虚構のアイランド


ほぼ毎日2本ずつ更新します。
下からお読みください。


後日まとめて掲載します。

無断転載はおやめください。

記事一覧

  • その388

    20231223(土)06:20
    災害級の大雨で世界の各地が沈んでしまってからは、昔の国の概念が薄くなっていった。
    みんなが降りかかってくる困難から身を守るのに精一杯で、他の事なんて考えられなかったから。

    雨は止んだ。
    だけど、雲が動く気配はなかった。

    アイランド12

  • その387

    20231223(土)06:12
    拗ねていたラウトさんが、気を取り直した。
    座標データの単位は、メートルでの換算になる。
    これは[スロープ・アイランド]の元となった地形のある国を基準としている。
    元々この地上は、日本国の都市、大阪だった。

    アイランド12

  • その386

    20231222(金)06:36
    私がネロの報告に疑問符を浮かべていると、アージンさんがより正確な数値を告げていた。

    『ネロが感じた通りです。南北エリアの境界線を軸とすると、南北を示すY座標はマイナス100です。』
    『てことは、まさか…!』

    アイランド12

  • その385

    20231222(金)06:30
    リーダー格のボーデンさんに言われたら、ネロも正直に答えるしかなかった。

    『今回の虚像獣なんだけど、かなり北にいるんだよ…。[キング・ステーション]の上よりも…。』
    「メインターミナルよりも北寄り?」

    アイランド12

  • その384

    20231221(木)09:48
    ラウトさんは拗ね気味なのか、年少パイロットを揶揄った。

    『虚像獣以外いねぇよ!じゃなくて…。』
    『些細な事でも構わん。気づいた点があれば報告してほしい。』
    ボーデンさんはネロに対してもブレなかった。

    アイランド12

  • その383

    20231221(木)09:45
    鼓膜が破れそうになる程大きかったので、瞬間だけ目を瞑った。

    「どうしたの、ネロ。」
    『俺、座標データをずっと見てたんだよ!』
    『変なモンでも発見したのか?』

    アイランド12

  • その382

    20231220(水)06:12
    業務優先のアージンさんは、失敗した人間の不服な様子を無視した。

    『虚像獣の位置を、確認できますか?』
    『できるぞ?』
    『その位置ですが…。』
    『ああっ!?』
    ネロが大声を出した。

    アイランド12

  • その381

    20231220(水)06:08
    『その、非常に厄介な事態に進展する可能性がありますが…。』
    『もったいぶらねぇで言えよ…。』
    ラウトさんが促した。
    その口ぶりは、やっぱりふて腐っているように見えた。

    アイランド12

  • その380

    20231219(火)06:26
    彼が先に、ボーデンさんに報告した。

    『ボーデンさん、報告よろしいでしょうか?』
    『構わんよ。気づいた事があれば何でも言ってくれ。』
    ボーデンさんのこのセリフは、過去に類似の言葉で何度も言ってくれる。

    アイランド12

  • その379

    20231219(火)06:22
    次の対策をして、虚像獣を完全に消滅させなければ。

    ラウトさんの次に誰が担当するのかをボーデンさんが下す前に、異変に気づいた人がいた。
    アージンさんだった。

    アイランド12