド19

  • その763

    20240701(月)06:52
    「くっ、ううっ…!」
    輝の苦しそうな声が漏れる。
    普通に真っ直ぐ立っていた彼だが、今は歩く足がおぼつかなくなっている。
    ヨタ、ヨタ、とゆっくり歩いて、輝はドサリと地面にしゃがんだ。

    アイランド19

  • その762

    20240630(日)05:36
    「輝、さん…?」
    私は、後ろにいた輝が前に出ている事を不思議に思った。

    うずくまっている原因は、判明した。
    ポタリ、ポタリと、赤い雫が地面に落ちる。

    アイランド19

  • その761

    20240630(日)05:32
    何かがおかしい。
    そう気づいた私は、周りの状況把握に徹した。

    前に、私と変わらない背丈の男性が、身体を丸めながら立っている。
    彼の後ろ髪は、ネロと同じく金色が輝いていた。

    アイランド19

  • その760

    20240629(土)05:51
    立っていられても、動きが鈍くなる。
    ヨロヨロ歩くだけで、精一杯になる。
    呼吸も荒くなり、意識も朦朧とするだろうと覚悟していたのに。

    私は、無事に立っていられてる。

    アイランド19

  • その759

    20240629(土)05:48
    扇浜がこちらに構えていた銃が、発砲したのだ。

    矛先は私達なのだから、確率的に前面に出ている私が弾に当たる、筈だ。
    鍛え抜かれた戦士でも、銃弾を防備無しで受けると、相当のダメージがのしかかる。

    アイランド19